どっしりとした親分肌の松竹代表取締役社長・迫本淳一と、初めて会ったときから「いいヤツ」だと思った!と語られるチャコット代表取締役社長・馬場昭典。水泳を通じて固い絆を交わすふたりのエピソードを紹介。連載「相師相愛」とは……
だから、通じ合える
迫本 初めてお会いした時は、オンワード樫山の社長時代。若いのに突っ張ったところがなく、物腰が柔らかくて、すぐに「いいヤツ」だとわかりました。
馬場 どっしりとした親分肌の経営者であり、同時に弁護士。たまたま同窓の方に縁の深い方がたくさんおられて、勝手に親近感を持ちました。
迫本 2023年歌舞伎座は新開場10周年を迎えますが、10年前の新開場の際に、ファッションブランド「五大陸」のプロモーションで5人の若手歌舞伎俳優をキャスティングしてもらって。その時に作ってもらったスーツを今日、着てきたんですよ。入るか心配だったんですが(笑)。
馬場 甘いものがお好きだとおっしゃっていましたね。どら焼きに目がないと。しかし、減量もしないといけない、と(笑)。
迫本 減量とリバウンドの繰り返しの人生なんです(笑)。
馬場 ちょうど6年前、イベントでお席が隣同士になって、水泳にお誘いいただいて。
迫本 私は中学の時、水泳の関東大会で優勝しているんです。60歳を過ぎて、マスターズに挑んでみたくなった。馬場さんが水泳のジュニアオリンピックに出ていたのは知っていたんです。五輪選手を何人も育てたコーチが教えてくださるんですけど、一緒にやりませんか、と伝えて。毎週月曜、朝6時半から。
馬場 中学2年からやっていませんでしたから、初日は本当にヘトヘトになったのを覚えています。その後の仕事では、手がプルプルしていました(笑)。
迫本 でもやっぱり才能はハンパなかった。伸び率が高くて驚いて。私より練習していないのに(笑)。それから20代など、新しい仲間も入ってきて、チームで動くようになって。
馬場 大阪や新潟、愛知など地方で大会があると前泊して、みんなでワイワイやりましたね。
迫本 楽しかった。20代の記録の伸び方は許せないけど(笑)。
馬場 でも練習の最後にものすごいパワーで泳ぐ迫本さんを見て、若い人は驚いているんですよ。どこからこの力が出てくるんだろう、って。
迫本 水泳って本当に苦しい。だから水泳をやっている人は通じ合えるものがありますよね。
馬場 今は隔週になりましたけど、練習を終えて、コーヒーを飲みながら、いろんなことを話している時間も好きなんです。
迫本 反省会という名の(笑)。もちろん仕事の話もするけど、こういう仲間はなかなかいない。
馬場 本当に感謝しています。
迫本 今後も続けましょう。
馬場 水泳以外に、ゴルフでもご一緒するようになって。
迫本 飛距離を狙っている私からすれば、またこれが不愉快なんですけど、馬場さんはとんでもなく飛ばすんですよ(笑)。50ヤードくらい置いていかれたりして。ほんと、面白くない(笑)。
馬場 でも、スコアについては、いつも何も言われません(笑)。私は飛ばすだけなので。
迫本 よく隣のコースからまた打っていたりしますね(笑)。飛ばすけど、どこに行くかわからない。いつも4人で行って、ホールごとにペアを組むんですが、私と組んだときに限って、ボールがあっちの方向に行っちゃう(笑)。
馬場 緊張するんです(笑)。
迫本 でも最近、ちょっと修正したでしょ?
馬場 はい、オーバースイングを少し。
迫本 ほんと、いつも前向きなんですよね。馬力があるし、爽やかだし、ファイティングスピリッツがあって新しいことに挑戦していて、勉強になります。
馬場 大先輩から身に余るお言葉をありがとうございます。こちらこそ、たくさん学ばせていただいています。わからないことがあれば、必ず素直に聞かれる。こうと自分で決めたら、必ずやる。水泳だって、私一人だったら続けられたかどうか。
迫本 今後は食事に、旅行に、もっといろいろ一緒にやりたいですね。なかなかないご縁ですから、楽しみましょう。
■連載「相師相愛」とは……
師匠か、恩師か、目をかける若手か、はたまた一生のライバルか。相思相愛ならぬ、相”師”相愛ともいえるふたりの姿を紹介する。