英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第250回。連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは
散々な目にあった時に言いたい“It was a bummer.”
日本語ペラペラのアメリカ人と話していたところ、彼女はここ最近仕事が猛烈に忙しく、3日ほどコーヒーと栄養ドリンクとカップラーメンだけで過ごしていたということ。そしてそんな食生活が祟ったのか4日目からひどい下痢になって寝込んでしまったそうです。その経緯をそこまで流暢な日本語で説明していた彼女は、最後にぼそっとこう言いました。
It was a bummer.
「イット ワズ ア バマー」と聞こえました。バマーって一体なんでしょうか。
スペルを教えてもらって辞書を引いてみたところ、ケンブリッジの英英辞典にはこう載っていました。
a rude word for something that is very annoying or not convenient
(とても腹立たしい、または都合のよくないものについていう、乱暴な言葉)
彼女の言ったように“It was a bummer.”になると「散々な目にあった」というような意味になるということ。辞書では「乱暴な言葉」とありますが、結構アメリカだとみなさん日常的に使うのだそうです。ケンブリッジの英英辞典の例文にはこのようなものがありました。
“I've left my wallet at home.” “What a bummer!”「財布を家に忘れた!」「なんてこった!」
“I locked my keys in the car” “bummer!”「クルマ、インキーしちゃった」「ばか!」
Bummerのところは、私の勝手な意訳です。けれどこのように日常の中の失敗に対しても軽く使えるということ。基本的には「マジ最悪なんですけど」とほぼ同じ意味なのかもしれません。
またBummerは名詞なので、「散々な目にあった」の意の“It was a bummer.”の場合は冠詞のaが必要だということです。
相手を慰める時にも“Bummer”は使える
「まあ、失望を表す言葉だね」
と彼女も説明してくれました。日本語でも英語でも自分のミスに対して、「マジ最悪」と言われると、突き放されたような印象がありますが、以下のようにフォローすれば、優しい言い方になるということ。
That’s such a bummer. I’m sorry that happened.
(それは最悪なことだったね。そんなことが起こってしまったこと、残念に思うよ)
「クルマ、インキーしちゃった!」に対して使えば「あれまぁ。それは困ったねぇ、残念ねぇ。どうしましょうね」という、非難ではなくて優しい言い方になるのでしょう。
Bummerはスラングなのであまり使うことはないかもしれませんが、それでもこの“That’s such a bummer. I’m sorry that happened”というフレーズごと覚えておきたいと思いました。
その後も彼女は、「寝込んだら仕事が溜まって」「遊びの予定もキャンセルしなければならなくなった」と愚痴をこぼし続けるので、私は覚えたてのBummerを終始相槌代わりに使っていました。誰だって愚痴を言いたい時は、「そうか、それは大変だったね」「それは最悪だね」とだけ言ってもらえたらそれでいいので、彼女も私の相槌に、悪い気はしなかったそうです。
連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
英語力ゼロのまま渡英、行けばなんとかなると思いつつなんともならなかった2年間のイギリス生活。帰国後はせっかく覚えたいくつかの英単語も忘れ去り、それでも時々は英語と格闘してみる現在、40歳。
「その英語でよく外国に行ったね」「めちゃくちゃカタカナ英語だね」と、なぜか日本人に笑われながらも、覚えたフレーズの数々。いつかはうまくなりたいから、恥を忍んで今日もブロークンイングリッシュ。下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。人のイングリッシュを笑うな。