大人になって何かにハマったり、何かを習うことは、刺激的で日常を鮮やかに彩るもの。もしかしたら生き方がガラッと変わるかもしれない！ これから始めたい趣味、嗜みを、その道のプロから最上＆最新の品とともに教わる。今回は「クルーズ」を学ぶ。 【特集 人生を変える最強レッスン】
超最新の豪華客船は自由度とリゾート感がモダンに進化
「現在、世界的なクルーズの人気上昇で、大型、小型の新艇が続々誕生しています。レストランを数多く揃えた食に特化した船や、音楽フェス並みのライヴが見られるエンタテインメントに特化した船など、種類は実にさまざま。コロナ禍以降、従来の格式張ったイメージから脱却し、制約やルールに縛られない自由な旅スタイルにシフトしてきています」
そう語るのは、クルーズ旅の専門誌「CRUISE Traveller」の編集長を務める茂木政次氏。これまで100回以上クルーズ船に乗ってきたなかで、一番印象に残っていると教えてくれたのが、2023年に就航した「エクスプローラ Ⅰ」だ。MSCグループが新たに立ち上げたラグジュアリーブランド「エクスプローラ ジャーニー」から誕生。忙せわしない旅ではなく、ゆったりと過ごせるようにと、まるで最高級の洋上リゾートホテルのようなラグジュアリー船だ。
「とにかく、船員ひとりひとりのホスピタリティが超一流。ほぼゲスト1人に対して1人のホストがつくのですが、つかず離れずで見守ってくれて、距離感も心地よいのです」
船尾にはインフィニティプールがあり、スパやプールといった施設が充実しているのもこの船ならでは。ここで、オーシャンウェルネスに没頭する旅を満喫したという茂木氏。数多くの種類があるクルーズ船のなかから、茂木氏のように自分の好みの船を見つけるには、どうしたらいいのだろうか。
「まだあまり経験がないけれどこれから船旅を楽しみたいという人は、まずは2024年の5月から運航を始めた『クイーン・アン』に乗ってみることをお薦めします。この船は180年以上の歴史があるイギリスのキュナード社の船で、私はこのキュナードの船が、現在世界中にあるクルーズ船の基礎になっていると考えています。まずキュナードで基礎を知り、その後『自分は食に特化したい』『もっと船上でエンタメを楽しみたい』など、自分の好みを見つけていけばいいでしょう」
年間3ヵ月程度は取材のために航海に出ているという茂木氏に、ツウな楽しみ方を教えてもらった。
「上質な船には世界中から素晴らしい船客が集います。なかには船上で出会った人と、その場で商談をまとめたという人も。そのように交流の場にするのもよし、ウェルネス三昧の日々を過ごすのもよし。目的によって楽しみ方はそれぞれ。洋上で実現したいことをしっかりイメージすれば、複数の選択肢から自分に合った客船やデスティネーションが選べる時代がすでに来ています。その時の気分で目的を決め、自由にクルーズ旅を楽しんでみてください」
茂木政次氏おすすめのクルーズ2選
1．エクスプローラ I｜船尾のインフィニティプールから海面に波立つ船跡を眺める贅沢
4つのプール、サウナやトリートメントサロン、270㎡の広々としたフィットネスセンターなど、ウェルネス施設が充実。レストランが6ヵ所あり、予約の時間など自由度が高く、鮨などの和食も含めた個性的で洗練された世界各国の上質な料理を毎日選んで食べられる。ワインなどのアルコールもオールインクルーシブで、追加料金の不安を感じることがないのも満足度を上げてくれる要素のひとつ。
「ホストのホスピタリティの高さにも感動しました。食事の好みなどを覚えていてくれつつも自由にオーダーさせてくれるなど、堅苦しくないところが嬉しい。シェフによる料理教室なんかも開かれていて、なかなか楽しかったですよ」
Explora I
総トン数：63,900t
全長：248m
乗客定員：922名
乗務員数：735名
施設：レストラン6ヵ所、フィットネスセンター3ヵ所、プール4ヵ所、スパ、カジノ、カフェ、ラウンジ、ブティックほか
2．クイーン・アン｜歴史的クルーズラインの最新作で英国の誇りを体感する
1840年に創業したイギリスのクルーズライン、キュナード社の4つ目となる新造船。2024年5月から運航を開始した。最も広い客室は約133.78㎡の「グランド・スイート」だ。屋外エリアの「ザ・パビリオン」にはプールとステージが設置され、映画上映やライヴも開催される。全体的にクラシックな内装で、その伝統を感じながらも、好きな時間に好きなレストランを選べるなど自由に過ごすことができる。
イギリスのサウサンプトンなどから世界各地へ就航。「ブリティッシュパブの『ゴールデン・ライオン・パブ』は予約は不要、イギリス名物の本格的なコッテージパイと、ギネスビールを流しこめば、気分は英国紳士です（笑）」
Queen Anne
総トン数：113,000t
全長：323m
乗客定員：2,996名
乗務員数1,245名
施設：ダイニングやスペシャリティ・レストラン、バー、ラウンジなど15ヵ所、シアター、スパ、フィットネスセンターほか
クルーズトラベラーカンパニーが発行するクルーズ船の専門誌「CRUISE Traveller」編集長。世界中のクルーズ船を取材し、世の中に発信してきたクルーズ業界の第一人者。取材などのため、1年のうち約3ヵ月を船上で過ごす。
この記事はGOETHE 2024年10月号「総力特集：人生を変える最強レッスン」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら
