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2026.03.30

「それがルールだから」はもう古い――新人が動き出す言葉のかけ方【NSC人気NO.1授業】

放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位であり、「令和ロマン」「エバース」「ヨネダ2000」をはじめ、多くの教え子を輩出した桝本壮志のコラム。

「それがルールだから」はもう古い――新人が動き出す言葉のかけ方【NSC人気NO.1授業】

「50代の経営者です。4月から新入社員がやって来ますが、桝本さんが新人と向き合ううえで、気をつけていること、心に留めていることは何ですか? 参考にしたいので教えてください」という相談をいただきました。

新年度は、たくさんの若者が「新人になること」に不安を抱き、たくさんのリーダーが「新人をコーチングすること」に杞憂する季節ですよね。

僕も毎春、1000人を超える芸人の卵と顔を合わせ、16年間、失敗と手応えを繰り返しながら新人と向き合ってきました。

そのなかには、新人時代に語っていた「なりたい自分」になれたり、「やりたい仕事」をしたりしている、元教え子がたくさんいます。

そこで今回は、僕が若手育成で手応えを感じてきた、「新人と向き合う2つのコツ」を、皆さんにシェアしていきたいと思います。

「ルール」でなく「ロール」を伝えましょう 

まず、私たちリーダーが、新人に言ってしまいがちなセリフは、「それがルールだから」です。

  • 新人は上司よりも早く出社してね。それがルールだから。
  • 会議室は新人がリセットしてね。それがルールだから。
  • この社内行事は強制参加ね。それがルールだから。

心当たりがありませんか? 以前は僕も、この「ルール」というフレーズを多用していましたが、時代とのズレを感じて手放しました。

代わりに意識したのが「ロール」。そう、ロールモデルのロールのことで、「行動や判断の基準となる参考例」を伝えることにしてみたのです。

例えば、令和の新人はリモート授業に慣れているので、対面仕事よりもリモートワークを好む傾向にあります。

僕の授業もオール対面形式なので、敬遠したい新人も一定数います。

しかし、「ルールだから来い」とは言わず、「行ったほうが得かもな」という感情になるロールを伝えるのです。

  • ①エバースも空気階段もレインボーも、最初は1人で吉本に入ってきた。
  • ②一流の漁師になるには「魚」を、保育士になるには「子供」をさわらないとなれない。ならば、一流の芸人になるには「人」とふれあっていかないとダメではないか?
  • ③人気コンビの多くは、対面授業を通して結成され、やがてブレイクスルーにつながった。

といったステップで伝えると、参加率はグンと上るのです。

会社ならば、芸人名でなく「身近な上司」「名のある先輩」など、顔が浮かびやすい人物でかまいません。

行動や判断の素になる「目的」と「それを通して得るもの」を伝えていくと、新人のパフォーマンスが上がっていく。これが僕のたしかな知見です。

桝本 壮志/Soushi Masumoto
1975年広島県生まれ。放送作家として多数の番組を担当。タレント養成所・吉本総合芸能学院(NSC)講師。「令和ロマン」をはじめ、教え子は1万人以上。新著『時間と自信を奪う人とは距離を置く』が絶賛発売中! 桝本壮志へのお悩み相談はコチラまで。

令和は「1on1」から「1on1on1」へ 

2つ目は、意外かもしれませんが、リーダーと新人が「1on1」にならないことです。

メンター制度や、マンツーマン指導はそれなりに効果がありますが、2人だけの息苦しさや、感情のもつれが生まれます。

一つ屋根の下で暮らす、「新妻」と「姑」をイメージすると分かりやすいでしょう。

姑は「よかれ」と思って、家事のいろはを指導していきますが、1on1は、相性の良し悪しによって衝突や軋轢につながりやすくなります。

そこでキーパーソンになるのは「夫」の存在。それぞれの話に耳を傾け、空気をほぐしたり、適度に介入したりする「3人目」によって、嫁姑の関係は保たれ、互いのパフォーマンスを維持しやすくなるのです。

これに気づいた僕は、それまで1on1でやっていた「ネタのダメ出し」や「評価の付けかた」を改め、アシスタントや吉本の社員さんを加えた、「1on1on1」方式で育成を行うことにしてみました。

すると、鼻っ柱の強い新人や控えめな新人は、うまく「3人目」を経由して、意見や心根を伝えてくれるようになったので、コーチングの質が上がったのです。

こういった手応えをもとに、僕は4月になると、「ルールよりロールを伝える」「1on1on1をデフォルトにする」という2点を再確認しているのです。

よかったら、皆さんも試してみてください。

では、また来週、別のテーマでお逢いしましょう。

COMPOSITION=古澤誠一郎

TEXT=桝本壮志

PHOTOGRAPH=杉田裕一

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