2020年の年末に公開、興行収入27億円の大ヒットを生み出した『映画 えんとつ町のプペル』の続編が2026年公開の『映画 えんとつ町のプペル 〜約束の時計台〜』だ。この続編制作発表の場で、西野亮廣氏が熱く語ったそのテーマとは!?

もうずっと、『プペル』をつくっている
総制作費4億5000万円をかけて上演した『ミュージカル えんとつ町のプペル』が、大盛況のうちに終了した。けれど、この原作者であり、制作総指揮をとった西野亮廣氏の挑戦はまだまだ続く。現在は『映画 えんとつ町のプペル』の続編『映画 えんとつ町のプペル 〜約束の時計台〜』を制作中なのだ。2025年8月21日にはその制作発表会が、主演声優のお披露目とともにKAAT神奈川芸術劇場で行われた。
「前作があったから、『えんとつ町のプペル』の規模はここまで広がったのだと思っています」
そう西野氏は制作発表の場で語り出す。
前作の公開は、コロナ禍真っ最中の2020年年末。不安と隔離による孤独が世界中に蔓延していた頃。えんとつの煙に閉じ込められた町の物語は、共感とともに人々の心に突き刺さった。アニメーション制作は世界的評価の高いSTUDIO4℃、声優に窪田正孝氏、芦田愛菜氏らスターを揃え、最終的に興行収入27億円という大ヒットを記録した。
そしてこの映画ののち、『えんとつ町のプペル』は歌舞伎やブロードウェイミュージカルの演目としても上演され、西野氏の活動を知らない人々にも届くこととなった。
続編である本作は、前作公開直後から制作がスタート。前作から監督を務める廣田祐介氏は「もう、6、7年ずっと『プペル』をつくっている」と語り、STUDIO4℃の創設者でプロデューサーの田中栄子氏は「ここ数年、プペルの主題歌が頭を離れたことがない」と制作発表の場で笑いを見せた。

「信じて待つ」ことは誰にとってもすごく大きな挑戦
続編の原作は、2019年に西野氏が「にしのあきひろ」名義で発表した絵本『チックタック〜約束の時計台〜』。約束の時間になる前に針を止めてしまった時計台で、いつまでも大切な人を待ち続ける物語だ。
本来『えんとつ町のプペル』とは別の作品だが、なぜこの『チックタック〜約束の時計台〜』のエッセンスを、本作の続編に選んだのかという問いに、西野氏はこう語り始めた。
「プロジェクトって大きくなればなるほど、いろんな理不尽がおこってきますよね。そうなった時に、本質のテーマが自分のなかにあるものでないと、もうやってられないわけです。だって『世間的にこういうものが流行っているらしいから』と作り始めてしまったら、理不尽が起きた時に自分のなかで折り合いがつかなくなる。だから前作もそうだったのですが、自分のなかで大きく感情がふれた、非常にパーソナルな思い出をテーマにさせていただいたんです」
なにが起こっても戦い抜き、プロジェクトを成功させる。その強い意志は、プロジェクトそのものを愛していないと持てないものだ。だからこそ西野氏は自身の奥深くにあるものを続編の主題に選んだ。
そのテーマこそ、『待つ』ということだった。
西野氏は、『チックタック〜約束の時計台〜』の主人公が待ち続けた姿を自身と重ね合わせて語り始める。
「僕らキングコングは、言ってしまえばスピード出世で、たいして実力もないまま世に出させていただいていました。そうすると、テレビやいろんなところで結果が残せないわけです。2年、3年とやっていくとそのフラストレーションが積もり積もってある日、相方の梶原さんが失踪しました。
今は笑い話になっていますし、みなさんほとんど覚えておられないと思うのですが、その時、僕らの活動はすべてが止まりました」
相方である梶原雄太氏の休養中、西野氏ひとりで仕事をするという選択肢もあった。けれどもし西野氏がひとりで結果を出す、ひとりで人気者になる、などということがあったら、梶原氏はそれこそ帰ってこられないだろう。だからこそ、西野氏は「なにもせずに待つ」ことを選択したという。
「突然消えた梶原くんに腹も立っていたし『何してくれてんねん』って思いもしましたけど、でもやっぱりふたりで話している時間、漫才している時間は非常に楽しかった。だから待とうと。大阪のマンションでじっとしていて、仕事がないからお金もどんどんなくなっていく。それでもいい、何年でも待とうと」
そう覚悟を決め、けれどそこから2ヵ月ほどで梶原氏は復帰。当時、梶原氏は母親から「西野くんが待っているよ」と言われたのだという。
「相手を信じて待つってすごく大きな挑戦なんですよ。例えば子育てしているお父さんお母さんは、本当は子供のやっていることに口を挟みたいけど、でもその成長を待つってことも大事じゃないですか。だから『待つ』って誰にとっても大きなテーマだなと思って」
そう熱く思いを語った西野氏は「熱すぎましたか? 昨日徹夜だったので変なテンションですみません」と照れたように笑った。
不安定だからこそ、臨場感がある
その後、制作発表の舞台では、主人公ルビッチの声優が発表された。
前作では芦田愛菜氏が声を演じたルビッチだが、今作からは、オーディションを勝ち抜いた10歳の永瀬ゆずなちゃんが演じることになった。
「大人の女性が子供役を演じることは、よくあることです。大人ですから安定感もありますし、制作側も見ている方も安心です。けれど本物の子供が演じると、不安定な感じが、より『ルビッチがんばれ!』と思わせるんですよね」
そう語る西野氏。オーディションでは、永瀬ゆずなちゃんが現れた時点で即決だったほどにイメージにぴったりだったという。
すでにゆずなちゃんはアフレコを終えており、アニメーションも大部分が制作されているという。公開は2026年春を予定。首を長くして公開を「待つ」ことで、より本作のテーマを理解できるのかもしれない。
2026年春、『映画 えんとつ町のプペル 〜約束の時計台〜』 が公開決定!
解禁スペシャル動画 はこちら。

配給:東宝・CHIMNEY TOWN
監督:廣田祐介
アニメーション:STUDIO4℃
2026年初全国公開
(C)西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル 〜約束の時計台〜」製作委員会
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