35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第224回。連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは
「ずっこける」をもっと下品に言う英語を知りました
先日、スマホを操作しながら、近所をランニングしていたら転びました。
「ながら歩き」ならぬ「ながら走り」、自業自得です。
両手両膝をついたのですが、下はザリザリのコンクリート。手が痛すぎて踏ん張れず、顔まで打ちました。結果、両手両膝左頬を負傷、こんなに派手に転んでいる大人なんて今まで見たことがなく大変情けなかったです。
その後、しばらく包帯ぐるぐる巻きで過ごしており、会う人会う人にギョッとされます。そのつど、「コケた」とひと言言えばみんな納得して、それ以上はなにも言いません。
でも、「コケた」って英語でなんと言うのでしょうか。ふと気になり、日本語ペラペラのアメリカ人にSkypeで聞いてみました。
「まぁ、普通にfallとかslipとかじゃない」
と、その人は言うのですが、それだと「転んだ」とか「すべった」ということになり、「コケた」のスラングっぽさが表現できていない気がします。
大人なのに派手に転び、その恥ずかしさを「コケた」と俗語を使うことで少しでも誤魔化したい、そんな気持ちがあります。しつこく「そうじゃなくてスラングで教えてくれ」と粘ってみたら、その人は少し考えてからこう言いました。
「君の状況とはちょっと違うけど、go arse over titはだいぶスラングだね…」
arseとは、「お尻の穴」という意味です。さらにtitは「乳首」です。なんだか下品なスラングの予感です。
go arse over tit、このフレーズだと「お尻を胸の上にする」ということになります。
こんな言葉は辞書には載ってないだろうと思ったのですが、ケンブリッジの英英辞典にはこういう意味だと書かれていました。
a rude phrase meaning to lose your balance suddenly and fall over.(突然バランスを崩して転倒する様子を言う、下品な言い方)
「お尻が胸より高い位置にある」というのは、バランスを崩した状態のことを言うようです。
例文にはこうありました。
I fell off my bike and went arse over tit.(バイクから落ちて、盛大に転んだ)
絶対に使ってはいけない!? 「コケる」のスラング
「お尻が胸より高い位置にある」とは、頭から地面に突っ込んだ状態、かなり派手な転び方です。日本語訳するなら「ぶっ飛んだ」とか「ずっこけた」みたいな感じでしょうか。しかしそれ以上になかなかに下品な言い方なので、ネイティブもあまり言わないそうですが、使うとするなら、酒に酔って派手に転んだ時なんかが多いみたいです。
「今回は一応、膝と手をついてるんだからさ、『お尻が胸より高い位置』にいくほどの転び方ではないよ」
と、そのアメリカ人に言ったあとで、そういえば、数年前のクリスマスに酒に酔って駅の階段から転落したことがあったっけ、と思い出しました。頭から落下したにも関わらず、酔っていたので、痛みも感じず、ヘラヘラ笑っていました。あれこそがarse over titだったのかと、思いました。そろそろ忘年会シーズン、酒にも転倒にも十分に注意したいです。
連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者による英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。