放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位であり、「令和ロマン」「エバース」「ヨネダ2000」をはじめ、多くの教え子を輩出した桝本壮志のコラム。

「初投稿です。先日の『企画書の作りかた』がとても参考になりました。私はいつも『タイトルの付けかた』で手が止まってしまいます。放送作家さんはどのように付けていますか?コツがあれば教えてください」という相談をいただきました。
ネーミングやタイトルは、究極のところ「何でもよい」「ご自由に」が基本です。
しかし、ヒット企画や長く愛されるロングセラーには「思考の痕跡」がくっきりとあります。
例えば、誰もが知るヒット企画『ゴチになります!』は、先輩作家Hさんの企画プレゼンのとき、すでに同タイトルが命名されていました。
「美味しいものを食べる至福の時間から、誰か一人が自腹で総額を払う地獄へと変わる」という、企画の肝を一行で表現したネーミング術。
視聴者が日常でも使えるワードなので「浸透しやすい」「親しみやすい」という狙いも内包されていました。
一流たちから学んだのは「たかがタイトル、されど逃げない」という姿勢です。
そこで今回は、僕が学んできた知見をもとに「ネーミング、タイトルの付けかた」をシェアしていきたいと思います。
目的に応じた3つのネーミング法
番組名、商品名、新サービス名など、ビジネスにおけるネーミングは、大きく3つに分けられると僕は考えています。
それは、①「1点集中」、②「1行説明書」、③「ユーザーが体験できることを伝える」です。
良いネーミングを付けるには、まずこの3つの「箱」を知ることが大切です。
①「1点集中」
届けたい商品やサービスには、いくつもの推しポイントがあるものですが、あえて1つのポイントに絞ってみることも大切です。
例えば、人気番組の『バナナサンド』は、タイトルを聞いただけでは何の番組なのか分かりません。
しかし、人気者のバナナマンとサンドウィッチマンの「初タッグ番組」であることが、何よりの「目新しさ」であり「差別化」なので、この1点に集中したネーミングになっています。
また、好感度の高い2組の名前をタイトルに入れることで、「おもしろそう」「子供と一緒に見ても大丈夫そう」といった“中身を想像させる”効果も生まれています。
これは、商品名を見ただけで味を想像させる『まるごとバナナ』や『ざく切りポテト』などにも使われている技法でもあります。
最近は、肉を主役にしたメニューが豊富な「はなまるうどん肉店」や「短髪専門の美容院」が登場するなど、何かに特化したお店や商品がヒットする時代なので、この「1点集中」は外せないネーミング法だと思っています。
②「1行説明書」
続いては、「バナナ」や「肉」などの名詞に頼らず、届けたい商品やサービスの全体像を端的に伝える技法です。
例えば、大ヒット映画『カメラを止めるな!』は、内容を知らなくても、「カメラを止めちゃいけないんだな」と分かります。
番組名だと、『池の水ぜんぶ抜く』は、とにかく池が空っぽになるイメージが沸きますし、前出の『ゴチになります!』は、誰かが誰かにオゴることが想像できます。
商品名やサービスでは、タイトルの文字数に、よりコンパクトさが求められます。
- 素早く手軽にエネルギー補給できるから→『忍者めし』
- より暮らしを知れるサービスだから→『クラシル』
- 画面をタップするだけで恋人が見つかるから→『タップル』
など、お手本は身の回りにたくさんあります。
これらは、ユーザーに向けて「もしも1行で説明書を作るとしたら?」という問いを立てることで生まれるので、頭の片隅に置いて生活してみてください。
③「ユーザーが体験できることを伝える」
最後は、商品を手に取ったり、サービスを試したり、番組を視聴したりすることで「ユーザーが体験できること」。つまり、「どんな得があるのか?」を伝える技法です。
分かりやすい例でいうと、『鼻セレブ』です。名前を聞いただけで、ふわふわのティッシュで鼻をかめそうですよね。
また、シリーズ累計300万台を突破した、ふくらはぎ用のケア家電『ゴリラのひとつかみ』は、ネーミングだけで「これまでになかった“痛気持ちいい揉み心地”」を体験できる気がします。

1975年広島県生まれ。放送作家として多数の番組を担当。タレント養成所・吉本総合芸能学院(NSC)講師。「令和ロマン」をはじめ、教え子は1万人以上。新著『時間と自信を奪う人とは距離を置く』が絶賛発売中! 桝本壮志へのお悩み相談はコチラまで。
番組名にも、古くから「爆笑!」「発見!」「奇跡体験!」「開運!」など、どんな感情になれるかを含んだタイトルが伝統になってきました。
最近は減っていますが、「明日使える~」「すぐにマネできる~」など、「体験できること」を打ち出す姿勢は受け継がれています。
少しでも参考になれば幸いです。
では、また来週、別のテーマでお逢いしましょう。

