放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位の桝本壮志のコラム。
「どうすれば人から好かれるか?」の相談に回答
「どうやったら人に好かれますか?」
毎週このコラムを読んでいるという女性プロデューサーから、そんなオーダーをいただきました。
たしかに私たちの営みは「人を好きになるor嫌う」と「人から好かれるor嫌われる」が大きな割合を占めています。
そこで今週は、人気商売の代名詞「タレント」さんと30年に渡って寝食を共にし、ぼる塾ら女性芸人たちと恋愛話をしながら夜をこえてきた私が、マジメに説いてみたいと思います。
1.一番ムダな努力は「人に好かれようとする努力」
8年前、ある女性芸人から「まったくファンが増えない」という相談を受けました。
お笑いの劇場では女性客が多く、男性芸人はファンがつきやすく、女性はなかなか人気が出ない傾向があります。
なので彼女は、芸風を変え「女性ウケ」を狙ったネタを作ろうとしていました。
僕は「人気は、ただの“人の気分”やで」と前置きしたうえで、「一番ムダな努力があるとしたら、人に好かれようとする努力やで」と伝えました。
誰もが「人に好かれたい」し、できるだけ多くの人に「好きでいてほしい」もの。
しかし、まったく同じ写真をSNSにアップしても、好かれる人は好かれるし、嫌われる人は嫌われる。けっきょくは、受け取り手の見方、性格、そのときの気分しだい。
そう、好かれるか? 嫌われるか? は、あなたに問題があるのではなく、相手の人生の課題。そもそも、万人に好かれる魔法など存在しないのです。
ちなみに彼女は、その後、自分のスタイルを貫き、今ではメディアを賑わす人気者になっています。
2.「いい人」は、あなたが「いい人」になると現れる
友人の30代後半の女性芸人は、「どこかにいい人いない?」が口ぐせで、何人か紹介したこともありました。
が、ある日のサシ飲みで、いつものフレーズが出ないので「いい人できたの?」と聞くと、こんな返答をしました。
「いい人、いい人って言う前に、もうちょっと私がいい人になってみようと思ったの」
彼女は何の気なしに言ったのですが、本質だなと思いました。
「いい人」に出会うためには、それなりに“自分もいい人”じゃないと会えません。これは仕事も同じで、よく「どっかにいい仕事ない?」と聞いてくる現役世代は多いですが、“いい仕事”をもらうためには、それなりに“いい仕事ができる人”じゃないと巡ってこない。この本質は見落とされがち。
彼女は、選んでばかりだった生活に句読点を打ち、自分を磨いて“選ばれる人”になろうと改心したのです。
この視点変更は、一朝一夕にはできないものですが、現在、良きパートナーと過ごしている彼女を見ていると、やはりおススメです。
「いいかもな」と思った方は実践してみてください。
“なりたい人”になれるのは“なろうとした人”だけですしね。
3.「できる人」は、けっこう嫌われていたりする
これまで出会ったどんな一流タレントにもアンチファンがいました。ナゼいるのか? それは“関心があるから”です。
できる人は、多くの人から関心を集めるので、比例して嫌われます。そして、できる人にとって“好き嫌いでジャッジされる距離感”にいることは有難いこと。何も反応されない“無関心な距離感”が、人としてもっとも辛いことだし、ビジネスが不全になることを知っています。
そして、できる人には、嫌ってくる人もいるのですが、好いてくれる人からは絶対的に好かれています。
そこにある学びは、“誰かに好かれたいなら、誰かに嫌われることを知らなくてはいけない”という自然の摂理。
さらに、他者が自分に対してどんなにマイナス感情を抱いていても“こっちからは好きになり放題”。“みんなに好かれるのはムリ”だけど、“みんなを好きでいることはできる”。どんな相手でも“好意と敬意をもって向き合う”という態度があるのです。
それでは今週はこのあたりで。
毎週読んでくださっている、あなたも女性プロデューサーも大好きです(笑)。