食に対して圧倒的な情熱とこだわりを持つ秋元康、小山薫堂、中田英寿、見城徹が選ぶ、最強にして超最新レストランガイド「ゲーテイスト2025」。「名料理人の矜持」を感じる店から、今回は京都・東山の「菊乃井 鮨 青」をご紹介。

小山「この1年で一番よかった鮨店。石塀小路という立地も最高です」
京都の名料亭『菊乃井』が2024年7月に開業した鮨店。懐石料理に加え、京料理の繊細な仕事を施した握りなど、今までにないスタイルを取り入れている。店名は、店に飾られている北大路魯山人の書「雲収山嶽青」の中から一字をとった。
小山 最近行ったなかで一番感動した鮨屋です。『菊乃井』の村田さんがある意味、趣味で作ったお店で、お金のかけ方が尋常じゃない。まず場所が京都のなかでも一番風情がある石塀小路。これはもう女性を連れていくには絶対最高の場所。そして名匠、中村外二工務店が3年くらいかけて改装したという築100年の木造家屋は見事な数寄屋造り。さらに器は全部魯山人なんです。村田さんが好きで集めていたもので、しかも飾るのではなくて、普通に使っています。
見城 京都だけど鮨は江戸前?
小山 江戸前をちょっと変えた形で、随所に技が入っていて、一貫一貫が懐石料理。村田さんは「本当の日本料理の仕事とはこういうものだ」というのを見せたいんだと思うんですよね。
秋元 なるほど、行ってみたいなあ。

小山 コースはつまみというか懐石料理が何品か出されたら、握りを数貫。それを繰り返す感じで、その流れがすごくいい。あと、お椀のお出汁もめちゃくちゃ美味しいです。東京の鮨店だと5〜7万円は取りそうな内容を3万円でやっている。それは東京で高い値段をとっている鮨屋へのアンチテーゼだと思うんです。
秋元 それはとってもわかります。ロケーション、建物、器など、すべて最高ですし。
見城 確かにアンチテーゼだね。最近新しくできている東京の鮨屋は本当に高すぎるよ。
小山 ちなみに2階は京ステーキ懐石『雲収』で、これも村田さんのお店。常連は鮨を食べたあとに「〆は肉で」と言うと、上から肉を持ってきてくれます。
秋元 それは薫ちゃんだから特別にやってくれるんでしょう。
見城 そうですよ。村田さんは日本料理界のドンだからね。
秋元 いいですね、『青』。京都に行く時はぜひ訪ねたいです。
この記事はGOETHE 2025年9月号「特集:陶酔レストラン ゲーテイスト2025」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら