食に対して圧倒的な情熱とこだわりを持つ秋元康、小山薫堂、中田英寿、見城徹が選ぶ、最強にして超最新レストランガイド「ゲーテイスト2025」。「名料理人の矜持」を感じる店から、今回は東京・麻布台の「虎景軒 HU JING」をご紹介。

秋元「日本を発つ直前にも食事に行った。山口シェフとの再会に感動」
ジャヌ東京内にあり、ホテル内のレストランとしては珍しいオープンキッチンで指揮を執るのは中国料理好きの多くが帰国を心待ちにしていた元『中華香彩 ジャスミン』の料理長・山口祐介氏。2019年から中国に活躍の舞台を移してさらに知見を深め凱旋帰国を果たした。
見城 皆さんも行かれていますよね。広東と四川料理が多いようですけど、オリジナリティがあって感動しました。上海で仕事をしていた山口シェフをジャヌ東京の最高責任者自らが口説いて連れて帰ってきたそうです。
秋元 『ジャスミン』には結構通っていて、山口シェフが日本を発つ直前にも行ったんですよ。「キャリアアップのために浙江省に行ってきます」って挨拶しに来られて……。それから6年。本場で経験を積まれて、さらに料理の幅が広がっている。喜ばしい帰還です。
小山 感動の再会ですね。僕も初めて来た時に美味しいと感心して「シェフは誰?」と聞いたら、山口さんだったので驚きました。
見城「中国料理でこんなに感動したのは久しぶりです
見城 ジャヌ東京という特別感のあるホテルの素晴らしい空間で、思い入れの深いシェフの成長した姿が見られるっていい話だよね。何を食べても美味しいけど、特に印象的なのが揚げた帆立をスパイスで炒めた一品。香港の船上生活者の「避風塘(ビーフォンタン)」という料理だそうです。
秋元 衣を纏わせて揚げたあの帆立の料理は、ありし日の香港の料理へのオマージュなんだ! 衣はサクッ、中はレア。ありそうでなかった帆立料理ですよね。
見城 うん、フライドガーリックがたっぷりで、香りからそそられる。それと山口シェフが北京ダックに並ぶシグニチャーとして生みだした牛のフィレ肉を黒胡椒で炒めた料理も美味しいよね。
小山「料理も素敵ですがインテリアも素晴らしい」
小山 名品ですね。よだれ鶏が人気すぎるからと敢えて翡翠色で仕上げた蒸し鶏の料理も、山口シェフの「今の僕の料理を食べてほしい!」という想いに溢れています。
見城 子供の時に食べた杭州名物の「東坡肉(トンポーロー)」に感動して、お小遣いを貯めて1時間以上かかる中華街の店に食べに通ったという情熱の人。これからの進化も楽しみに通いたいね。
この記事はGOETHE 2025年9月号「特集:陶酔レストラン ゲーテイスト2025」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら