GOURMET

2025.08.10

富小路 やま岸|京都屈指の日本料理店が東京に初出店

食に対して圧倒的な情熱とこだわりを持つ秋元康小山薫堂中田英寿見城徹が選ぶ、最強にして超最新レストランガイド「ゲーテイスト2025」。「名料理人の矜持」を感じる店から、今回は東京・麻布台の「富小路 やま岸」をご紹介。

「富小路 やま岸」のカウンター
「瞬間の香り、温度、美味しさを楽しんでいただきたい」と6席のカウンターに限定。

見城「美しい日本文化が融合した食と空間に果てなきロマンを感じる」

京都屈指の日本料理店としてその名を知られる『富小路 やま岸』が東京に初出店。月曜と火曜日は、店主の山岸隆博氏が客人をもてなすために自ら旬の食材を携えて上京。国宝級の器や調度品を愛でながら、美食の時に浸る贅沢が心に沁みる。

秋元 言わずと知れた茶懐石の名店が東京に、と聞いて楽しみにしていたのですが、京都と時差ゼロの料理は想像以上でした。僕がうかがわせていただいた時は、朝掘りの筍を山岸さんが京都から新幹線で運ばれてきて。

見城 見事な筍だったよね。東京に出るお店は増えているけれど、店主がその日のお客さんのためだけに食材を運ぶというのはすごいことだよ。

秋元 筍の根元の部分だけを輪切りにしたお椀は、あまりの余韻の長さに思わず感動のため息が出ました。出汁の味を左右するひとつは水と言われますが、西と東では水質が違うから、お弟子さんと手分けして京都から日々、60㎏の井戸水を運んでくるそうです。

中田 店主自らが奔走する、まさにご馳走ですね。

秋元 本当にそう思います。大御所ではあるけれど、すごく物腰が柔らかくて、ファンが多いのもうなずけます。

「富小路 やま岸」の山岸隆博氏
山岸隆博氏は『一の傳』で修業したのちに独立し、2015年に京都で『富小路 やま岸』を開く。麻布台の店に立つのは月曜と火曜のみ。「僕がいる、いない関係なしにお客様を万全の態勢でお迎えするという気持ちを、店のみんなで共有しています」

秋元「文化的価値に溢れる名店の東京出店に期待が高まります」

見城 旬の野菜を使った料理やお椀も心にじんと沁みました。器使いも素晴らしい。

秋元 安土桃山時代の器ですよね。

見城 そんな価値のある器を“用の美”として捉えているところもすごいよね。山岸さんは職人であり、目利きであり、サービス精神に溢れる人。

秋元 若いお弟子さんたちもその背中を見ることができて人生勉強になりますよね。美味しいものを作るだけではなく、相手に心をいかに尽くすかという学びは簡単に得られるものではないから。東京でお店を開くと決めたのも、料理の世界で生きる楽しさや厳しさを後続の世代に身をもって教えたいという思いあってのことかもしれません。

見城 料理というものはつまるところ、人だと。自分がどれだけ苦悩しても、いかに他者を想えるか。僕はそういう心に深く共鳴します。

【特集 ゲーテイスト2025】

この記事はGOETHE 2025年9月号「特集:陶酔レストラン ゲーテイスト2025」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら

TEXT=小寺慶子

PHOTOGRAPH=橋本真美

PICK UP

STORY 連載

MAGAZINE 最新号

2025年9月号

陶酔レストラン ゲーテイスト2025

ゲーテ2025年9月号

最新号を見る

定期購読はこちら

バックナンバー一覧

MAGAZINE 最新号

2025年9月号

陶酔レストラン ゲーテイスト2025

仕事に遊びに一切妥協できない男たちが、人生を謳歌するためのライフスタイル誌『ゲーテ9月号』が2025年7月25日に発売となる。食に人生を懸ける 秋元康小山薫堂中田英寿見城徹の“美食四兄弟”が選ぶ、圧倒的にスペシャルなレストランを一挙紹介。

最新号を購入する

電子版も発売中!

バックナンバー一覧

GOETHE LOUNGE ゲーテラウンジ

忙しい日々の中で、心を満たす特別な体験を。GOETHE LOUNGEは、上質な時間を求めるあなたのための登録無料の会員制サービス。限定イベント、優待特典、そして選りすぐりの情報を通じて、GOETHEだからこそできる特別なひとときをお届けします。

詳しくみる