メディカル・データ・ビジョン 代表取締役社長・岩崎博之氏と、アリババ代表取締役社長CEO・岡田聡良氏。起業家と外資トップの経営者ふたりのエピソードを紹介。【連載 相師相愛】
毎月食事しましょう
岩崎 ブロックチェーン技術に詳しい人を探していて、知人の紹介で食事をしたのが、5年前。
岡田 蕎麦屋でしたね。
岩崎 最初、岡田さんのお顔を見た一瞬ですぐに惹かれて。満面の笑みでした。帰り際には毎月一緒に食事しましょうとお誘いをして。とにかく楽しかった。
岡田 私もすぐに直感でこの人は心を許せる人だと思いました。
岩崎 それから一緒にしょっちゅうご飯を食べるようになりました。いつも、笑いながら。
岡田 一緒にいるのが、とにかくリラックスできる時間になっています。世界中でいろんなビジネスパーソンとお付き合いをしてきましたが、こういうことはなかなかありません。
岩崎 加えて、もっと一緒に時間を過ごしたくなって、岡田さんにゴルフを無理矢理、勧めたんですよね。コーチも探して。
岡田 上達するのに時間がかかるスポーツだから、ずっとやらなかった。でも、なんとかデビューしたけど、思うようにいかなかったかなぁ。優しいコーチを紹介してもらいましたけど。
岩崎 いえ、十分にうまくなっていましたよ。だいたい目指すところが高すぎるんですよ。しかも、あんなに短期間で。
岡田 いや、時間かかるのは、やっぱり好きじゃなくて(笑)。
岩崎 今頃になって初めてビジネスを一緒にやるんですが、岡田さんはとにかくせっかち(笑)。
岡田 世の中の役に立つ、とわかったら、すぐに動きます! 待ってる人がいますからね。
岩崎 スマホでたった10秒自分の顔を撮影するだけで、自律神経のバランスが見られる弊社が開発したアプリ「カルテコ」で協業することになりましたが、岡田さんの動きは速かった。
岡田 ビジネスはスピード。特にITの世界はスピードです。
岩崎 アリババとはこのアプリの「美容」に関する機能で協業することになって。
岡田 今や「美」は男性も注目していますから。日本では、健康との関わりも強いし、インバウンドも期待できる。とにかく夢は大きく。今後が楽しみです。
岩崎 話を最後まで聞かないのは、先がどんどん見えてしまうんでしょう(笑)。その場で、すごい人に電話しちゃうし。
岡田 携帯電話があるからいけないんです。電話がそこになかったら、できないもん。
岩崎 仕事もですが、プライベートもご一緒したいです。ゴルフはやりましょうよ!
岡田 もっと早くうまくなれるんだったら(笑)。
岩崎 スピードも意識が強いですが、感謝の気持ちにも意識が強いですよね。岡田さんは、いつもまわりの人に感謝している。社会にも感謝して、寄付もされていて。
岡田 会社が存続できるのは、社会があるから。子どもを育てられているのも、社会のおかげです。以前、アメリカの友人とクルマに乗っている時、道路工事をしている人がいると、その友人は窓を開けて「サンキュー」と言っていたんです。素晴らしいと思いました。感謝の言葉は、喜ばれるし、勇気を与えられます。
岩崎 感謝は大切ですよね。
岡田 岩崎さんは自分でリスクを取って、チャレンジしてきた人。仕事と人生を楽しんでいる。余裕があって落ち着いていて、人の話を最後まで聞く(笑)。
岩崎 実はせっかちなんですけどね(笑)。お互い、表現の仕方が違うだけなんです。それにしても、その満面の笑顔はなぜなんですか。
岡田 笑っていることが、好きなんですよ。人が喜ぶのも好き。でも、人と会って笑顔でいて、損することはひとつもないでしょう。笑顔で応じれば、相手も自信が持てたりする。唯一の欠点は、シワが増えること(笑)。
岩崎 でも、本当に笑いながらいつも食事していますから、まわりの人はびっくりしているかも、ですね。
岡田 いやいや、女房には嫉妬されるかもしれませんが、岩崎さんは人生の友だと思っています。
岩崎 老後になっても、定期的にお会いしていきましょう。
■連載「相師相愛」とは……
師匠か、恩師か、目をかける若手か、はたまた一生のライバルか。相思相愛ならぬ、相“師”相愛ともいえるふたりの姿を紹介する。