食に対して圧倒的な情熱とこだわりを持つ秋元康、小山薫堂、中田英寿、見城徹が選ぶ、最強にして超最新レストランガイド「ゲーテイスト2025」。人生をアップデートする「特別な美食体験」ができる店から、今回は静岡・三島の「L’OASI(ロアジ)」をご紹介。

見城「自然を大切に思うシェフの生き方が料理に滲み出ている」
ピッツァの名店として知られる『SAKURAGUMI』(兵庫)の西川明男氏の薫陶を受けた畑田健次氏。2013年に地元で開いたこの店では、「地域性」をコンセプトに毎日採取する山菜や、沼津の魚介から生みだす身体に優しい料理と本格ナポリピッツァ、ナチュラルワインを楽しめる。
見城 とあるパーティーの出張料理人として来ていた畑田シェフの料理があまりに美味しくて、お店を聞いたら、「三島でしがないピッツェリアをやっています」って言うんです。それで、すぐに予約して週末に行きました。
中田 三島駅の近くですか?
見城 いえ、駅からクルマで15分くらい。倉庫街みたいなところにあって、元々は銀行の建物だったとか。広いダイニングとカウンター、テラスもある気持ちのいい空間です。
秋元 ピッツェリアですか?
見城 ピッツァも僕は世界一旨いと思っていますが、コースの最後に出てくるんです。好きな種類をふたつ選べて。僕は自家製ドライトマトを使ったブルスケッタと、「パンナ・エ・リモーネ」というレモンのピッツァが気に入っています。でもここにいたるまでの前菜数品・メイン・パスタ2品も涙が出るほど旨い。実はこの座談会で熱弁を振うために昨日も食べてきました。
秋元 すごい惚れこみようですね。
見城 それが自家製の醗酵調味料などを使って、油脂分は控えめ。食材そのものの味を活かしているから美味しいけどとても軽やかなんです。しかも食材は、シェフ自らが朝、野山に山菜やきのこを採りに行き、それから沼津漁港で魚を買い付け、旬の三島野菜を仕入れてというのがルーティン。地域性にこだわって自分の目で見て調達したいから、富士山麓で港も近いこの地で店をやっているって。ピッツァを焼く薪も自分で割って店の周りに積んでいます。
中田 地元の人より東京から来る人が多いんですか?
見城 どっちもだと思う。コースが4400円〜1万円くらい。肩肘張らずに行けるオアシス。あ、店名はイタリア語で“オアシス”っていう意味なんですよ。
小山 こういう店こそ真のディスティネーションレストラン。わざわざでも行きたいです。
この記事はGOETHE 2025年9月号「特集:陶酔レストラン ゲーテイスト2025」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら