進化した最新クルーズ船「MITSUI OCEAN FUJI」に潜入してきた

2024年に就航を開始した「MITSUI OCEAN FUJI」。海のサービスを知り尽くした商船三井クルーズが新たに送りだしたクルーズ船の、唯一無二の魅力とは。【特集 クルーズ＆列車の旅】

日本の美しい船旅へ

プールサイドのデッキチェアに寝転べば、遮るもののない青空が広がる。どこまでも続く水平線を望む穏やかなその光景に、まるでビーチで寛いでいるような感覚になるけれど、実はここは船の上だ。目の前のプールに湛えられた水が少しだけ揺れていることがそれを証明している。

2024年末にデビューを果たしたばかりの「MITSUI OCEAN FUJI」のデッキは開放感抜群だ。この船は140年以上にわたり、モノと人を船で運んできた商船三井クルーズによるもの。1990年に就航し、愛されてきた「にっぽん丸」以来、新たに手がけたクルーズ船となる。

アメリカのラグジュアリークルーズを運航するシーボーン社が、2009年から使用していた船体を受け継ぐ。水回りを改修し、温水洗浄便座つきトイレにするなど、日本人により親しみやすい一隻を造りあげた。

「ゲストの皆様には『日本の美しい船旅』を感じていただけるようにつとめています」

そう語るのは、この船でサービスを担当するホテルゼネラルマネージャーの川野惠一郎氏。その言葉どおり外国船籍でありながら、船内の公用語は日本語だ。クルーたちが日本語でフレンドリーに話しかけてくれるのは心強い。

また食事は、各地の食材を使用した多彩な食事を4つのレストランで展開。たとえ洋食のフルコースをいただいた日でも、締めに日本食を食べにビュッフェに向かう、なんて日本人らしいハシゴもできてしまう。また巨匠、三國清三氏によるスペシャルダイニング「北斎 FINE DINING」で、世界中でここにしかないフレンチを体感するのも愉しい。

航路は日本全国の港から、さまざまある。例えば、横浜から秋田、佐渡島、韓国・済州島をめぐるコース。また神戸から大分県中津を経由、韓国・釜山へ向かうコースなど。那覇発着で台湾を訪れるものもあり、日本を中心としてアジアの魅力にもまた気がつける旅が目白押しだ。

陰から見守り支える日本らしいサービス

全客室に大きな窓がつき、そのほとんどに専用テラスを完備。なかでも約82㎡の広さの「MI
TSUI OCEANスイート」では、サンルームの中にバスタブが設置されている。大海原を眼前に望み、太陽光を浴びてのバスタイムは至高の時間だ。さらに、室内には別途ジェットバスもある。温まったら今度は風を感じるテラスに出てととのうことだってできてしまうのだ。

この船では乗客458名に対し、約340名のクルーを配置。ゲスト約1.3名に対しクルー1名のサービスがつくことになり、常に痒い所に手が届く状態。

「前に出すぎないサービスを、私たちは心がけています。そっと見守り、お客様が欲していることを先回りしてお手伝いする。陰で支えるような、そんな日本的なサービスを徹底しているんです」（川野氏）

「日本の美しい船旅」を体現する、さり気なくも徹底されたサービス。川野氏はじめ、「にっぽん丸」から長く船上でのサービスを続けているクルーもおり、そのノウハウとホスピタリティの伝統が引き継がれている。クルーもまた一緒に旅をする仲間。彼らとの交流、再会を楽しみに訪れる人も多いのだという。

遥かなる水平線の向こうへ進む船。サンライズデッキで日の出を眺める日々は、新たなインスピレーションを与えてくれると、この船でワーケーションをする人もいるのだとか。

どこか異国情緒を感じる海外船籍でも、安心して旅ができる。そんな今までになかった旅の時間を、これからの人生に追加したい。

【特集 クルーズ＆列車の旅】