放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位であり、「令和ロマン」「エバース」「ヨネダ2000」をはじめ、多くの教え子を輩出した桝本壮志のコラム。

「34歳の企画職です。私は会議の時間設計、資料の枚数、社内プレゼンなどのタイムマネジメントが苦手です。生放送を構成している放送作家さんの『尺を読むコツ』があれば、ぜひ教えてください」という質問をいただきました。
時間は平等に流れていますが、同じ1分間のプレゼンで評価を上げる人と下げる人がいます。
同じ1時間の会議では士気が上がるチームと下がるチームが生まれます。
これは、プレゼンや会議の「内容」の問題だけでなく、進行のテンポや時間配分などの「尺の感覚」の問題でもあります。
僕は放送作家として、数多くの生放送、番組会議、企画プレゼンをこなしながら、この「尺の感覚」を練磨してきました。
その知見は、芸人学校での講義、企業での講演活動に活かされています。
そこで今回は、『評価を上げる尺の感覚』を、会議、企画資料、プレゼンの3つに絞ってシェアしていきたいと思います。
①会議の時間設計は「生放送」のメソッドを応用
時間設計がうまく自由闊達な意見が飛び交う会議には、生放送に似た2つの共通点があります。
《その①:早めに一同に発話するターンが訪れる》
時間が有限の生放送では、一人ずつ丁寧に紹介していくと尺がもったいないので、ホスト役のMCが「髪切った?」「忙しいでしょ?」などの小さな質問を差し向け、早めに第一声を発してもらうことで演者の口を滑らかにしています。
いっぽう、多様なアイデアが生まれない会議は、上座に座るリーダーが独演会のように意見を述べ、本来ゲストであるはずの成員たちがホスト役になって相づちを入れたり、リアクションをとったりする逆転現象が起きています。
《その②:終了時間が明確》
生放送は絶対に延長ができないコンテンツなので、一同が一つのゴールに向かって歩調を合わせていきます。
長い話は尺を調整し、さほど目立っていない人に話を振りつつ、無駄な脱線はしないようにします。
いっぽう、士気が上がらない会議は、遅刻にはうるさいけど、終了時間は不明瞭。カラオケの延長のように、その日のリーダーの気分で会議時間が伸縮していきます。
会議運営で評価を上げるには、リーダーが「早めに成員の口を滑らかにする」こと。終了時間を明確にして「成員一同でタイムアタックする意識を醸成する」ことが大切なのですね。
②会議資料はアナウンサーよりコメンテーター読み
企画案や報告書を説明するときに散見されるのが、書いてきた原文を、そのまま読み上げる「アナウンサー型」の人です。
このタイプの方は、資料の枚数と説明時間が増えてしまい、聞き手がやきもきするケースも少なくありません。
会議資料で大切なことは、「相手の知性」と「非言語の力」を信じて原文を極力コンパクトにすること。
その一例が、要点のみを箇条書きにして、現場の空気や前後の流れを汲みとりつつ、語気を変えたりボディランゲージを交えながら語る「コメンテーター型」です。
会議は生もの。言わば生中継なので、よりライブ感を出したほうが周囲は惹き込まれますし、体感時間も短くなる。そして、あなたの評価にもつながりやすくなるのです。
③プレゼンのスライドは、漫才の「相方」の感覚で
最後のプレゼンテーションは、②の応用編とも言えるメソッドです。
プレゼンにはよくスライドが用いられますが、投射した原文をそのまま読み上げている人がたくさんいますよね?
前述のとおり、「目で追えるもの」を復唱されるだけのプレゼンは長く退屈な時間となります。
そこで僕が実践しているのが、「スライドを別人格にする」手法。嚙み砕いていうと「漫才の相方」のような感覚です。
そもそもプレゼンのスライドは、テレビの通販番組のように、「こんなことってありませんか?」→「そこでおススメしたいのが……」→「すると、〇〇な効果があるのです」といった構文によって聴衆の興味を喚起していきます。
このロジックを自分なりにアレンジして、スライドに逆ブリをしてもらったり、情報の補足をしてもらったり、漫才の相方のような役目を担ってもらっているのです。
つい2日前、某大手企業の新入社員研修に登壇した際、持ち時間は60分でしたが、用意したスライドは60枚もありました。

1975年広島県生まれ。放送作家として多数の番組を担当。タレント養成所・吉本総合芸能学院(NSC)講師。「令和ロマン」をはじめ、教え子は1万人以上。新著『時間と自信を奪う人とは距離を置く』が絶賛発売中! 桝本壮志へのお悩み相談はコチラまで。
原文を丁寧に読み上げると90分はかかる内容でしたが、対話形式で要点と力点だけをサクサク伝えたせいか、トータル尺はぴったり60分。
先方さまにも上々の評価をいただき、手応えを深めることができました。 では、また来週、別のテーマでお逢いしましょう

