友人宅に急にお呼ばれした場合やちょっとしたプレゼント、自宅でのカジュアルなランチ会などの際に、近所のスーパーやデパートなどで5,000〜1万円で買える“ちょっといいワイン”を知っておくと大変便利なもの。おいしいのは絶対条件で、ちょっと蘊蓄も語れると最高ですよね。そんな「街中で買える、1万円以下の“お宝ワイン”」を、年間1000種類近いワインをテイスティングし、つねにおいしいワインを探し求めているワインブロガー・ヒマワイン氏がご紹介。

超狙い目の「有名生産者のコスパ産地」
ある料理上手な知人に、「牛肉を買うなら安い肉の高い部位ではなく、高い肉の安い部位を買うべし」と教わったことがあります。そのほうが同じ値段で買うにしても明らかに満足度が高まるのだと。
今回ご紹介するワインも、そういう“法則”に基づいて選んでみました。それが、ドメーヌ・ルフレーヴのマコン・ヴェルゼです。
ワインに詳しい方なら知らぬ者がない造り手、ドメーヌ・ルフレーヴ。その名は、「白ワイン世界最高峰の生産者は?」と100人に聞いたら30人くらいはその名を挙げる気がする、そんな感じの超有名生産者です。
フランス・ブルゴーニュ地方を代表する超有名生産者の一角だけに、お値段も半端ではありません。
その代表作ともいえる「モンラッシェ グランクリュ」の価格は1本300万円超。小型の自動車一台分とか、住宅ローンの頭金とか、ちょっといいコースのゴルフ場会員権とか、そんな感じの値段は750mlの液体につけられています。1ml4,000円、小さじ1杯20,000円であります。
1本300万円超のワインが買えるかと問われれば、もちろん買えません。買えようはずもありません。
ただ、「どこで収穫したぶどうを使っているか」でワインの値段に大きな差が生まれるのがブルゴーニュのワインの特徴。ドメーヌ・ルフレーヴも様々な土地のぶどうでワインを造っており、それぞれ価格が異なります。
たとえば特級畑であるシュヴァリエ・モンラッシェ グラン・クリュならば30万円超。有名なムルソー村の一級畑のワインならばだいたい6万円前後。畑の名前も村の名前もつかないワインなら、2万円前後で買えます。
この連載は「1万円以下で買えるお宝ワイン」連載。となれば、もう一声、なんとか1万円以下で買えるドメーヌ・ルフレーヴのワインはないのでしょうか? 実は、あるんです。
それがドメーヌ・ルフレーヴのマコン・ヴェルゼ。マコンとはブルゴーニュ南部に広がる産地で、白ワインに適した気候で知られる土地。なのですが、先に挙げたモンラッシェやムルソーといった畑や村のある大人気の産地、コート・ド・ボーヌに比べると、とても値頃感がある産地でもあるのです。これぞ、ワインにおける高いお肉(有名生産者)の安い部位(コスパ産地)状態というわけですね。
マコンという産地は、個人的にも推し産地のひとつ。値段的にはブルゴーニュのなかで明確に格安ですが、その品質は決して価格差ほどに差はないと感じますし、近年多くの有名生産者がこの土地の名前でワインをリリースしているのも、注目に値する産地であることの証明です。
ドメーヌ・ルフレーヴ マコン・ヴェルゼ2024の価格はネット通販で8,000円前後。そりゃまあ高いわけですが、1本300万円超のワインを造る生産者のワインとしては破格に感じます。というわけで2026年9月現在まだリリースされたばかりのそれを、えいやと開けてみました。
その味わいは素晴らしいの一言でした。高級ワインながら味は非常にシンプル。まるで高原の岩清水のように透き通っていて、磨き抜かれた果実の風味に、チョークのような硬質な印象と、まろやかな果実酢のような丸みを帯びた酸味が絡み合います。いいワインだなあ。
2024年は気候的に「難しい年」という話も聞きますし、リリースから間もないだけに、今飲んで楽しめるかどうか実はちょっぴり不安だったのですが、まさしく杞憂。こりゃうまい。さすがはドメーヌ・ルフレーヴであります。
ご自宅で贅沢に飲むもよし。お友達の家への手土産によし。ワイン会によしの万能ワイン。お財布にちょっぴり余裕のある夜に、ぜひ。
ヒマワイン
年間約1000種類のワインを飲み、「ヒマだしワインのむ。」というブログを運営するワインブロガー。高いワインも安いワインも、地球上で造られるすべてのワインが好き。

