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2025.08.09

蕎麦屋でテキーラ、春巻き専門店、カウンター中華。秋元康がハマる店3選

中毒という意味を持つAddiction。秋元康さんにとって食は「それくらい心が渇望するもの」だという。とくに予定調和ではないお店に出合うと「頭から離れず、誰かに話したくなる」とも。最近、訪れたなかでも秋元さんの心を動かした、Addictionな店について聞いてみた。最強にして超最新レストランガイド「ゲーテイスト2025」

秋元康のとっておきグルメ3選

秋元康のAddictionな店

中毒という意味を持つAddiction。秋元さんにとって食は「それくらい心が渇望するもの」だという。とくに予定調和ではないお店に出合うと「頭から離れず、誰かに話したくなる」とも。最近、訪れたなかでも秋元さんの心を動かした、Addictionな店について聞いてみた。

「僕が面白いと思うのは、つい誰かに話をしたくなるお店です。代々木八幡の『そば處 大野屋』は、一見、地元で長く愛される老舗の蕎麦店という佇まいなのですが、店主をはじめ、なんと4人もテキーラ・マエストロがいらっしゃる。アカデミー賞のパーティーでも飲まれるドン・フリオ1942など、専門のバーかと思うくらいのラインナップで、寒い時季に提供されている鴨鍋がテキーラのソーダ割によく合うと、一緒に行ったお酒好きはみんな喜んでいました。こういうお店はなかったなあと一本取られた気持ちになると、誰かに話したくなるんです」

蕎麦店でプレミアムテキーラという斬新な組み合わせ。酒好きならいいこと、聴いた! と膝を打ちたくなるような話だ。

「店名からして興味がそそられるのは武蔵小山の『はるまきバトン』。餃子や焼売の専門店はめずらしくないですが、春巻きというのが面白い。メニューを見たら生春巻きに博多豚骨ラーメンや牛すき焼きなど気になる春巻きのオンパレードで、その時あったものは全種類、注文しました(笑)。春巻きがこれほど可能性を秘めていたとは目からウロコ。ポテサラとか〆の担々麺も美味しかった。ニッチなところに目をつける店主だなと感心しながら、お手洗いに行ったら、そのお人柄がひと目でわかるスタッフ募集の張り紙がしてあって。気になる方はぜひ、見に行ってください(笑)」

もうひとつ、中国料理好きの秋元さんの心を射抜いたAddictionな店が、池袋にある『沙漠之月』

「7人も入ればぎゅうぎゅうな小さなお店です。中国の甘粛省出身の英英さんという女性がひとりで切り盛りしていらっしゃるのですが、初めてでも底抜けに明るい笑顔で迎えてくれます。メニューはなくて、今日は何食べたい? というところから始まるんです。僕らが、卵とトマトの炒めたのもいいなあ、前回美味しかった干し豆腐も食べたいですと言うと、食べよう! と言って手際よく作ってくれる。

小さなお店ですから、キッチンのスペースも限られていますが、美味しいものがどんどん出てきます。水餃子もその場で皮から作ってくれて、その様子を眺めていたら胃袋も心も摑まれるに決まっていますよね。どんなに大食漢の大酒飲みと行ったとしても、ひとり1万円くらいでみんなが幸せ。初めてうかがった時にバイト帰りの娘さんがお店に来られて。客の僕らに接するのと変わらない笑顔で、何か食べる? と英英さんが聞いている姿に心が温かくなりました」

秋元さんが教えてくれたAddictionな店には、オリジナルの味と人柄が詰まっていた。

1.代々木八幡「そば處 大野屋」

老舗蕎麦店でテキーラというギャップが酒好きを魅了

昭和23年に創業し、地元で愛され続ける『そば處 大野屋』は、おそらく日本で一番テキーラを揃える蕎麦店。3代目店主は日本テキーラ協会認定のテキーラ・マエストロという肩書を持ち、自身の店でもクラシックからモダンなタイプまで70銘柄以上を揃える。意外にも和食との相性は抜群で、出汁自慢の蕎麦や冬季限定の鴨鍋との組み合わせにハマるリピーターが続出。季節がわりの一品料理も充実しており、昼飲みも大歓迎。ロックやソーダ割のテキーラとともに未知のマリアージュを体験したい。

2.武蔵小山「春巻き専門店 はるまきバトン」

春巻きの可能性を拓くコアな専門店は酒場使いも

春巻きクリエイターという肩書を持つ店主の平野順弘氏。これまで生みだした”作品”は、なんと280種以上。自身の店では週替わりを含む16種前後の春巻きを提供する。10品目の具材を詰めこんだ「王道バトン」をはじめ、牛すき焼きやラーメン、広島風お好み焼きなどこんなものまで春巻きに? と心が弾むラインナップ。具材の水分量と油量を調整するのが、軽やかな食感に仕上げる秘訣だ。台湾ビールやジンなどアルコール類も充実しており”春巻き飲み”という新しいムーブメントを巻き起こす予感!

3.池袋「沙漠之月」

チャーミングな店主の笑顔と真心に安らぐカウンター中華

池袋駅東口から徒歩10分ほどの雑居ビルに店を構える『沙漠之月』。店主の英英さんが、小麦粉文化が根づく故郷の家庭料理を出す店を始めたのは「食べることも料理することも大好き」というシンプルな理由から。お客のリクエストを聞きながら、調理をする姿はいかにも楽し気で、電光石火の速さで餃子の皮を伸ばし、餡を包む姿にも思わず見惚れる。炒めものから手打ちの麺まで料理のバリエーションは無限大。貸し切りでの酒宴も、ひとりごはんも”月並み”ではない満足感に浸ることができる。

【特集 ゲーテイスト2025】

この記事はGOETHE 2025年9月号「特集:陶酔レストラン ゲーテイスト2025」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら

TEXT=小寺慶子

PHOTOGRAPH=田中駿伍(『そば處 大野屋』『沙漠之月』)、橋本真美(『はるまきバトン』)

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