PERSON

2022.06.07

プレステの父・久夛良木 健が認めた企業家──連載「相師相愛」Vol.70

師匠か、恩師か、はたまた目をかける若手か。相思相愛ならぬ「相師相愛」ともいえるふたりの姿をご紹介。連載「相師相愛」第70回は、起業家とプレステの父。樋口 龍が語る、久夛良木 健はこちら【連載「相師相愛」】

アセントロボティクス代表取締役CEO久夛良木 健が語る、樋口 龍

樋口さんからメールをもらったのは、2017年5月30日。覚えていますよ。似たようなメールはよく来るんですが、きちんとした文章で「テクノロジーで不動産業界を変えたい」と熱い思いが書き連ねてあった。それで返事をしたんです。まずはお会いしてみましょうとなりました。

ソニー時代から、見ず知らずの人に会うのは好きでした。今も多方面の方々と会うようにしています。同じ人といるよりも面白いでしょう。

会ったら若くて、以前はサッカー選手だったという。爽やかですよ。前職では飛びこみ営業をしていて根性もあった。私に会うのに、人を通さず直接コンタクトをしてきたのも感心した。まずは会社が見たくなって訪問して。若いけど、地に足がついた経営を目指していたのでサポートしたくなって。未来をつくっていくのは、この世代。未来の創造は私のテーマでもあります。

樋口さんとは仕事中心のお付き合いです。会食も行かない。世界を目指すのに、そんな余裕なんてないでしょう。私もそうでしたから。

サポートといっても、月に一度だけ訪れて会議で意見を言う、なんてことはしたくなかった。だから今も、さまざまなディビジョンと直接Slackでやりとりしています。必要な情報は共有する。だって、私もチームの一員ですからね。

会社は上場しましたが、これはスタートに過ぎません。大事なのはここから。計画どおりには進まない世の中ですから。放っておくと、取り返しがつかないところまで行ってしまうのが経営なんです。でも、樋口さんは経営者としてとても成長したと思います。決めないといけないという意識も強くなった。樋口さんたちがどんな未来を作るのか、早く見てみたいです。

樋口 龍が語る久夛良木 健はこちら。

右:樋口龍(ひぐち・りょう)、左:久夛良木 健(くたらぎ・けん)

Ryo Higuchi(右)
1982年生まれ。Jリーグチームに育成選手として所属。24歳で夢を諦め、ビジネスへ転身。不動産会社を経て、2013年に起業。会社はグロース市場に上場。

Ken Kutaragi(左)
1950年生まれ。ソニー・コンピュータエンタテインメントを設立、PlayStationの開発、発売に携わる。同社社長、ソニー副社長兼COOなど要職を歴任。

TEXT=上阪徹

PHOTOGRAPH=太田隆生

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