2冊目となる旅エッセイ『おもうがたび』を上梓したフリーアナウンサーの宇賀なつみさん。彼女はなぜ、これほどまでに旅に魅せられているのか。3回にわたるインタビューの第1回では、その理由を紐解く。

毎月1週間は旅に――世界を飛び回る理由とは
人気フリーアナウンサー、宇賀なつみさんのフォトエッセイ『おもうがたび』が2026年9月16日に発売された。2023年上梓の『じゆうがたび』に続き、旅を軸に胸の内を率直につづった等身大のエッセイである。
今作で紹介されているのは、2022年12月から26年3月の間に訪れた国外27ヵ所、国内13ヵ所の全40ヵ所。ソウル、ウィーン、パリ、マドリードなどの観光都市やモルディブ、セブ、沖縄、猪苗代湖といったリゾート地、さらにはボリビア、ルワンダ、タンザニアのような意外な場所へも、宇賀さんは実に軽やかに足を運んでいる。
「私にとって、旅は人生そのもの。朝になると起きて夜になると眠る、それと同じくらい自然な行為ですね。せっかくこの星に生まれたのだから、地球上のいろいろな所を訪れ、自分の目で見て、感じたい。それには、動き回らないといけないし、そうし続けていないと自分の感覚が鈍ってしまう気がするんです」
聞けば、旅の“習慣”は幼い頃からのものだという。両親が共に旅行好きで、週末になると日帰り旅行を含め、あちらこちらへと出かけていた。
「贅沢な旅では決してなかったんですが、気になる美術館があるから行ってみようとか、新しいショッピングモールができたから見に行こうとか、休みの日は必ずと言っていいくらい家族で出かけていました。それが普通だったからか、今も私、家でじっとしていられないんですよ。大雨が降っていても、どこかしら行ける所を探して出かけてしまう。これはもう性ですね(笑)」

1986年東京都生まれ。立教大学卒業後、テレビ朝日に入社。アナウンサーとして、『報道ステーション』『グッド!モーニング』『羽鳥慎一モーニングショー』など、情報・バラエティ番組を中心に担当。2019年、フリーランスに転身し、テレビやラジオを中心に活躍。現在、『土曜はナニする⁉』(関西テレビ)、『池上彰のニュースそうだったのか!!』(テレビ朝日)、『日本郵便 SUNDAY’S POST』(TOKYO FM)にレギュラー出演中。前作『じゆうがたび』(幻冬舎)も好評。
テレビ朝日在職中も、週末に休みがとれれば金曜夜から2泊3日で、近場を中心に旅していたが、フリーランスとなった今はさらに頻度が増え、行先の幅も広がっている。ここ3年くらいは、1ヵ月のうち3週間働き、1週間は休暇をとって旅をするというのがルーティーンになっているという。
「『平日5日間働いて週末の2日間休む』のが一般的ですが、私、この働き方にずっと疑問を抱いていて。フリーランスになったのを機に、自分にとってベストな働き方・休み方を見つけようと、いろいろ試してみたんです。一番ストレスなく、心地よく過ごせたのが、3週間働いて1週間休むというスタイルでした。1週間休んで旅をすると心身共にリフレッシュできて、次の3週間頑張れますし、仕事をハードにこなした分だけ旅がさらに楽しくなる。時間的にも精神的にも無理なく続けられる、一番バランスのいい状態だなと実感しています」
旅のルールは「決め過ぎず、“余白”を設ける」
エッセイで紹介されている旅は、行先や季節、期間だけでなく、同行者も目的も実にさまざまだ。あらかじめ確保しておいた旅行期間に誰とも予定が合わなければ、一人旅も辞さない。
「行先を決めるのは、けっこう直前ですね。その時に読んでいた本に出てきたとか、テレビで偶然見たとか、たまたま会った人から聞いたとか、予期せず“降ってくる”ことがあって。『あ、そこがいいかも!』というひらめきに従うと、期待以上の素敵な旅になるんです」
現地での過ごし方も同様。人気のレストランや絶対に行きたいホテルなどは事前に予約を入れるものの、それ以外はその場で、その時の心の赴くままに行動するのが、宇賀さん流だ。
「スケジュールに余白を設けておくと、その時の気分で柔軟に動けます。そうすると、予期せぬ出会いがあったり、思いがけない発見や感動を得られたりと、満足度が高いんですよね。何事も決め過ぎない。それが、旅を重ねる中でトライアンドエラーをしながら習得した、私にとって心地よい旅のスタイルなんです」

旅好きを公言していることもあり、旅がらみの仕事も増えてきた。仕事ゆえに、現地で訪れる観光スポットやレストラン、1日のスケジュールなどが事前に細かく設定されているが、「自分では選ばないような場所や体験がたくさんつまっていて、それはそれですごく楽しい!」と、宇賀さんは笑顔を見せる。
「本でも紹介したマドリードは、ラジオの仕事で行かせていただいたんですが、そこでプラド美術館を訪れたんです。私は目に留まった作品をじっくり見たいタイプで、ふだんは説明書きすら読まないんですよ。でも、この時は滞在時間が短いこともあって、ガイドさんに案内していただいたんですが、それが素晴らしくて! 作品の背景を知った上で鑑賞する方がおもしろいということを知りました。どんな旅でも、新しい気づきは必ずあるんですよね」
旅が与えてくれる“気づき”。それは時に、人生の転機につながることもある。次回は、旅に背中を押された人生の決断について語ってもらおう。

