1万人以上のストレスに向き合ってきた脳科学者・西剛志氏が、「仕事のストレス」を断ち切る方法を伝授。最短1分、誰もが気軽に取り組める科学的メソッドに、きっと心が軽くなるはず。『脳科学でわかった 仕事のストレスをなくす本』(アスコム)から一部抜粋して紹介する。【その他の記事はこちら】

仕事の「意味づけ」を変え、ストレスを減らす
ここでは認知クラフティングについてお話しします。認知クラフティングは、仕事の「意味づけ」を変えることでストレスを減らし、やりがいを取り戻す方法です。
たとえば私は学生時代、接客のアルバイトが大の苦手で、「ルールに縛られる苦手な仕事だ」と思っていました。しかし、認知クラフティングを行い、接客の仕事を「相手の悩みを分析し、解決策を提案する創造的な仕事だ」ととらえるようになった結果、今ではむしろ楽しくて仕方がありません。
このように、仕事内容自体は同じでも、認知を切り替えるだけで「苦手な仕事」から「自分の力を発揮できる仕事」に変え、ストレスを減らすことができます。現実は変わらなくても、認知クラフティングを行い、脳内で意味づけを変えることで、未来が変わるのです。
そして、認知クラフティングを実践するうえで最強の武器の一つといえるのが「ブリッジ・ステートメント法」です。
たった一つのシンプルな問いかけが人生を変える
ブリッジ・ステートメント法は、自分ごと化することでドーパミンを出す方法で、問いかけの基本構造は、たった一つです。
「○○(現在の仕事や特定の作業)は自分に、どう役立つだろう?」
この「役立つ」の部分は「キャリアにつながる」「成長できる」「得がある」「意味がある」などに置き換えてもかまいません。たとえば、
・「この作業は自分(現在と将来)にとって、どう役立つだろう?」
・「プレゼン資料の作成は自分のキャリアにどうつながるだろう?」
・「クレーム処理することは、自分をどう成長させてくれるだろう?」
こうした問いを自分に投げかけるだけで、「現在の作業」=「自分に関係するもの」という認知が脳内に生まれ、認知が変化しやすくなります。
実際に、ブリッジ・ステートメント法を実践し、仕事も人生が大きく変わった、男性のクライアントがいます。
彼はかつて、仕事に対して非常に後ろ向きでした。「売り上げ=達成できない」「お客さま=怖い」「人間関係=面倒」「締め切り=プレッシャー」といったネガティブな思考にとらわれ、仕事はストレスでしかなく、疲労ばかりがたまっていたのです。
ところが、「売り上げを伸ばすことは、自分の夢の実現にどう役立つだろう?」「お客様は自分をどう成長させてくれるだろう?」と自分に問いかけたところ、「売り上げ=成長のチャンス」「お客さま=新しい視点を与えてくれる存在」「人間関係=組織心理を学ぶ機会」「締め切り=集中を高めるスイッチ」といった具合に、仕事そのものに対する考え方が次々に変わっていきました。その結果、彼は仕事がどんどん楽しくなり、成果も注目されるようになって、12年後にはある企業の副社長へと異例の抜擢をされたのです。
たった一つの問いかけが、人生を変えることがあります。ブリッジ・ステートメント法で新たな意味を見出すことができれば、今まで△や×だと思っていた業務が〇に変わり、取り組み方が変わり、その業務が価値を生み出すようになるかもしれません。ちょっとした工夫だけで、業務の内容自体は変わらなくても、ストレスを減らし、成果をあげることが可能なのです。
もし、これら3つのジョブクラフティングをすべてやったとしても、現在の仕事で理想ゾーンの業務を多く満たせない場合は、部署の移動や転職を考えることも必要かもしれません。もしくは、仕事以外のことで好きな作業に没頭する時間を増やすことも有効です。
好きな作業に熟達するほど、現在の仕事のストレスも減っていきます。また、好きなことがいつしか仕事になるというパターンを、私はこれまでいくつも見てきました。現在の仕事以外のやりたいことを見つけたい方はぜひ、世の中にあるすべての仕事(924職種)を紹介している、私の公式noteを見てみてください。きっと、適職を見つけるうえで役に立つのではないかと思います。

脳科学者(工学博士)、分子生物学者。武蔵野学院大学スペシャルアカデミックフェロー。T&Rセルフイメージデザイン代表取締役。東京工業大学大学院生命情報専攻修了。2002年に博士号を取得後、特許庁を経て、2008年にうまくいく人とそうでない人の違いを研究する会社を設立。子育てからビジネス、スポーツまで世界的に成功している人たちの脳科学的なノウハウや、大人から子供まで才能を引き出す方法を提供するサービスを展開し、企業から教育者、高齢者、主婦など含めて4万人以上に講演会を提供。『世界仰天ニュース』『モーニングショー』『カズレーザーと学ぶ。』などをはじめメディア出演も多数。TBS Podcast「脳科学、脳LIFE」レギュラー。著書に20万部のベストセラーとなった『増量版 80歳でも脳が老化しない人がやっていること』、『1万人の才能を引き出してきた脳科学者が教える 「やりたいこと」の見つけ方』『結局、どうしたら伝わるのか? 脳科学が導き出した本当に伝わるコツ』など海外を含めて累計43万部突破。
            
            
            
            
            
            
            
            
    
        
        
        
        
        
        
        
        
        
        
        
        
        
            
            
            
              
              
              
              
              
              
              
              
              
              
              
              
              
              