第一線を走り続ける仕事人たちに必要不可欠な、こだわりの趣味部屋をまとめて紹介! ※2024年3月号掲載記事を再編。
1.「湯道」生みの親・小山薫堂、こだわりの湯室を公開
「ここで湯に浸かっていると、茶室でひとり茶をいただいているような、そんな静謐(せいひつ)な気持ちになるんです」
放送作家・小山薫堂氏の京都の別邸、その離れには窓を開け放てば半露天風呂になる「湯室」が設けられている。
江戸時代に使用された黒い敷瓦(しきがわら)が敷き詰められた床面。その上に置かれるのは建築家・隈研吾氏と、岐阜の職人集団、檜創建による檜風呂だ。湯室内にあるBang&Olufsenのスピーカーからはジャズやポップスと気分に合わせ、音楽を響かせる。窓を開ければ目の前に川が流れ、夏は蛍、秋は紅葉など、豊かな自然を全身に感じるのだという。
茶道や華道のように「風呂」という日常の習慣を慈しむことで、そこに「道」が拓けるのではないか。そう考えた小山氏が「湯道」を提唱したのは2015年。京都・大徳寺、真珠庵の山田宗正住職から「湯によって心を温める」という意の「湯道温心」という言葉を受け取り、「湯道」は始まった。現在、小山氏は湯道文化振興会を立ち上げ、日本の風呂文化の啓蒙に努めている。
「湯道」の提唱者でいわば家元である小山氏、この湯室では茶会ならぬ湯会も開くという。
2.クルマ好き垂涎! 安東弘樹アナの秘密基地「ガレージハウス」に潜入
「自分の尺度でいえばこれで十分。この秘密基地から拡がる仕事と、充足のクルマ道楽に日々満たされています」
謙遜しながら開口一番こう答えたのはフリーアナウンサーとして活躍する傍ら、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(COTY)も務める安東弘樹氏。これまで40数台の愛車を乗り継ぐ、自他ともに認める無類のクルマ好きだ。
千葉の自宅から都心の仕事場まで往復100㎞超の通勤を毎日続けること10年余。家族用SUVも含めた計3台・12輪生活を謳歌する安東氏にとって『運転している時が、至福の時』。その相棒というべき愛車+αを保管できるガレージは悲願だった。
「局アナからフリーへの転身を決断した50歳の節目。退職金で自宅ローンを完済すると同時にガレージハウスが欲しくなった時でした。COTY選考委員としてさまざまなご縁に恵まれ、さらに最新試乗車を駆ってペンを執る機会も続々と増えた。それら試乗車を安全に駐めるためにも駐車場の確保が必然でした」
3.88歳、写真家・操上和美、自宅の植栽コレクション公開
高感度なセレクトショップやレストランが軒を連ねる都内某所の瀟洒(しょうしゃ)な通り。「サボテンを目印に」と言われて到着したビルの入り口には、高さが優に3mを超える特大のアガベ(サボテン)が2鉢ほど。ビルのオーナーは写真家の操上和美氏。特大のアガベは、オフィス兼自宅として27年前にこのビルを建てた当初から、この場所に鎮座しているという。
「この通りで同じような多肉植物は見かけないです。ここは日当たりもいいし風も通るから、どんどん成長するんです。出てきた子株は欲しいとおっしゃる方に差し上げて、ずいぶんといろんなところに行っていますよ」
屋上のテラスには、オリーブの木やアボカド、ハイビスカスなどをはじめとする植栽が十種以上も並び、まるでガーデンのようなにぎやかな趣に。ストイックなムードが漂う同じビル内の操上氏のオフィスとはまったく様相が異なり、そのコントラストが意外にも感じられる。