『革命のファンファーレ』『夢と金』などビジネス書分野においても大ヒットを生み出してきた西野亮廣氏が、「過去最高傑作」と語る新刊『北極星 僕たちはどう働くか』が発売された。そこに書かれた真実と、本作への思いを語るインタビュー。前編は、変化しつつある人々の金への意識、そして人の心を掴むために西野氏が意識していることを聞いた。#後編(3/15公開予定)

世間の「金」への意識は、確実に変わってきた
母が無知だと病気になる。
父が無知だと貧乏になる。『北極星 僕たちはどう働くか』より
これは西野亮廣氏が、金と仕事への向き合い方を綴った最新刊『北極星 僕たちはどう働くか』の冒頭の1文である。実は、ネイティブ・アメリカンに伝わる格言らしい。
ここ数年で物価の上昇スピードが格段に早くなり、円安が進んだ。多くの人は、将来に不安を抱き続けている。長年オンラインサロンや講演会などを通して、金や働き方について説いてきた西野氏も、その人々の危機感の高まりを、身に沁みて感じているという。
「特に、小さなお子さんをお持ちの方たちの心配度合いは上がっているなと感じます。講演会では『なにを勉強すればいいですか!?』って質問をよくいただきますが、その熱量が半端じゃない。やっぱり我が子に苦しい思いはさせたくないですからね。
ちょっと前まではお金に執着するなんて、人間的にどうか、みたいな世間的イメージがありましたけど、ここにきて一気に『お金を学ぼう』って雰囲気が高まっています。先日もテレビ番組で『お金の話をしてください』と呼ばれて1時間ほど話したのですが、ちょっと前だったらいちタレントが人前でお金の話をするなんてことは絶対になかった。やっぱり世の中のお金への意識が変わってきていると感じます」

化けたらすごいことになる。そう思えたら離職率は下がる
本書のなかで西野氏は「金」とともに「心」についても説く。
ビジネスの結果は常に数字で出るが、その数字とはつまり、どれだけ人の心を掴めたか、どれだけともに働く人々の心を熱狂させてきたかによるからだ。
では西野氏は、映画やミュージカルなど多くの現場で人々と働くなかで、心を掴むため、そしてリーダーとして意識していることはあるのだろうか。
「“次にあそこに行くぞ”という旗をちゃんと立てること。いろんな会社を見ていて、バテているなと思う会社って、そこそこお給料ももらえていて、生活もできているんだけど、だからこそルーティーンになっている。それってリーダーが旗を立てていないからなんじゃないかなって思うんです。
カジサック(梶原雄太氏)ともこの話を先日してたんですが、キングコングのYouTubeで、100万人登録目指すぞって時、むちゃくちゃ忙しかったし、お給料もぜんぜん安かったのに、スタッフがすごく頑張ってくれたんですよね。でも登録者数が増えて、毎日何十万回も再生されるようになり、給料も安定した状況になったら、どんどんスタッフが辞めていった。どこを目指せばいいか、わからなくなってしまったのかなって。そもそも仕事はルーティーンになったら辛いですから」
目指すものがあればすべての仕事はけっしてルーティーンにはならない。そう信じて西野氏は、あらゆる「無理め」の目標を掲げ、旗を振り、そして「無理め」であったにも関わらず達成してきた。当初、誰もが夢物語だと思った『えんとつ町のプペル』のブロードウェイミュージカルが、今まさに制作中であることもそのひとつだ。
「5年後も10年後もこのままかって思いながら働くって、もう希望がないですよね。でもワンチャン、化けたらすごいことになるぞ。そう思えるものがあると、どの会社も離職率って下がると思うんです。ブロードウェイのミュージカルは、当たれば何十年も公演が続く、一生ものになります。そういう希望があるのって、やっぱでかいですよね」
地元のおじさんたちと登った近所の山にヒントがあった
本書のタイトルを決める打ち合わせの際に、西野氏の頭に「北極星」という言葉が閃いた。船乗りが方角を確認する際に指針として使う「北極星」のように、本書が誰かの指針になれば。そんな願いが込められている。
「先日兵庫に帰った際に、地元のおじさんたちに相談されたんですよ。山のケーブルカーが廃線になって、その線路をどう再利用したらいいかって。『いや、そんなん知らんし』と思いながらも、僕も子供の頃、よくそのケーブルカーに乗っていたので、現地に行って見てみることにしたんです。で、その山には、北極星を信仰している神社があるんですよ。『ああ、そういえばうちの地元って、そういう場所だったな』って思い出して。前作が『夢と金』っていう超ダイレクトなタイトルだったので、それに比べたら『北極星』ってわかりにくいかなって思って何度も練り直したのですが、結局は最初に閃いたこのタイトルになりました」
金を説き、生き方を考える本書。そのなかには、西野氏が幼い頃に見た原風景も刻み込まれているのだ。
西野亮廣/Akihiro Nishino
1980年兵庫県生まれ。1999年漫才コンビ「キングコング」結成。これまでの著書に『革命のファンファーレ』『新世界』『夢と金』など。2019年に「にしのあきひろ」名義で出版した絵本『チックタック ~約束の時計台~』を原案にした最新映画『映画 えんとつ町のプペル 〜約束の時計台〜』が2026年3月27日公開。
衣装クレジット:ジャケット¥99,000、シャツ¥59,400(ともにカンタータ/クリシェ TEL:03-6407-0300)

