39歳で5大会連続ワールドカップ出場を果たしたDF長友佑都(FC東京)。8年以上共闘した、森保一監督のことを中心にインタビューを行った。3回目。

日本は日本人の監督に厳しい!?
サッカー日本代表の監督という椅子は、常に過酷な重圧と隣り合わせだ。どれほど結果を出しても、戦術の選択や選手の起用について、メディアやファンから容赦のない批判が浴びせられる。森保一監督が率いた8年間も例外ではなく、時に理不尽とも思えるほどの激しいバッシングの嵐に晒されてきた。
その状況を間近で見続けてきた長友佑都は、指揮官が置かれていた過酷な環境について静かな怒りともどかしさを滲ませる。
「森保監督は、ひどい批判を受けていたと思います。代表監督はどんな人でもみんな受けているでしょうが、日本は日本人の監督に厳しいと思います」
確かに、日本人監督に対する世論の目は、外国人監督に対するそれよりも厳しい傾向がある。アジアカップでの苦戦や、ワールドカップでの目標未達など、悔しい結果に終わった大会があったことは事実だ。しかし、長友は「木を見て森を見ない」批判に対して、真っ向から反論を展開する。
「もちろんワールドカップでベスト8にいけなかった、アジアカップが取れなかったというのはあるかもしれません。ですが、この8年間の歩みを見ていると森保監督は相当に日本のレベルを引き上げました。選手を育てて層を厚くし、チームを作ってきたと思います。親善試合とはいえ強豪国を次々と倒してきました。かつては親善試合でも勝てなかったことを考えると、批判というより称賛されるべきだと思います」
長友の言葉通り、森保体制の8年間で日本代表の現在地は劇的に変化した。ヨーロッパのトップクラブで活躍する選手が増え、もはや強豪国を相手にしても「引いて守る」だけでなく、堂々と真っ向勝負を挑める陣容が整った。ドイツやスペインといった世界の頂点を知る国々を打ち破った事実は、紛れもなく指揮官の手腕と、長期的なチーム作りの成果である。
優しい「人格者」の顔の裏にあるもの
2018年ロシアワールドカップでコーチとして入閣した当時から、森保監督の人柄そのものは「全く変わっていない」と長友は語る。しかし、チームの進化に伴い、指揮官の内に秘めた熱量は明らかに変化を遂げてきた。
「ただ、やっぱりコーチと監督という立場の違いで、厳しさや目の奥にある炎と熱意、覇気みたいなものは変わってきたと思います。どんどん厳しさが増してきたような気がします」
優しい「人格者」の顔の裏にある、勝負師としての烈火のごとき炎。その厳しさこそが、日本代表を一つ上の次元へと引き上げた原動力だった。
2026年北中米ワールドカップを終え、森保監督は2027年のアジアカップまで続投することが決まった。異例の長期政権となるが、選手たちの間に「飽き」や「緩み」は一切ない。むしろ、共に苦難を乗り越えてきたからこそ、「次こそは」という並々ならぬ決意がチーム全体を包み込んでいる。
「森保監督がアジアカップまで継続ということになりましたし、優勝して森保監督を胴上げしたいという気持ちをみんな持っていると思います」
長友自身も、その思いは誰よりも強い。自身のキャリアの最終盤において「恩師への報恩」を大きな目標に置いている。
「自分も森保監督にどんな形でも恩返しをしたいという気持ちがあります。あの人を胴上げして終わらないと、自分の恥だと思います。そのぐらい思わせてくれる監督ですね」
「胴上げしないと恥」――。その強烈な覚悟の言葉は、8年間にわたって日本のために身を削り続けてきた指揮官への、最大の敬意の表れ。批判の嵐を耐え抜き、着実に日本サッカーを進化させてきた森保一と、その魂に共鳴し続けた長友佑都。彼らが目指す集大成の歓喜の瞬間は、2027年のアジアカップで現実のものとなるはずだ。
※取材日は2026年9月3日。

