40歳を迎え、「子供の頃になりたかった大人になれている」と語る宇賀なつみさん。自分らしく人生を楽しむ秘訣について話を聞いた。

仕事も人生も、肩の力を抜いて楽しめばいい
2026年6月20日、宇賀なつみさんは40歳を迎えた。30歳を目前にした頃は年齢を重ねることに焦りを感じていたが、今では前向きに受け止めているという。
「当時は若い自分しか知らなかったので、その若さを失うのが怖かったのでしょうね。でも40歳になった今は、20代の自分も30代の自分も知っているから、『20代の自分なんてまだ何も知らなかったな、幼くて可愛いな』と思えます。経験の力って、やっぱりすごいですよね。
今は私、『年を重ねるほど、ますます自由になれる!』と思っているんですよ。選択肢が増え、自分で責任を負えるようになり、できることとできないこともはっきりしてくる。それは、とても心強いことだと思います。何より、年齢を重ねるほど大切な人や大切な思い出が増えていく。それって、すごく素敵なことだなと」
そんな風にポジティブにいられるのは、素敵な年長者が周りに多いことも関係しているのだろう。50代、60代、70代と、年を重ねても若々しく、生き生きと過ごしている“先輩たち”に、勇気と希望をもらっているという。そのひとりが、「旅先にマイグラスを持参し、ドリンク類をそれで味わう」という“マイグラス・ツーリズム”のアイデアを提案してくれた放送作家の小山薫堂氏だ。
「薫堂さんは、あんなにお忙しいのに、いつもワクワクしていて楽しそうなんです。“マイグラス・ツーリズム”もですが、常に誰かを楽しませたい、自分も楽しみたいという気持ちがベースにあるのでしょうね。薫堂さんと出会ったのはフリーランスになったタイミングでしたが、あの時に『仕事も人生も、肩の力を抜いて楽しめばいいんだ』と教えていただけたことは、私にとって宝物です」

1986年東京都生まれ。立教大学卒業後、テレビ朝日に入社。アナウンサーとして、『報道ステーション』『グッド!モーニング』『羽鳥慎一モーニングショー』など、情報・バラエティ番組を担当。2019年、フリーランスに転身し、テレビやラジオを中心に活躍。現在、『土曜はナニする⁉』(関西テレビ)、『池上彰のニュースそうだったのか!!』(テレビ朝日)、『日本郵便 SUNDAY’S POST』(TOKYO FM)にレギュラー出演中。前作『じゆうがたび』(幻冬舎)も好評。
「実は、今回の本のタイトルも薫堂さんにつけていただいたんですよ。最初は、年10回くらい海外に行けるようになって人生の舞台がやっと“地球”になったなと思い、『ちきゅうがたび』にするつもりでした。でも、ゲラを読んでくださった薫堂さんが、『地球を旅しながら、自分自身を見つめ、誰かを思うエッセイだから、”おもうがたび“だね』と言ってくださって。『その通りだ!』と思って、すぐに変えちゃいました(笑)」
年長者に加え、下の世代との交友関係も広がった。それについて、「40歳は人生の半ば地点。上にも下にも同じくらい友達がいて、お得な世代だなと思います」と、宇賀さん。
「若い人からは、流行りのブランドやコスメ、アイドル、食べ物など、いろいろ教えてもらっています。仕事や恋愛の話も聞きますが、『そういう考え方もあるんだ』と、気づかされることも多くて。刺激的だし、おもしろいですね」
子供の頃なりたかった大人になれている
年上であっても年下であっても、接し方を変えることなく、常に自然体。唯一意識しているのは、「恥ずかしがらずに、会いたい人には自分から連絡し、仲良くしたいという気持ちを伝えること」だという。根っから人が好きで、会話をするのが好きなのだろう。そう考えると、アナウンサーという職業が天職であり、旅が人生そのものだというのも頷ける。
「そうですね。初対面の人と話すのが苦ではないのは、新人アナウンサー時代に鍛えられたからというのもありますし、旅で磨かれたような気もします。その経験が、さらに仕事や旅、交友関係を充実させてくれている。すべて繋がっているなと思います」
『おもうがたび』では、「子供の頃になりたかった大人になれている」と綴っているが、その秘訣はどこにあるのだろうか。
「ひとつ挙げるとしたら、小学校高学年ぐらいから毎日コツコツ日記をつけて、自分がどんな人間であるかということに向き合ってきたからかな、と思います。とは言っても、最初はスケジュール帳に、今日は誰と遊んだとか、何を食べたみたいなことをメモする程度だったんです。
それがだんだんと、誰とどこで何をして、どう感じたかまでを書くようになり、気づいたら、自分は何が好きで何が苦手で、何が得意で、何が嫌いかというのがはっきりしてきて。20代の頃は仕事の反省ばかりでしたが、おかげで『次はこう対処しよう』とか『こうならないように避けよう』と考えるようになり、同じ失敗を繰り返さずに済んだのかもしれません」

「それに、すっかり忘れていたんですが、東京オリンピックが決まった時の日記に『開催される頃には独立していたい』って書いてあったんですよ。当時はスポーツキャスターをしていたので、東京オリンピックという大舞台に対する意気込みがあってもよさそうなものなのに、『どんな小さい力でもいいから、番組の方向性とかスタッフの意向と関係なく、自分の気持ちを発信できるフリーアナウンサーになっていたい』と。
日記を読み返しながら、さらに書き連ねていったことで、自分が本当はどういう人間かということが浮かび上がってくるのでしょうね。日記は、いわば自分の攻略本のようなものです(笑)」
インタビューの間中、目をそらすことなく、どんな質問にもまっすぐに、飾らぬ言葉で応えてくれる。瞳を輝かせながら楽しそうに話をする様子から、宇賀さんが“攻略本”片手にたどり着いた現在地が満ち足りたものであることが伝わってくる。
最後に今後の目標を聞いてみると、「もっと旅をしたい!」という言葉が返ってきた。
「世の中に情報があふれているので、足を運ばなくても疑似体験できることが増えたかもしれません。でも、本で読んだり、ネットで調べたりした情報は忘れてしまうこともあるけれど、自分がそこに行って五感で感じたものは消えないと思うんです。
自分の栄養、細胞の一部になっているような感覚があって。だから、これからも人生を賭けて旅し続けたいと思います」

