高級時計の世界では、時刻を表示するという機能は同じであるにもかかわらず、豊かな発想力と確かな技術力によって、常に新しいアイデアやスタイルが生まれている。なかでも巨大資本の傘下に入っていないインディペンデントなブランドは、独自路線を突き進んで表現力に磨きをかけ、群雄割拠の時計業界のなかでも特殊な存在感を放っている。
独自路線を進むインディペンデントな時計ブランドを追え!
例えば、H .モーザーの「ストリームライナー・トゥールビヨン ワイオミングジェード」。ダイヤル素材に天然石のジェード( 翡翠[ひすい])を使用することで、6時位置にフライング・トゥールビヨンを神々しく演出している。敢えてブランドロゴを目立たせないという戦略も大胆だ。
天才デザイナーのブランドを復活させたジェラルド・チャールズの「マエストロ9.0 トゥールビヨン」は、有機的でエルゴノミックなケースデザインに10気圧防水というタフな性能を加え、さらに6時位置のケースのふくらみに合わせてトゥールビヨンをセット。ラバーストラップを組み合わせることでスポーティに楽しめるようにした。
ドイツの実力派、モリッツ・グロスマンの「トゥールビヨントレンブラージュ」は、古典的な時計製造技術に敬意を払っており、細部まで徹底的に仕上げを行っている。しかもトゥールビヨンキャリッジは、3分かけてゆっくり一周する設計なので、その優雅な動きが心に染みるだろう。
さらに1971年に創業したマニュファクチュールであるジラール・ペルゴは、2022年にグッチやサンローランを擁する巨大ファッションコングロマリットのケリンググループから独立。「ネオ ブリッジ アストンマーティン エディション」は、アイコニックなブリッジを用いて調速脱進機が見えるデザインを採用しており、DNAである左右対称で美しいメカニズムをつくり上げた。
いずれの時計も、伝統的な時計技術を取り入れながらも、モダンさや芸術性、あるいはクラシシズムなど、+αの個性を加えている。それは資本的に独立しているだけでなく、時計界における“こうあるべき”という固定観念からも独立した、インディペンデントな存在であるという見方もできるだろう。
こうした時計を身につけることは、自分は社会の常識に囚われない独自の感性を持っている人間である、という所信表明にもなるのだ。
1.H. モーザー|ストリームライナー・トゥールビヨン ワイオミングジェード
繊細さと大胆さを併せ持つスポーツ系トゥールビヨン
レッドゴールド製のケース&ブレスレットはマット仕上げにして輝きを抑え、ジェードダイヤルの個性とトゥールビヨンの存在感を引きだしている。世界限定100本。
2.ジェラルド・チャールズ|マエストロ 9.0 トゥールビヨン
天才のブランドが復活! 今もっともホットなブランド
天才デザイナーのジェラルド・ジェンタが2000年に立ち上げた時計ブランドが、日本市場本格上陸。防水性や耐衝撃性に優れた、日常使いできるトゥールビヨンだ。世界限定50本。
3.ジラール・ペルゴ|ネオ ブリッジ アストンマーティン エディション
高度なエンジニアリングと美しいカラーリングのコラボレーションモデル
英国の名門アストンマーティンとのコラボレーションモデルで、ブリティッシュグリーンのブリッジで調速脱進機を支え、精密なメカニズムを細部まで観賞できる。世界限定250本。
4.モリッツ・グロスマン|トゥールビヨン トレンブラージュ
丁寧な手仕事が時計を眺める時間を幸福にする
時分秒針が独立したレギュレーターにトゥールビヨンを組み合わせたモデル。大型キャリッジをゆっくり回して、上質な時を刻む。世界限定8本。