毎年10万人以上を動員する「CRAFT SAKE WEEK」などのイベントをプロデュースし、また日本酒アプリ「Sakenomy」を開発するなど、日本酒の伝道師として活躍する中田英寿さん。これまでに全国400以上の酒蔵を訪れた中田さんが、数あるなかから今おすすめの日本酒を紹介する。さらにその日本酒と合わせる逸品を、その造り手の蔵元に教えてもらった。12回連載の最終回。【中田英寿の最愛酒】
常山 純米大吟醸 超辛/常山酒造(福井県)
江戸文化元年(1804年)創業の常山酒造が醸造する純米大吟醸酒。福井市美山地区で育てられた酒米を、精米歩合50%まで削ることで、キレのある旨みと吟香を兼ね備えた味わいを実現。淡麗でありながらも米の旨みを十分に引き出す、“越前辛口”を感じられる一品だ。
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「『常山(じょうざん)』を醸す常山(とこやま)酒造は、日本海と越前の山々に囲まれた自然豊かな場所にあります。商品名に『超辛』と入れているように、そのキリッとした辛口が印象的な造り。『常山 純米大吟醸 超辛』は、リンゴや白い花などの上品な香りと、ミネラル感のある味わいで、後味はすっきりとしています」
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蔵元が厳選! 常山 純米大吟醸 超辛と合わせたい逸品
天たつ/越前仕立て汐うに
「当蔵と同創業年(1804年)の老舗雲丹商『天たつ』が丹精込めて造った汐うに。爪楊枝の先にちょこっと付け、口の中で溶かしながら酒を含むと磯の風味が口内一杯に広がり、まるで福井の日本海そのものを味わっているかのような絶妙なハーモニーを奏でます。これだけで延々と酒が愉しめる福井が誇る至極の逸品です。是非お試しください」(蔵元 常山由起子さん)
石鎚 純米吟醸 緑ラベル/石鎚酒造(愛媛県)
西日本最高峰「石鎚山(いしづちさん)」のふところ、愛媛県西条市に流れる清冽な水を仕込み水に使用した食中純米吟醸は、キレのある華やかな香味が特徴。「IWC(International Wine Challenge) 日本酒部門 2020 純米吟醸の部 BRONZE」を受賞するなど、その丁寧に醸造された爽やかな飲み心地は、多くの日本酒好きから愛され続けている。
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「『食中に活きる酒造り』をモットーに3杯目から旨くなる酒づくりをすすめる石鎚酒造。蔵元家族中心の酒作りだが、『ワイングラスでおいしい日本酒アワード 2021』にて最高金賞するなど、実力は折り紙付き。『石鎚 純米吟醸 緑ラベル』は、『石鎚』を代表する商品であり、その優しく滑らかな味わいとすっきりとした後味は、様々な料理で楽しむことができます」
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蔵元が厳選! 石鎚 純米吟醸 緑ラベルと合わせたい逸品
東雲かまぼこ/無添加じゃこ天
「穏やかながら凛とした気品漂う食中純米吟醸は、じゃこ天ともよく合います。他には蒸したワタリガニも」(蔵元 越智浩さん)
酔鯨 純米吟醸 吟麗/酔鯨酒造(高知県)
吟醸香をあえておさえることで、素材の旨みや酔鯨独特の酸味をバランスよく引き出した純米吟醸酒。洋梨のようなあっさりとした味わいは、脂分の多い料理など、一緒に頂く「肴」の美味しさを一層引き立てる。「雪冷え(5℃前後)」から「常温(20℃前後)」まで、幅広い温度で楽しみたい。
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「海、山、川に囲まれた高知県は、新鮮で美味しい食材が豊富。地元の人々は食べることも飲むことも好きで、辛口の日本酒を好んで飲むことでも有名です。そのため『酔鯨酒造』では、穏やかな香りとすっきりとした後味のバランスに優れた、辛口の味わいが特徴の酒を造っています。『純米吟醸 吟麗』は、鰹のたたきや旬の魚にぴったりです」
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蔵元が厳選! 酔鯨 純米吟醸 吟麗と合わせたい逸品
土佐料理司/極上一本釣り 鰹たたき
「土佐人にとって食のルーツともいえる鰹。特に『鰹のたたき』は土佐の宴席では必ずといってもよいほど登場する定番の料理です。春ののぼり鰹の時期には赤身のうまみを、秋の戻り鰹の時期には脂のうまみと、時期によって味わいが異なるのも鰹のたたきの良いところ。鰹の強く、豊かな旨味は土佐の辛口酒と好相性。究極の食中酒を目指す酔鯨を代表する純米吟醸酒の吟麗は、ふくよかなうまみとキレの良いあと味で、鰹の旨味を存分に引き出します」(蔵元 大倉広邦さん)
美丈夫 純米大吟醸 舞/濵川商店(高知県)
準酒造好適米として評価の高い「松山三井」を大粒選抜し固定された「しずく媛」を使用。穏やかな香りと上品な酸味は、淡白な魚貝類や出汁を利かせた料理と相性が良く、平目の薄造りや茄子の揚げ出しと一緒に堪能したい。
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「日本酒の原材料はおよそ7割が水。濵川(はまかわ)商店の酒造りの一番の特徴は、この仕込み水が国内屈指の超軟水であること。代表銘柄『美丈夫』は、美しく、強く、そして優しくをモットーに、透明感のある澄んだ味わいの日本酒として知られている。『美丈夫 純米大吟醸 舞』は、上品な香りと柑橘系の爽やかな後味が、さっぱりとした味付けの料理によく合います」
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蔵元が厳選! 美丈夫 純米大吟醸 舞と合わせたい逸品
松岡蒲鉾店/松岡かまぼこ 大天
「高知らしい辛口酒の酸と後キレに、魚介の旨さを味わえるペアリングです。 酒の特長は上品な甘さにきれいな酸、後味のシャープさ。天ぷらを口にした後で酒を呑むと、米と魚の優しい甘みがより感じられます。そして、酒の酸と後キレが天ぷらの油分を洗い流して口の中が爽やかに。最後には、鼻から抜ける柔らかなアルコール感とともに心地よい旨味が余韻となります。 蔵での食事や宴会にも頻繁に登場する、蔵元お気に入りのペアリングです」(蔵元 濵川尚明さん)
若波 純米吟醸/若波酒造(福岡県)
筑紫次郎とも呼ばれる筑紫川の傍らに蔵を構える若波酒造が、「筑紫次郎のように若い波を起こし続けよ」という想いから命名。南国フルーツを想わせる爽やかな香りと清々しい余韻は、福岡名物である「水炊き」の鶏肉やポン酢と相性抜群だ。
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「若波酒造は、8代目杜氏で現在は製造統括をしている姉の今村友香さんと、弟で4代目当主となった今村嘉一郎さんを中心とする若いチームで酒づくりをやっています。近年、日本酒初心者や若い世代にファンが拡大中の銘柄『若波』の『若波 純米吟醸』は、すっきりとした後味で、暑い夏の夜に爽やかな味わいの料理と一緒に楽しむのにぴったりです」
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蔵元が厳選! 若波 純米吟醸と合わせたい逸品
やまひら(夜明茶屋)/有明海産 エツ子
「有明海に一番近い酒蔵といわれている若波酒造。有明の幸とのマッチングには絶対の自信を持っています。『味の押し波・余韻の引き波』をコンセプトとするその飲み口は、味がぐっと押し寄せ爽やかに引きいく波の様。九州の甘いお醤油味にはそっと寄り添い、淡白な素揚げには爽やかな余韻を残してくれます」(蔵元 今村嘉一郎さん)
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