日本一「ありがとう」を言われるスーパーを目指すベイシア代表取締役社長・相木孝仁と、移動のシェアサービス事業を運営するNearMe(ニアミー)代表取締役社長・髙原幸一郎。お互いを“同志”と表するふたりのエピソードを紹介。【連載 相師相愛】
意外にも体育会系
髙原 楽天に入社したのは、海外で活躍したかったからでした。最初は国内事業を担当していたんですが、チャンスをもらえて。
相木 僕は当時、楽天の常務執行役員だったんですが、ちょっと難しいミッションのために人を探していたんです。優秀なだけではなく、人間力が必要でした。髙原さんに会ってみたら、とにかく「いいヤツ」で(笑)。
髙原 その印象、聞いたことなかったです(笑)。相木さんは役員ですから堅い人なのかなと思っていたら、やわらかい物腰で自然に自分の思いの丈を引きだしてもらえた。しかも、1ヵ月後に異動というスピードで。
相木 後に僕がトロントに駐在して、髙原さんはオハイオ州のクリーブランドに駐在。よく一緒に食事もしましたね。
髙原 ご自宅にもうかがって、奥さまの手料理をいただいて。手巻き寿司をよく覚えています。懐かしい日本食に加え、温かく迎えてもらえて、ほっこりしました。トロントで食べた旭川ラーメンもおいしかった。
相木 上司と部下というより、バディというか、同志という感じでしたね。僕はもともとせっかちなので、最初はいろいろ気になるんですが、髙原さんは最後にちゃんと帳尻を合わせてくる。そのバイタリティはすごいな、と思っていました。天才的に誰とでも仲良くなるし、助けたいと思われる。いろいろ僕も勉強させてもらっています。
髙原 照れくさいです(笑)。でも、バディと言ってもらえたのは、嬉しいです。僕が印象に残っているのは、とにかく愚直に真摯に物事に向き合われる姿です。この取材にしても、何を話すか、スマホにメモされていたでしょう。とにかく徹底して準備される。そういうところを、学ばせていただいています。
相木 いや、口下手でアドリブがきかないんですよ。
髙原 そんなことはまったくないですが、やっぱり物事をレベル高く達成することへのこだわりは強いですよね。背景には、スポーツがあるのかもしれないです。私は野球をやっていましたが、相木さんはテニスをされていて。やることをやったうえで次に行く、というマインドは共通項かもしれないですね。
相木 はい、体育会のテニス部出身です。
髙原 そうなんですよね。当たりはやわらかいんですが、実は体育会系だったりする(笑)。そして今もテニスをされていて。
相木 はい、実は取材の前もテニスをしていました(笑)
髙原 プロ経営者として、これだけのポジションにいながら、仕事もとことん追求して、テニスまでやっている。本当に尊敬します。
相木 小中高大、さらに実業団でもテニスをしていたんですが、24歳でピタリとやめたんです。ところが2年前に、もう一度、始めることになって。経営者でテニスをする人が意外におられるんですよ。ゴルフよりも、気軽に親睦を深められる。短時間でいいですからね。日本で一番テニスがうまい経営者を目指そうかと(笑)。
髙原 こんなに忙しいのに、メールもすぐに返事が戻ってくる。今も仕事で、さまざまにアドバイスをくださる。
相木 価値観が近い、というのもありますね。仕事を通じて、よりよい社会を作りたい、という思いとか、結果にこだわることとか、ファクトをしっかり見ることとか。話をしていると、やっぱり応援したくなるんです。
髙原 今、当社の社外取締役をお願いしていますが、スタートアップ企業でこんなに大きな会社のプロ経営者が社外取締役になっている会社はないと思います。いやもう、教えていただくことばかりで恐縮で。
相木 いや、価値観は近いけれど、僕とは違うところもあって、そこは大いに刺激になっているんです。アドバイスをしつつ、スタートアップ企業からもらっているものも多くて、僕の引き出しに入っていますよ(笑)。
髙原 ありがとうございます。また、ワインもご一緒させてください。久しぶりにバッファローチキンとかどうですか(笑)。
■連載「相師相愛」とは……
師匠か、恩師か、目をかける若手か、はたまた一生のライバルか。相思相愛ならぬ、相“師”相愛ともいえるふたりの姿を紹介する。