退社・独立、離婚など、旅先で人生の大きな決断を下した宇賀なつみさん。「旅に行くと、答えがポン!と出る」と語る。そのココロとは⁉

2018年夏、ベトナムの地で独立を決意
2019年3月、宇賀なつみさんは10年間在籍したテレビ朝日を退社し、独立を果たした。大手プロダクションとの業務提携はせず、マネージャーも事務スタッフも置かない、“完全フリーランス”という形で、だ。現在は、営業活動からスケジュールの管理、ギャラ交渉、経理に至るまで、すべて自身で行っている。
「会社設立の手続きも司法書士さんにお願いはせず、調べながら自分でやりましたが、楽しかったですね。初めてのことを学ぶのは、取材と同じでとてもおもしろいし、どんなことも自分でやれば経験になり、スキルになります。実際、経理も保険の手続きも自分でやっていると公表したら、確定申告や厚労省のお仕事もいただけましたし。何でもやってみるものですね(笑)」
とはいえ、ひとりきりでのスタートに不安はなかったのだろうか。
「それが、まったくなかったんですよ。『何かあった時に、ひとりだと大変だよ』という忠告もいただきましたが、どういうわけだか、『ひとりの方がきっと楽しくなる!』という自信があって。そもそも3週間働いて1週間休むという働き方も、ひとり会社だから可能なこと。社員を何人も抱えていたら、こんなにマイペースではいられなかったでしょうから。完全フリーランスは、私にとって最善の選択だったと実感しています」
独立を決心したのは、2018年夏に訪れたベトナムでのことだった。昼日中から道端に座ってお茶を飲んだり、談笑したりと、気ままに過ごす現地の人々の姿を目にし、ふと「会社を辞めよう」と思い立ったのだと明かす。
「憧れだったアナウンサーになることができて、仕事にも同僚にもとても恵まれていました。与えられた場所で頑張るということをやり続けてきたんですけど、そろそろ自分ですべてを選び、決められる生き方にギアチェンジしようと、この旅で心が決まったんです」

「私にとって人生最大の幸福は自由。子供のころから好奇心と自立心が人一倍強くて、早く大人になって自由になりたいと、ずっと思っていたんですよね。ただ、そうなるには準備が必要で、学生時代に勉強したことも、会社でがむしゃらに働いたことも、すべて自由になるために必要なこと。経験してよかったと思っています。大きな組織だからこそ経験できたこともいろいろありましたし、上司や先輩、後輩たちとのチーム力の大切さも学べました。お金をいただきながらたくさん勉強させていただき、会社には感謝しかありません」
旅に出ると思考が整理される
旅の最中にもうひとつ、大きな決断をした。2023年6月、カナリア諸島で、6年に及んだ結婚生活からの卒業を決めたのだ。『おもうがたび』には、その胸中もまっすぐに綴られている。
「独立もですが、私は、これまでの人生で流れに大きく逆らったことはないんです。だから、離婚も自然にそうなっていったというのが、正直なところで。結婚する時は、これでより自由になれると思って、実際にそうだったんですけど。……きっと、親友とかきょうだいみたいな関係で、そういう夫婦に憧れてはいたけれど、だんだんと『これって夫婦でなくてもいいのかも』と思うようになってきたんでしょうね。 彼も『おもうがたび』を読んでくれて、ちょうど昨日、感想のメッセージが長文で届いたんですよ。それが、すごくやさしくて、ちょっとユーモアがあって、『彼のこと、人として好きだな』って、改めて思いました。唯一自分で選べる家族が彼でよかったと、今でも思っています。私にとって結婚したことも離婚したことも、人生で同じくらい誇らしい思い出なので、ちゃんと書きたかったんです」

1986年東京都生まれ。立教大学卒業後、テレビ朝日に入社。アナウンサーとして、『報道ステーション』『グッド!モーニング』『羽鳥慎一モーニングショー』など、情報・バラエティ番組を担当。2019年、フリーランスに転身し、テレビやラジオを中心に活躍。現在、『土曜はナニする⁉』(関西テレビ)、『池上彰のニュースそうだったのか!!』(テレビ朝日)、『日本郵便 SUNDAY’S POST』(TOKYO FM)にレギュラー出演中。前作『じゆうがたび』(幻冬舎)も好評。
背中を押してもらうために旅に出ているわけではない。しかし、出かけた先で「答えがポン!と出ることがある」と、宇賀さんは言う。
「私、旅先ではすごくよく眠れるんですよ。朝からサウナに行ったり、泳いだりと、活動的に動いていて、1日2万歩くらい平気で歩いてしまうので、疲れ果てて夜はベッドにバタンと倒れ込んでしまうくらい(笑)。そんな毎日が、『生きている!』と感じられて、すごく好きで。
旅に集中していると雑念がなくなるのか、自然と思考が整理されるんですよね。これは好きだなとか、あまり好きじゃないなといった単純なことを含め、心の声に素直になれるというか。『これについて考えよう』と思って旅に出たことは一度もないけれど、思考が整理された結果、答えがポン!と出る。その感覚は、確かにあります」
旅に後押しされてさまざまな決断をした結果、今、仕事もプライベートも充実の日々を送っている。最終回は、40歳にして理想の生き方を手に入れた秘訣を紐解く。

