毎年10万人以上を動員する「CRAFT SAKE WEEK」などのイベントをプロデュースし、また日本酒アプリ「Sakenomy」を開発するなど、日本酒の伝道師として活躍する中田英寿さん。これまでに全国400以上の酒蔵を訪れた中田さんが、数あるなかから今おすすめの日本酒を紹介する。さらにその日本酒と合わせる逸品を、その造り手の蔵元に教えてもらった。12回連載の第8回。【中田英寿の最愛酒】
特別純米 東京和醸/田村酒造場(東京都)
東京都福生市に酒蔵を構える田村酒造場は、玉川上水のほとりで敷地内に流れる上質な水を活かした日本酒造りをしている。本来の香りや味わいが失われないように「瓶燗火入(びんかんひいれ)」で出荷される「特別純米 東京和醸」は、芳醇な味わいで食中酒としても楽しめるのが特徴。東京都の花、桜と東京の街並みをイメージしたパッケージは、見た目も華やかで海外や地方の方へのギフトや手土産に最適だ。
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「東京の福生市における田村家の歴史は、1600年代後半にまで遡ることができます。田村家はこの地域で最も古い家系の一つであり、福生市の発展と多摩地域の酒造りに大きく貢献してきました。『嘉泉 特別純米 東京和醸』はボルドー型のワイングラスが最適で、芳醇で深みのある味わいが楽しめます」
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蔵元が厳選! 特別純米 東京和醸と合わせたい逸品
福生ハム/骨付ハム(骨抜き)ブロック約400g
「蔵のある福生市は、ハムが特に有名です。市内には、2社ハムの製造を行っている工場があり、昔から多くの方に愛されています。味わいのある商品なので、厚めにスライスしてハムステーキはもちろん、サンドウィッチやサラダ、冷やし中華等にもおすすめ。『特別純米 東京和醸』は口当たり柔らかでやや辛口なので、味わいのあるハムとも相性抜群です」(蔵元 田村半十郎さん)
SHIRAKIKU BLACK LABEL VIBRANT 純米無濾過生原酒/白杉酒造(京都府)
酒母にのみ黒麹を使用した辛口純米酒で、葡萄を思わせるような豊かな香りが特徴。リンゴ酸多産性酵母で醸造された日本酒は、クエン酸によるジューシーでフルーティーな香味が感じられる。使用される米にも、心がホッとする“ゴハンのような日本酒”を目指し、丹後で生産される食用米を使うなど多くのこだわりが。無濾過生原酒は、12月から3月までの冬季限定だ。
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「1777年に京都で創業した白杉酒造は、近年、食用米のみを使用した深みがありながらも飲みやすい日本酒で注目を集めています。焼酎用の黒麹を使用した『SHIRAKIKU BLACK LABEL VIBRANT』は、ワインのソーヴィニヨン・ブランを思わせるフルーティーな香りと酸味が特徴で、白ワイングラスで飲むのにぴったりです」
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蔵元が厳選! SHIRAKIKU BLACK LABEL VIBRANT 純米無濾過生原酒と合わせたい逸品
竹中罐詰/子持ちししゃも油づけ
「やや辛口に仕上げた純米無濾過生原酒のVIBRANTは、黒麹由来のクエン酸により、シャープな酸味が特徴の一本です。脂ののったししゃもの油づけを食べた後にVIBRANTを口に含むと、そのオイリーな旨味と磯の香りを引き立てながらも、シャープな酸により後味はキレイでさっぱりとし、もう一口と箸をのばしたくなるような相性の良さです」(蔵元 白杉悟さん)
ALPHA TYPE 2「この上なき華」/油長酒造(奈良県)
高精白にも耐えうる秋津穂を使用することで、低精白とは一線を画す精米歩合22%を実現した純米大吟醸酒。どこまでも滑らかな質感から「この上なき華」と名付けられた通り、鼻を抜けるさわやかな香りとボリューム感のある味わい。ほのかなに広がる果実の香りと口に残るクリアで酸味のある余韻で、すっきりとした日本酒が好きな人にはたまらない一品だ。
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「油長酒造の13代目蔵元は、『清酒発祥の地』といわれる奈良の酒造技術や文化、歴史について豊富な知識を持っています。そんな蔵元が作る『ALPHA 風の森 TYPE 2』はブルゴーニュグラスにピッタリ! 柔らかなハーブの香りと、地元産の米「秋津穂」がもたらす豊かなうまみをより楽しむことができます」
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蔵元が厳選! ALPHA TYPE 2「この上なき華」と合わせたい逸品
生産者直売の合鴨肉専門店 鴨重/鴨の焼肉岩塩セット
「地元御所の鴨で、すべて自社農場で飼育した新鮮な鴨肉になります。 ALPHA 風の森 TYPE2のボリューム感ある味わいと相性が良いです」(蔵元 山本長兵衛さん)
福田 純米吟醸 山田錦/福田酒造(長崎県)
福田酒造が位置する長崎県平戸市は、かつて日本で最初の海外貿易港として栄えた風土や、農業や漁業から取れる豊富な生産物など、長い歴史で培われた文化が息づく街。「米作りからの酒造り」をテーマに、平戸でしかできない日本酒を目指して作られた「福田 純米吟醸 山田錦」は、華やかな吟醸香としっかりとした米の旨味が感じられる。ほどよい穏やかな香味は、淡白な白身魚の刺身と相性抜群だ。
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「日本最西端で酒を醸す福田酒造の『福田 純米吟醸 山田錦』は、フランスで行うフランス人のための日本酒のコンクールである『Kura Master』で3年連続で金賞に輝きました。クープやヴィンテージシャンパングラスのような口の広いグラスがピッタリで、豊かな果実の香りと味わいはフランス人もおすすめの1本です」
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蔵元が厳選! 福田 純米吟醸 山田錦と合わせたい逸品
大吉蒲鉾/金すぼかまぼこ
「平戸の特産品で根強い人気のある『川内かまぼこ(すぼ)』。この蒲鉾の特徴は、ストローの形をした『スボ』で蒲鉾を巻いているということ。主に平戸市内の川内地区で製造されており、1本を丸かじりするのが平戸の食べ方です。それに合わせる日本酒は、穏やかな香りと米の旨味が調和した純米吟醸です。新鮮な魚を使用した川内かまぼこの素材の味と旨口の日本酒で杯を重ねるごとにそれぞれの旨味が重なります」(蔵元 福田竜也さん)
千徳純米大吟醸「夢の中まで」/千徳酒造(宮崎県)
宮崎県唯一の清酒専門蔵である千徳酒造は、100年以上の伝統や技術を守りながら原料の素材を活かした日本酒を製造している。宮崎県産酒造好適米「山田錦」を50%以下になるまで磨きあげ、日本トップクラスと評される水質の五ヶ瀬川の水で醸した日本酒は、華やかな香りとさわやかな口あたりが特徴。
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「南九州というと焼酎のイメージが強いですが、宮崎県で唯一の酒蔵である千徳酒造は、100年以上前から日本酒を造っています。『千徳純米大吟醸 夢の中まで』は、華やかな花の香りと整った味わい、爽やかな後味が特徴で、チューリップ型の白ワイングラスがぴったりの一本です」
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蔵元が厳選! 千徳純米大吟醸「夢の中まで」と合わせたい逸品
合同会社SA・Te黒潮/ひなた黒潮からすみ
「日向灘沖で獲れた『沖ボラ』の高品質な魚卵を職人の思いを込めて丁寧に処理し、宮崎のさんさんと降り注ぐ陽光により旨味を凝縮した深い味わいのからすみと、さわやかな口あたりの日本酒は、宮崎の自然の恵みを感じることの出来るペアリングです。是非ご賞味ください」(蔵元 門田賢士さん)
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