壊れていない人間に、革命は起こせない。50歳の節目に、50人が語る“本当”の前澤友作とは。著書『偽善者』から一部抜粋。今回は、旧友・小野文美。

僕と仕事、どっちが大事なの?
友作との付き合いはもう20年くらいになりますね。まだZOZOを立ち上げる前、私の夫(小野光治)に「面白い奴がいるんだ」と言われ、食事をすることになったんです。確か東銀座のワインバーだったかな。友作が当時の彼女を連れてきたので、4人での食事でした。最初の印象は「頭の回転の速い人」。ワインについてものすごくよく喋るし、ずいぶんと勉強もしていて、話が盛り上がったのを覚えています。
友作は基本的に壁を作らない人だけれど、何でもかんでも受け入れるタイプでもない。でも、私たちとはどこか気が合うと感じてくれたのか、それからも自然に会うようになったんです。誘われたらふらっと飲みに行く──という感じの付き合いで、年上の私にとっては弟のような存在というか。彼も割と何でも話してくれていると思います。家族でも彼女でも仕事の仲間でもない関係が、彼にとっては居心地の良いものなのかもしれませんね。
私は友作にずけずけと「お説教」をすることがあるんです(笑)。何故かと言うと彼女を時々泣かせることがあったから。「世界平和だの夢だのと言ってるけど、目の前の彼女ひとり幸せにできなくて何を言ってるの?」と。というのも、友作にはこれまで10人近くの彼女を紹介されてきたけれど、その度に彼女から同じような「相談」を受けるんですよ(笑)。
基本的に友作は彼女を大事にするのだけれど、「一緒にいたい」という気持ちが極端に強くて、彼女を困らせてしまうことがありました。良く言えば「寂しがり屋で甘えん坊」。でも、要するに彼女の側からすれば「束縛」ですよね。だから、彼女ができると、とにかく一緒にいたがる。
四六時中一緒にいたい。できることなら、彼女のスケジュールを全て自分のものにしたい、と思っているのかなぁ。スケジュールを全部自分に合わせてほしい、彼女が友達と遊ぶのも自分と一緒にいる時間を削られることだと思ってしまう、という感じ。
それを「束縛」だと思っていない。「大好きだから一緒にいたい」「俺のことが本当に好きなら、そうしてくれるでしょ?」という理屈なのかな? なかには仕事を減らしたり、友達付き合いを減らしたりする子もいました。でも、たいていはお互いに不満が爆発して、彼女の方が「どうしたらいいか分からない」と私のところに相談しに来るパターンです。
だから、私は相談を受ける度に、「もう少し彼女らしくさせてあげたら?」とか「ちゃんと彼女の立場になって考えた?」と友作に言ってきました。彼女にだって予定があり、仕事があり、友達との時間がある。そんな当たり前のことが、どうして分からないの? って。
「なんで僕を優先してくれないの?」「僕と仕事、どっちが大事なの?」みたいに迫るのは、まるで 10代の子供みたいですよね(笑)。まあ本人はその時こそ「分かりました」って言うけれど余り変わらない(笑)。って言うか私の言うことなんかスルーだったのかも? 自分に自信があるから。

