GOLF

2026.02.19

飛ばそうと振っても飛ばない――アマでも再現可能な肩の使い方

約1年で世界ランキング1492位から191位(2026年2月10日時点)へ――。驚異的なスピードで世界のトップ戦線に名乗りを上げた20歳のアマチュア、ジャクソン・コイヴン。PGAツアーでもトップ10入りを重ねるその実力の背景には、効率的に飛距離を生み出す合理的なスイングがある。その軌跡とともに、アマチュアゴルファーにも再現可能な「肩の縦回転」の使い方を解説。動画とあわせて、その本質をぜひ確認してほしい。吉田洋一郎コーチによる最新ゴルフレッスン番外編。

吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン番外編/飛ばそうと振っても飛ばない――世界が注目する20歳アマが実践する“効率的に飛ばす”体の使い方

PGAツアーでも結果を出すアマチュア、ジャクソン・コイヴンの実力と急成長の理由

ジャクソン・コイヴンは2025年のPGAツアー・レギュラーシーズン最終戦のウィンダム選手権で通算14アンダーの5位タイに入り、4日間すべて60台を記録。トッププロと優勝争いを演じ、一躍注目を集めた。

続くプロコア選手権でも4位タイに入り、2025年は出場7試合中6試合で予選通過、3試合でトップ10入り。アマチュアでありながら、すでにPGAツアーレベルの実力を証明している。

こうした結果は決して偶然ではない。大学ゴルフ界では史上初の主要4賞独占を達成するなど、早くから“次代の主役”と目されてきた存在だ。

コイヴンは2005年5月にカリフォルニア州で生まれ、幼少期から父の影響でクラブを握り、ジュニアの大会で勝利を重ねる中で全米に名を知られる存在となった。

オーバーン大学に進学した2023年以降、コイヴンへの評価は一気に加速する。

とりわけ2023-24年シーズンの活躍は圧巻だった。サウスイースタン・カンファレンス(SEC)選手権を6打差で制し、13大会中12大会でトップ6入り。安定感と爆発力を兼ね備えたプレーで、大学ゴルフ界の中心的存在へと躍り出た。

シーズン最大のハイライトとなったのが、NCAAディビジョンI男子ゴルフ選手権だ。

コイヴンはマッチプレーで無敗を貫き、オーバーン大学をプログラム史上初の団体優勝へ導いた。自身も個人戦準優勝を記録し、団体戦と個人戦の両面で結果を残したことで、「大舞台で真価を発揮する選手」という評価を決定づけた。

この年、コイヴンは大学1年生にして、ジャック・ニクラス賞、フレッド・ハスキンズ賞、ベン・ホーガン賞、フィル・ミケルソン優秀新人賞という大学ゴルフ界の主要4タイトルを、史上初めて同一シーズンで独占。

選考基準や投票母体の異なる賞をすべて制した事実は、技術、安定感、勝負強さ、将来性のすべてを兼ね備えた存在であることを示している。さらにSEC新人王と年間最優秀選手を同時受賞し、オールアメリカン・ファーストチームにも名を連ねた。

2年生となった2024―25年シーズンも勢いは衰えない。SEC年間最優秀選手を2年連続で受賞し、オールアメリカン・ファーストチームに再び選出。ウォーカーカップ、パーマーカップのアメリカ代表としても活躍した。加えて2025年には、世界アマチュアランキング年間1位の選手に贈られるマーク・H・マコーマック・メダルを受賞している。

これらの実績を背景に、コイヴンは大学ゴルフとPGAツアーを結ぶ「PGAツアー・ユニバーシティ」のアクセラレーテッドプログラムで20ポイントに到達し、PGAツアーカード取得資格を獲得した。PGAツアー・ユニバーシティは、大学最終学年時のランキング上位者にツアー出場資格を付与する制度だが、アクセラレーテッドプログラムはそれとは異なり、在学中から複数年にわたる成績をポイント化し、一定基準に達するとPGAツアーカード取得が可能となる特別枠である。

 ポイントは、アマチュアでの成績に加え、PGAツアーでの成績も対象となる。つまり、単に大学で好成績を収めるだけではなく、アマチュアの立場でプロの舞台でも結果を残す総合力が求められる、極めてハードルの高い制度だ。そのため20ポイント到達者は制度開始以来わずか3名にとどまっており、コイヴンの到達は「将来有望」という評価ではなく、すでにPGAツアーレベルで戦える実力を認められたことを意味する。これにより、コイヴンはアマチュアでありながら、PGAツアーに参戦できる権利を得たが、すぐにプロ転向を選ばず、大学に残る道を選択している。

アマチュアの頂点に立ち、PGAツアーでも確かな足跡を刻み始めたジャクソン・コイヴン。次代のゴルフ界を担う存在へ――その歩みは、すでに始まっている。

飛距離が伸びるゴルフスイング。ジャクソン・コイヴンに学ぶ「肩の縦回転」の使い方

コイヴンのスイングの最大の特長は、「前後軸」を生かした体の使い方にある。前傾姿勢を保ったまま肩を縦方向に回転させ、その動きと下半身を連動させることで、効率よくヘッドスピードを生み出している。

切り返しでは左足でしっかり地面を踏み込み、その力を肩の縦回転へとつなげている。さらにダウンスイングでは、踏み込んだ左サイドが伸び上がる“抜重”の動きによって回転を加速させ、地面反力を無駄なくヘッドスピードへと変換している。

この一連の動きにより、飛距離が伸びるだけでなく、インパクトゾーンが長くなって打点も安定する。その結果、アイアンショットの高い精度にもつながっている。

アマチュアゴルファーも、前傾を保ちながら足の動きと肩の縦回転を連動させる感覚を身につけたい。無理に肩を回そうとしたり腕を振ろうとしたりせず、地面を踏んだ力が体を回してくれるという意識を持つことが大切だ。その感覚をつかめば、飛距離も方向性も自然と向上してくるだろう。

動画で解説|ゴルフの飛距離を伸ばす「肩の縦回転」スイングのポイント

◼️吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。

TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=AP/アフロ

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