PERSON

2025.07.28

結婚に迷うあなたへ。「それでも結婚したほうがいい」2つの理由

放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位であり、王者「令和ロマン」をはじめ、多くの教え子を2024年M-1決勝に輩出した・桝本壮志のコラム。

NSC講師・桝本壮志

「独身の36歳です。結婚したら『勝ち』だとは思わないですが、独身でいることに劣等感が拭えません。しばらくは仕事に集中したいのですが、このまま独身だと何か不都合なことやデメリットはありますか?」という相談をいただきました。

先行きの見えない経済、不安定な雇用、働き方改革でリーダー世代に集中する仕事量……。結婚しない、できない理由はたくさんありますよね。

収入が不安定な芸人界でも晩婚化が進んでいますし、結婚に二の足を踏んでいる若手芸人も増えています。

しかし僕は、「それでも結婚したほうがいいよ」と伝えている大人の一人です。

それはなぜか? 今回は、大好きな人との結婚、そして離婚も経験した僕が、生徒たちに伝えている「それでも早く結婚したほうがいい理由」をシェアしていきたいと思います。

結婚は「勝ち組」でなく「価値組」です

僕が若者に結婚をすすめる理由は大きく2つ。1つ目は、シンプルに「それが大人の振る舞い」だからです。

僕が子供のころ、周りには「大人はいいもんだぞ」と語る、学校の先生、親戚の伯父、近所の酔っ払いなど、昭和おじさんがたくさんいて、その言葉にワクワクさせられ「早くなりたいな」と思っていました。

なので、少子化がとまらない国の大人が、若い世代にするべき振る舞いは、「結婚ってアリだな」と思わせるムードづくりだと考えているんです。

「結婚は人生の墓場だぞ」なんて常套句を言っても、ますますこの国が暗くなるばかり。

昭和おじさんたちが、戦争で親を亡くしていても、バブル崩壊ですってんてんになっても、子供たちに希望を与えていたように、私たちも諸事情は横にうっちゃって、若い世代を励ます雰囲気づくりが大切ではないでしょうか?

そして2つ目は、経験上、結婚はとても価値のあるものだったからです。

多くの若者がもつ結婚のイメージは、パートナーとの新生活、新しい住まいや家具の購入、増える親戚づきあいなど、“別世界が広がっていくもの”という感覚です。

しかし現実は、相手との金銭感覚のズレ、ゆずれない生活ルーティン、思いもしなかったイラ立ち、自分のダメな部分の顕在化など“これまで気づいていなかった、自分の内側の世界が外にあふれていく”生活です。

そしてその都度、「自分はこんな一面があるのか」「これは改善しないとダメだよな」と気づいていくんです。

これは、私たちが成長していくうえで、とても大きな「価値」であり、それは最愛の人と共に生活をしないと獲得できません。

なので僕は、結婚する・しないは勝ち負けではないけど、結婚する人は「価値組」にはなると考えているのです。

「いつか結婚」は、思い通りにいかない

では最後に、相談者さんの「このまま独身だと何か不都合なことやデメリットはありますか?」という問いにお答えしましょう。

よく独身者は「結婚はしたくなったらする」と言っていますが、その未来設計には不可抗力がつきものだということを勘定に入れておかなければなりません。

例えば僕は、前述したような価値組の生活を経て34歳で離婚しました。

元妻に教えてもらった「自分のダメさ加減」と向き合うために、「10年間は独りで生きよう。10年経ったら再婚しよう」と決意し、その青写真に沿って生きてきました。

ところが10年目で待っていたのは、コロナ禍による長い外出禁止と対面規制。独り暮らしの部屋でテレビや給湯器に話しかけるという未来でした。

また、リーダーポジションの皆さんには共感してもらえると思いますが、10年の間に部下は増えますし、責任範囲も拡大します。

僕の場合は、教え子が1万人を超え、メディア露出も増えたことから、マッチングアプリのようなツールを、「誰かに見られてしまうかも……」と、敬遠したまま今日に至り、気づけば50歳。離婚から15年が経った今でも、給湯器に「ありがとう」と言っているんです。

独身者の皆さんは、僕を反面教師にして、自分が描いている未来には「抗えないことも起こりうる」ことをインプットしつつ、素晴らしい恋愛ライフをしてくださいね。

ではまた来週、別のテーマでお逢いしましょう。

桝本 壮志/Soushi Masumoto
1975年広島県生まれ。放送作家として多数の番組を担当。タレント養成所・吉本総合芸能学院(NSC)講師。王者「令和ロマン」をはじめ、多くの教え子を2024年M-1決勝に輩出。

COMPOSITION=古澤誠一郎

TEXT=桝本壮志

PHOTOGRAPH=杉田裕一

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