PERSON

2022.06.07

起業家・樋口 龍が敬愛するプレステの父・久夛良木健──連載「相師相愛」Vol.70

師匠か、恩師か、はたまた目をかける若手か。相思相愛ならぬ「相師相愛」ともいえるふたりの姿をご紹介。連載「相師相愛」第70回は、起業家とプレステの父。久夛良木 健が語る、樋口 龍はこちら【連載「相師相愛」】

GA technologies代表取締役社長/執行役員CEO 樋口龍が語る、久夛良木 健

世界的な会社をつくるには、世界的な会社をつくった人に教わるしかない、と思い調べて見つけたのが、久夛良木さんでした。まず会ってもらえないだろうと思いつも、ダメ元で直接メールをしました。そうしたら、なんと返事がもらえて。私はピカピカの経歴があるわけでもないし、メディアにも出ていないし、知名度もない。しかも一週間後にはご自宅に呼んでもらい、会社も見に来てもらえて。驚いたし、嬉しかった。さらに、なんとか接点を持ち続けたいと社外役員をお願いしたら、それはつまんない、と(笑)。まさかの出資を申し出てくださったんです。本当にびっくりでした。

ただし、最初からずっと叱られています(笑)。厳しいです。真剣に怒られる。でも、ありがたいんです。この年になって、本当に厳しくしてもらえる大人に会えることって、まずないですから。むしろ、優しさだと思っています。時には、キツイときもあるんですけど(笑)。この御礼は、結果で必ずお返しします。

世界的な人ですから、久夛良木さんの出資で会社の信用が一気に上がりました。取引先からも一目置かれ、採用にも好影響が出て。改めて、すごい人だと思いました。今は社外取締役をお願いしていますが、ずっと感じているのが、視座の高さです。でも、それは目の前の積み重ねが結果の視点の高さなんですよね。

また、未来をつくってきた人ですから、長期思考を大事にされるんですが、同時に短期的なことにも強烈にこだわられる。危機意識、問題意識も本当に厳しい。少ない情報の中で、本質をズバッと言っていただける。まさに、私にとっては「師」なんです。

久夛良木 健が語る樋口 龍はこちら。

右:樋口龍(ひぐち・りょう)、左:久夛良木 健(くたらぎ・けん)

Ryo Higuchi(右)
1982年生まれ。Jリーグチームに育成選手として所属。24歳で夢を諦め、ビジネスへ転身。不動産会社を経て、2013年に起業。会社はグロース市場に上場。

Ken Kutaragi(左)
1950年生まれ。ソニー・コンピュータエンタテインメントを設立、PlayStationの開発、発売に携わる。同社社長、ソニー副社長兼COOなど要職を歴任。

TEXT=上阪徹

PHOTOGRAPH=太田隆生

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