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2023.01.20

サウナや育毛剤は精子力に悪影響!? 気をつけるべき6つの生活習慣

男性不妊の主な原因とされるのが、精子が少ない・運動率が悪いといった“精子問題”。精子の元気を取り戻すべく、長年男性不妊に携わってきた「泌尿器と男性不妊クリニック」寺井一隆院長から、今から取り組みたい生活習慣を教えてもらった。「不妊の約半数は男性が原因って本当!?」はこちら

精子力を高める生活習慣

精子は一日にしてならず

男性不妊の約8割を占めるのが、精液中の精子の濃度が低下する乏精子症や精液中に精子が存在しない無精子症、精子の運動率が低下する精子無力症といった造精機能障害によるものだ。しかし、困ったことに、造精機能障害の半分は特発性、つまり原因が不明だという。精索静脈瘤や明らかなホルモン異常、器質的疾患など、理由が明確でない場合、とるべき道は生活習慣の見直しになる。

「これらの生活習慣は、精子の状態の改善を見込めるほか、元気な精子をつくり続けるにも役立ちます。現在はとくに異常がない人も、将来子供を望むのならば今から実践することをお勧めします」

1.暴飲暴食を避け、バランスのよい食事を

良質な精子をつくるには、そのベースになる食べ物がカギを握る。ビタミンCやE、N-アセチルシステイン、Lカルニチン、コエンザイムQ10、リコピン、セレン、亜鉛など、精子が少ない乏精子症や運動率が低い精子無力症の改善に効果がある栄養素を意識的に摂取し、バランスの良い食事を心がけたい。

「肥満や糖尿病なども精子に悪影響を及ぼすので、食べ過ぎや飲み過ぎ、高カロリー、高脂肪な食事にも注意が必要です」

2.精子を元気にするサプリメントを上手に活用

元気な精子に必要な栄養素を、食事だけで摂るのは難しい。時にはサプリメントの力を借りるのも有効だ。とくに注目したいのが、精子の量と質に影響を与えるミトコンドリアの活性を促すコエンザイムQ10というビタミン様物質だ。

「ミトコンドリアは人の体内にある細胞ひとつひとつに存在し、人が生きるためのエネルギーを作り出しています。ミトコンドリアは老化や生活習慣病にも関わっており、近年は、免疫の司令塔的な役割を果たすこともわかってきました。ところが、ミトコンドリアの量は加齢とともに減少するほか、運動不足や精神的ストレス、不規則な生活によっても量と質が低下してしまいます」

ミトコンドリアの量と質が低下すれば、エネルギー産生量も減ってしまう。精子の場合は、運動機能の低下や数の減少が起きるというわけだ。

「このミトコンドリアの働きを高めるのが、コエンザイムQ10です。サプリメントとして流通しているコエンザイムQ10には、酸化型と還元型の2種類ありますが、吸収されやすく体内でそのまま働くのは後者。抗酸化作用があり、活性酸素を除去する働きもあるので、還元型コエンザイムQ10のサプリメントをおすすめします」

還元型コエンザイムQ10サプリメントを選ぶ際は、安心・安全が確保された国産の原料が配合されたものを選び、エビデンスに基づき、1日200㎎摂取を目指したい。

還元型コエンザイムQ10の働き(メカニズム)

還元型コエンザイムQ10はミトコンドリアを活性酸素から保護しながらエネルギー産生を高める。

3.サウナ、長風呂、ぴちぴちの下着…。精巣を高熱にさらすものはNG

精巣は熱に弱い。睾丸や股間を高熱にさらすと、精子をつくる造精機能が低下してしまうので、サウナや長風呂はできるだけ控えること。また、ぴっちりした下着やタイトなパンツで股間を圧迫するのも、風通しが悪く、熱がこもりやすいため、精子道的にはNGだ。

「膝の上にパソコンを置いて作業すると、股間に熱が伝わるので注意が必要です。どうしても使わなくてはいけない場合は短時間にするなど、対策を講じてください」

4.喫煙やハードなサイクリングなどで血流を滞らせない

「ペニスは血管の塊。血流が悪くなると、精子の数や運動率が低下し、酸化ストレスによって精子のDNAが損傷する場合もあります。また、ED(勃起障害)の危険性もあるので、ぜひ禁煙してほしいですね」

同様の理由で、長時間、前傾姿勢で自転車をこぐのも要注意。サドルがあたって股間の血流が悪くなると、精子の量と質のダウンやED(勃起障害)の原因となるだけでなく、物理的な刺激による前立腺炎で精子の通過障害が起こり、運動率の低下を引き起こす恐れがある。

5.禁欲しすぎない

射精しすぎると精子の数が少なくなってしまうのでは? そんな心配もよぎるが、実は禁欲しすぎる方が精子の質を下げてしまうのだとか。

「精子は毎日つくられるので、射精しないと古い精子がどんどんたまり、精液全体の質を下げてしまいます。また、禁欲しすぎると精子のDNA損傷率が高くなる傾向があることもわかっているんですよ。禁欲期間が1週間以上で運動率が悪い方は、週に2~3回程度の定期的な射精をすることで改善することもあります」

6.育毛剤に気をつける

「ふだん服用している薬が、造成機能に悪影響を及ぼす場合もあります」

注意したいのが、男性型脱毛症、AGAの治療薬。フィナステリドやデュタステリドを主成分とする治療薬には、精子の形成や成熟に必要な男性ホルモンの作用を抑える働きがあるためだ。さらに、副作用として性欲減退や精子数の減少、ED(勃起障害)などが起こる可能性も指摘されている。

「ソイプロテインの摂取を習慣化している方もいらっしゃるかもしれませんが、これも要注意です。ソイプロテインに含まれるイソフラボンは女性ホルモンに似た働きがあるため、男性不妊を引き起こすという研究データも出ていますから。ただし、大量に摂取するのでなければ大丈夫です」

がんの治療薬も男性不妊を引き起こす可能性があるため、治療中であれば担当医と相談し、がん治療と不妊治療のどちらを優先するか検討を。

「精子は凍結保存することも可能なので、精子に影響を及ぼすような薬による治療を行う場合には、専門医に相談するのがおすすめです」

精子は精巣で約74日間かけて育まれ、さらに精巣上体へと移動し、精管を通って射精に至るまで約14日間かかると言われている。つまり、今日の取り組みが、体外に放出される精子に反映されるには3ヵ月ほどかかるということ。

「すぐにでもという人はもちろん、いずれ子供をと考えている人も、これら6つの生活習慣を意識して、元気な精子を育ててほしいですね」

寺井一隆/Kazutaka Terai
2002年順天堂大学医学部卒業後、同大学泌尿器科で研修医を務め、2010年同大学大学院卒業。2010年4月同大学泌尿器科助教、2013年外来医長。2015年帝京大学講師、2018年獨協医科大学埼玉医療センターリプロダクションセンター講師、2019年杉山産婦人科での勤務を経て、2022年5月、「泌尿器と男性不妊クリニック」を開業。全国で100名弱しかいない男性不妊に精通している泌尿器科医のひとりとして、講演会やマスメディアでも活躍。
 

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TEXT=村上早苗

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