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2026.05.19

”仲が良い組織”は脆い。“仲の良し悪し”をなくせば、ストレスはなくなる【識学⑨】

マネジメントの悩みの多くは、人間関係にある。だが、経営者の間で注目されるマネジメント理論「識学」は「組織運営に人間関係は不要。マネジメント側が悩む問題ではない」と定義しているのだ。意識構造学に基づき、すでに5,000社以上が導入するこの理論の真意とは。識学 代表取締役社長・安藤広大氏に聞いた。連載第9回。#1on1は危険その他の記事はコチラ

なぜ“仲の良い会社”ほど組織は弱くなるのか? 「識学」が指摘する落とし穴

仕事の成功を求めるなら、人間関係は不要

管理職や経営者が直面し、常に悩ませるものといえば、やはり社内の人間関係ではないだろうか。

部下と円滑にコミュニケーションをとりたい。現場社員の士気を高めたい。若い部下の考えていることがわからない。

こうした悩みを、識学 代表取締役社長の安藤広大氏も、経営者からよく聞くという。

 「でも『人間関係を大切にしようとする』ことこそが、組織を停滞させる原因のひとつです。

そもそも会社組織は、友達関係で成り立っているものではありません。それぞれの目標や目的はあったとしても、たまたま同じ会社や部署に集まってきた人たちです。性格も違えば、趣味嗜好も違う。仲良くなれるとは限らないですよね。

だから、一生懸命“良い人間関係”を構築しようとする必要はない。むしろそれを目標にしないことが正解なんです」

会社にいる人間は、会社の持続や発展という共通の目標に向かって進む仲間ではある。しかし、それ以上でもそれ以下でもないという。

「だから、人間関係で悩むこと自体、仕事をするうえでは本来必要ないんです。そう認識すれば、余計なストレスも減ります。

実際、うちの会社は長く働いている女性社員も多いのですが、その理由のひとつは、人間関係のストレスがほとんど存在しないことだと思います。余計なことに気を使わず、仕事に邁進できる。それが働きやすさにつながっているのではないでしょうか」

日本の企業では「仲の良い会社」「風通しのいい職場」といった言葉がよく使われる。しかし安藤氏は、そこに落とし穴があると指摘する。

「日本の企業を見ていると、人間関係をとても大事にしている会社は多いですよね。社員同士の仲の良さをアピールする企業も多い。

でも仲が良いということは、逆に言えば仲が悪い関係も必ず存在することです。結局、それがストレスになって辞めていく。

さらに上司の立場でいえば、仲が良いからこそ厳しいことが言えないという場合もあるわけです」

管理職としての存在意義を、人間関係に求めてはいけない

それでは管理職は、どんな意識でマネジメントに向き合えばいいのだろうか。

「平易な言葉で言えば『自分から人気を取りにいかない』ということ。

人気を取りに行こうとすると、『自分は好かれているのか』『評価されているのか』が気になりますよね。でもマネジメントの役割とは何でしょうか。それは、組織の成果をあげることにつきます。

管理職としての存在意義を、人間関係に求めないことが大事なんです」

いい上司とは、優しい上司ではない。部下に成果を出させる上司であるはずだ。部下の思考に過度に介入するのではなく、役割と責任の所在を明確に示す。それがマネジメントの本質だという。

そう考えれば、親睦を図るためにとプライベートで食事に連れて行ったり、社員の誕生会を催したりするなど、業務とは関係ない取り組みは必要ない。

「やったらやったで、誘っても参加しない人がいるとか、プレゼントの評判が良くなかったとか、また別のことで悩んだりしませんか?(笑) だから経営者の方からは、そういうものをなくしてからは、とても楽になったと聞くことも多いんです」

仲の良さを目指せば目指すほど、本来の業務とは関係のない施策が増え、人間関係は複雑になっていく。それでは仕事にプラスになるどころか、むしろマイナスになりかねない。

「結局、仕事を成功させるための“係数”が ひとつ増えるようなものです。本来は仕事の係数だけを管理すればいいのに、“仲の良し悪し”といった係数が増えれば、単純に成功確率は下がります。

それよりも、本来の仕事で目標を達成したり、新しい成果を生み出したりする。その過程で苦楽をともにすれば、自然と信頼関係は生まれてくるはずです。

管理職や経営者は、そのために粛々と自らの役割を果たしていく。自分の評価を、人間関係の良し悪しに求めてはいけないんです」

安藤広大/Kodai Ando
識学 代表取締役社長。1979年大阪府生まれ。早稲田大学卒業。大学時代はラグビー部に所属し、勝敗と向き合う厳しい環境で4年間を過ごす。NTTドコモ入社後、営業としてキャリアをスタート。上場企業への転職を経てマネジメントに携わるなかで、「人のやる気」や「人間力」に依存する組織運営に限界を感じ、識学と出合う。誤解や錯覚を排した明確なルールと仕組みによるマネジメント理論に強く共感し、事業部の立て直しでその有効性を実証。2015年に株式会社識学を設立し、創業4年足らず(3年11ヵ月)東証グロースに上場。現在は延べ5,000社以上の組織改革を支援している。組織マネジメントに関する著書は『リーダーの仮面』などベストセラー多数。「がんばっている人が、正しく報われる組織を増やしたい」という思いが、識学の根底にある。

TEXT=牛丸由紀子

PHOTOGRAPH=杉田裕一

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