毎年10万人以上を動員する「CRAFT SAKE WEEK」などのイベントをプロデュースし、また日本酒アプリ「Sakenomy」を開発するなど、日本酒の伝道師として活躍する中田英寿さん。これまでに全国400以上の酒蔵を訪れた中田さんが、数あるなかから今おすすめの日本酒を紹介する。さらにその日本酒と合わせる逸品を、その造り手の蔵元に教えてもらった。12回連載の第4回。【中田英寿の最愛酒】
純米生酛 山田錦2008/大七酒造(福島県)
2008醸造年度産の、特別純米酒「純米生酛 山田錦」の熟成古酒。原料米は最高級の山田錦のみ。お米の持つ潜在力を最大限に発揮させるため、じっくりと静かに庫内で熟成させた。生酛造りならではの深いコクがある。
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「まるでワイナリーのような美しい外観の大七酒造は、丁寧な生酛造りの芯があるお酒で海外でも人気。『純米生酛 山田錦 2008』は、料理の味を引き立てる酒造りの技術を具現化したもの。穏やかな熟成を経て、深いコクと美しく洗練された柔らかな味わいが生まれ、魚の煮物との相性は抜群です」
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蔵元が厳選! 純米生酛 山田錦2008と合わせたい逸品
大川魚店/うに缶
「うにの濃密な旨味には、しっとりと熟成された『純米生酛 山田錦 2008』を合わせるのがおすすめ。良質な山田錦で醸された純米酒のなめらかさと、豊かな余韻はうにの濃密な旨味を包み込みます」(蔵元 太田英晴さん)
綿屋 純米吟醸酒 山田錦55/金の井酒造(宮城県)
おいしいお酒、楽しいお酒を醸すというテーマで酒造りを行っている金の井酒造。徳島県産阿波山田錦を100%使用した純米吟醸酒は、爽やかな果実のような香りが特徴。適度な酸がしまりとキレをもたらす。
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「金の井酒造では、看板商品である名柄『綿屋』の醸造に使用する米の栽培にまで深く関わっています。米の旨味を最大限に引き出し、そのキレの中にふくよかなコクがある、魚介が美味しい宮城県ならではの味わい。脂がのっている魚にピッタリの一本」
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蔵元が厳選! 綿屋 純米吟醸酒 山田錦55と合わせたい逸品
ダイチ/漢方和牛メンチカツ
「毎年、綿屋では11トンの酒粕が出ます。漢方牛は、子牛の頃にこの綿屋の酒粕を食べ、大人になると漢方ハーブを食べて育ちます。その赤身のお肉のメンチカツはまろやかで、口の中で程良くとろけ、お酒との相性が最高です」(蔵元 三浦幹典さん)
播州一献 純米吟醸 超辛 播州山田錦/山陽盃酒造(兵庫県)
「播州一献」は、酒自体が主張しすぎることなく、いかに料理を引き立てるかを重視。ルビーグレープフルーツのような軽快で爽やかな酸と甘み、口に含んだときの柔らかさ、余韻がきれいに消えていく後キレが特徴。
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「山陽盃酒造は、2018年に歴史的な木造倉庫が火災で焼失したにもかかわらず、この悲劇を施設の近代化と酒質の向上の機会に変えた。『播州一献 純米吟醸 超辛 播州山田錦』のしなやかで豊かな味わいと爽やかな酸味は、幅広い魚介類の料理との相性が抜群です」
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蔵元が厳選! 播州一献 純米吟醸 超辛 播州山田錦と合わせたい逸品
山吹/鮎のあめ煮
「伝統料理『鮎のあめ煮』はどこか素朴さと同時に懐かしさを感じる一品です。その『鮎のあめ煮』と相性の良いのは、『播州一献 純米吟醸 超辛 播州山田錦』です。おだやかな香りから始まり、アフターではさすがの辛口というべきシャッキリとしたキレの良さを実感できます。また爽やかな酸と甘みも含んでおり『鮎のあめ煮』との味わいにぴったりとマッチし、更に食欲をそそります」(蔵元 壷阪興一郎さん)
澤乃井 東京蔵人/小澤酒造(東京)
小澤酒造は、元禄15年(1702年)江戸と甲州を結ぶ街道筋・武州沢井村に創業。酒銘「澤乃井」は、豊かな水が沢となって流れる様子からつけられた「沢井村」という地名に由来する。日本酒造りの原点である「生酛造り」で仕込んだ純米吟醸酒は、口当たりなめらかで、程よい酸が旨味を引き立たせる。
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「小澤酒造は東京にある数少ない酒蔵の中でも、最も古い酒蔵。素晴らしい佇まいの酒蔵では毎日無料のツアーが行われており、『澤乃井』の酒について知ることができるだけでなく、周辺のレストランも楽しめ、家族連れでも楽しめる酒蔵です。日本酒作りを知るきっかけには最高の酒蔵です」
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蔵元が厳選! 澤乃井 東京蔵人と合わせたい逸品
澤乃井ままごと屋/燻製とうふ
「ままごと屋の豆腐に使われる水は、奥多摩の清らかな自然の恵み、澤乃井の仕込水。大豆は、厳選された国産大豆100%です。こだわりの自家製豆腐で作る燻製とうふはクリーミーでなめらか、『澤乃井 東京蔵人』の豊かなコクと酸味との相性抜群です。とうふなのでヘルシーなところもおすすめのポイントです」(蔵元 小澤幹夫さん)
臥龍梅 純米大吟醸 山田錦45 袋吊り/三和酒造(静岡県)
兵庫県産の山田錦を45%まで磨き込んで使用し、袋吊りで上槽することで雑味の少ない繊細な味わいに仕上げた純米大吟醸酒。「臥龍」とは地にひそみ隠れている龍の意味で、志をのばす機会を得ず民間に隠れていた英雄、諸葛孔明の例え。やがては天下の美酒と謳われることを願って「臥龍梅」と名づけられた。
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「三和酒造の代表銘柄『臥龍梅』は、静岡県沿岸部ならではのフルーティーな香りと、なめらかできれいな味わいが特徴。『臥龍梅 純米大吟醸 山田錦45 袋吊り』は、まろやかな風味とシャープな酸味は寿司やカツオ、アジ、イカスミなどの魚介類との相性が最高です」
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蔵元が厳選! 臥龍梅 純米大吟醸 山田錦45 袋吊りと合わせたい逸品
モンマルシェ/ローレル オイルサーデイン
「1929年に日本で初めてツナ缶を製造した清水食品を前身に持つ、静岡市清水区のモンマルシェ。ツナ缶のパイオニアとして当時の伝統製法を継承し、こだわりぬいてつくるオイルサーディンです。良質な小さめサイズのいわしは身も骨も柔らかく、食べやすさは抜群。味付けはシンプルな塩とローレルのみで、ぎゅっとつまったいわしの旨味を堪能できます。合わせたい日本酒は『臥龍梅 純米大吟醸 山田錦45 袋吊り』。コクのあるオイルサーディンには、きりっと冷やしたキレの良い山田錦が相性バッチリです」(蔵元 鈴木克昌さん)
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