HEALTH

2024.09.14

5人に1人は男性更年期? リスク度がわかる17の質問

近年注目されている「男性更年期」は、中高年ばかりか、働き盛りの30代予備軍も珍しくないという。予防医学や抗加齢医学に詳しいイーヘルスクリニック新宿院の天野方一院長に、男性更年期の見分け方とその特徴、原因を聞いた。

男性更年期
unsplash / nik LUYD ※写真はイメージ

この不調、男性更年期かも?

いつまでも若いつもりでいたが、気がつけば40代も半ばを過ぎた。昔は強烈に何かに憧れたり、有形無形の何かが欲しかったり、情熱的に打ち込むものがあったりしたものだが、最近はどうもピンとこない。以前のように気持ちが前に進まないことに若干の違和感を持ちつつも、「まあそりゃそうだろうな、年だし」という諦めでもって気持ちをなだめている人は少なくないのではないだろうか。実はそれ、「男性更年期」の症状のひとつかもしれない。

予防医学や抗加齢医学を専門とする「イーヘルスクリニック新宿」の院長であり、未病医学研究センター副所長の天野方一医師によれば、ここ数年、健康意識が高い人、特に経営者や管理職の男性を中心に、「もしかして男性更年期では?」とクリニックを訪れる人が増えているという。

「更年期は女性特有のものだと思われがちですが、男性にも表れることが少なくありません。典型的な症状は、やる気が出ない、疲れやすい、不眠症、EDなどが知られていますが、赤ら顔になったり、イライラしやすくなったり、わけもなく悲観的になることも挙げられます。男性更年期はまだまだ一般的な概念ではないだけに、医師の診断を受けるのは10%程度とも言われていて、実際のところは該当世代の20%くらいが予備軍ではないかとも推測されています」

男性更年期の原因はテストステロンの減少

男性ホルモンである「テストステロン」の減少は、更年期症状の大きな要因のひとつだ。男性ホルモンの減少とともに、体力、気力、精力までも、全体的に減退している可能性は大いにある。「ストレス過多や多忙な生活でも、男性ホルモンは減ってしまいます。特に経営者や管理職など、社会的に重責を負う男性は要注意です」と天野医師。

女性の場合は生理が減ったりなくなったりして、ホルモンのバランスがドラスティックに変わる。だから更年期症状が出やすいし自覚しやすいのだが、男性の場合は20歳くらいをピークとして、ホルモン量がゆるく下降していく。中年になり、その下降線がグッと落ちるタイミングで症状が出てくるという。いわば経年劣化のようなものなのだ。

「約10~20年かけて徐々にゆるく変化していくからこそ症状を感じにくく、”年齢のせいなんだろうな”と思い込むパターンが多いんです。少しわかりづらいところもあるから、認知度が低いままなのかもしれません。女性だと毎月あったものがなくなるから、”ああ、これが更年期か”と理解しやすいのです」

更年期か否かの判定はAMSテストが目安に

では、「これは噂の男性更年期なのでは……」とクリニックを訪れる患者に対し、どのような診断を行うのだろうか。

「主に2つあって、ひとつはテストステロンの量を測定する方法。男性ホルモンの量に関しては、ある程度のカットオフ値(病態識別値)が学会で定められています。もうひとつの方法はAMSスコア(エイジングメールスコア)と呼ばれる問診型の判定法です」

こちらが、AMSスコア。17の質問項目があり、それぞれの合計点数に応じて男性更年期障害のリスク度がわかるものだ。

AMSスコア
出典:男性の性腺機能低下症 ガイドライン2022

合計点数に応じて、以下のような可能性が考えられる。

17〜26点:男性更年期障害ではない
27〜36点:軽度男性更年期障害の可能性
37〜49点:中程度男性更年期障害の可能性
50点以上:重度男性更年期障害の可能性

男性更年期か否かの診断には、このAMSの点数もかなり考慮されるという。例えば、テストステロンが医師の想定より低くなくても、男性更年期と思われる症状がかなり当てはまる場合、既往症や禁忌がなければテストステロンの補充を検討するに値するという考え方になりつつあるそうだ。それほどに、自覚症状というものは診断の大事なヒントとなる。

「男性ホルモンが過剰に低くなる理由はストレスや忙しさのほか、食事や飲酒、睡眠などの日常生活習慣なども関係します。ちなみに、当クリニックでは早くて30代後半から相談にいらっしゃる方もいますね。亜鉛不足など、他の原因でも男性更年期と同じような症状が出る場合があるので、更年期であろうとなかろうと、不調の原因を解明する意味で、まずはひと通り幅広く検査して調べることが大事となります」

やる気がでない、イライラするなどは、特に上に立つ立場の人ほど社会的生活に影響が出る。

男性更年期の診断検査は、基本的に保険診療なので5,000円前後で受けられる血液検査がメイン。AMSを含め、保険診療で受けられ敷居も低いため、自身の現状は把握しておいて損はないだろう。

次回は、男性更年期の症状のなかでも私生活の充実に大きく関わってくる「精力減退」を取り上げる。

「イーヘルスクリニック新宿院 (eHealth clinic 新宿院)」天野方一院長
天野方一/Hoichi Amano
埼玉医科大学卒業後、東京慈恵会医科大学附属病院などで研鑽を積む。2016年帝京大学大学院公衆衛生学研究科入学、2018年ハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)留学。予防医療に特化したクリニックに勤務後、2022年4月東京都新宿区に「イーヘルスクリニック新宿院 (eHealth clinic 新宿院)」を開院。専門は腎臓病学、予防医学、抗加齢学医学、産業医学領域。

イーヘルスクリニック新宿院
住所:東京都新宿区新宿2-6-4 新宿通東洋ビル3F
TEL:03-5315-0514
診療時間:月・火・水9:00〜12:00/13:00〜17:00、木・金9:00〜15:00/16:00〜20:00、土・日・祝10:00〜16:00
休診日:不定休(年末年始は休診)

TEXT=三井三奈子

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