FIFAワールドカップ北中米大会で1次リーグF組の日本代表は2026年6月20日の第2戦でチュニジアと対戦する。6月15日の第1戦では優勝候補の一角であるオランダに2-2で引き分けた。格上から価値ある勝ち点1を獲得し、3大会連続の1次リーグ突破に前進。好発進の裏には、初戦の2日前に実施された選手だけのミーティングがあった。【特集 2026FIFAワールドカップ】

オランダ戦2日前、28人だけで開かれた”決起集会”
オランダ戦が2日後に迫った6月12日夜。試合開催都市テキサス州ダラス市内のホテルの一室に、W杯日本代表26人に、サポート選手のDF吉田麻也、メンターとして同行するMF南野拓実を加えた28人が集結した。
森保一監督やコーチ陣、スタッフの姿はない。チームの結束力を高めるために、開催された選手だけのミーティングだった。発起人のDF板倉滉主将が言う。
「もう一段階グッと一体感を強め、ワンチームにこだわりたい。これまで先輩たちがミーティングでつくり上げてきた雰囲気もある。そういうところも、もう一度共有したかった」
ミーティングで5大会連続のワールドカップ出場となるDF長友佑都、前回2022年カタール大会で主将を務めた吉田ら経験豊富な選手たちが4年に1度の大舞台に向かう心構えなどを熱く語った。
今回のメンバーは26人中13人が初出場。DF菅原由勢は「個人的にしゃべってほしいと思っていた人が120点満点の話をしてくれた。僕らみたいに初出場の選手には相当響いた。(印象的だった話は)本を書けるくらいあります」と証言した。
「1点差なら大丈夫」。選手たちが共有した勝利への覚悟
その“ダラスの夜”から2日後のオランダ戦。優勝候補の一角を相手に2度のリードを追いつき2-2の引き分けに持ち込んだ。
先行される展開でも最後まで崩れなかったのは、選手ミーティングで共有された「1点差なら大丈夫。最後までタフに粘り強く戦う」という意思統一ができていたからに他ならない。
過去のワールドカップでも選手ミーティングは転機になってきた。
前回2022年カタール大会は1次リーグ突破を懸けた第3戦のスペイン戦前夜に開催。控えに回っていたベテランGK川島永嗣が涙ながらに大会に懸ける思いを訴えて結束力が強まり、金星につながった。
ハリルホジッチ監督の解任に伴う西野朗監督の就任から、わずか2ヵ月後に迎えた2018年ロシア大会は初戦2日前に選手ミーティングを実施して戦い方のコンセプトを確認。2010年南アフリカ大会では事前合宿中の開催で戦術を大幅転換する契機になった。
長友佑都が再びチームを締めた。異例の2度目の選手ミーティング
本格的なチュニジア対策に着手した6月17日の練習前。長友の提案で2回目の選手ミーティングが行われた。板倉主将から指名を受け、長友が一人で熱弁。約5分の短い時間だったが、チームの雰囲気は引き締まった。
W杯期間中に2回の選手ミーティングを開催するのは異例。長友は「W杯に向けて4年間かけて準備してきて、1戦目を終えると緊張の糸が切れてしまう。やっぱり、どうしても人間なのであるんです。それがないようにもう一回、気を引き締めようというのは伝えました」と意図を明かした。
コスタリカ戦の教訓を繰り返さない。日本代表が挑む”鬼門”の第2戦
日本にとって1次リーグ第2戦は鬼門。過去7度の出場で1勝3分け3敗と、第1、3戦と比べて最も勝率が低い。
前回2022年カタール大会は初戦でドイツを撃破も、第2戦で格下コスタリカに苦杯をなめた。今回は強豪オランダに好勝負を演じ、次戦は格下チュニジアが相手。状況は4年前と似ている。
長友は「今考えると、コスタリカ戦は“絶対いけるでしょ”という空気が正直あった。本当に強い覚悟がないと、W杯に足をすくわれる」と教訓を伝えた。
長友はW杯メンバー外ながらチームに同行する吉田と南野が、試合後に出場選手のスパイクを磨き、使用後のユニホームを回収していることにも焦点を当て、裏方に徹する2人の存在が当たり前のことではないことも強調した。
先発、控え、メンバー外も関係ない総力戦。皆がチームのために戦う意識はより一層高まった。
初戦に大敗したチュニジアはラムシ監督を電撃解任。日本戦を前に3大会連続のW杯指揮となるルナール新監督を迎えた。
“白い魔術師”の異名を持つ敵将は過去にサウジアラビアを率い、森保ジャパンと何度も対戦。戦術や選手の特徴を熟知されており、不気味な相手となる。
日本はオランダ戦でMF久保建英が左膝を負傷。1次リーグ中の復帰は絶望的な状況となった。南野、MF三笘薫を欠く2列目にまたも故障者を抱え、台所事情は厳しい。
それでも板倉は「選手ミーティングでバシッとチームが締まった」と話し、チームのムードは良い。勝てばF組の3位以内が確定し、決勝トーナメント進出に大きく前進する重要な一戦。寸分の隙も見せずに、勝負の第2戦に向かう。

