英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第291回。

帰国子女から言われた“Don’t butter him up too much.”「彼にバターを塗るな」って?
先日、あるプロジェクトの決定権を握っている人と会い、私もぜひそのプロジェクトに入れてもらいたいがためにひたすらおべっかを使いまくりました。
「あのプロジェクト最高っすよね、憧れです」
「いや〜、そのスーツお似合いですね」
「っていうか〇〇さんってなんか、オーラすごくないですか?」
私はフリーランスとなって5年が経ち、普段上司という存在がいないからか、おべっかを使う能力がサラリーマン時代から著しく低下しています。明らかなヨイショだと誰でもわかるような下手くそな褒め言葉で、一瞬周りが凍りつきました。
Don’t butter him up too much.
その場にいた帰国子女だという方に、そう言われました。なぜ突然英語で言われたのかわかりませんでしたし、そもそも「バター ヒム アップ」ってなんでしょうか。バターってあのパンに塗るバターのことでしょうか? BTSの名曲「Butter」の歌い出しがふと思い出されました。
あとでこっそり聞いてみたらこういうことでした。
butter someone up=おべっかを使う、お世辞を言う、ヨイショする、ご機嫌をとる
直訳すれば「彼にバターを塗る」になります。相手の頭を撫でながら、バターを塗っているようなイメージが浮かびますが、もしかしたらはたから見ると、おべっかを使っている人ってそれくらい奇妙なことをしているようにも見えるのかもしれません。
“butter someone up”の例文
例文としてはこんなものがあるみたいです。
He’s just buttering up the boss to get a promotion.
(彼は出世するために上司におべっかを使っているだけだ)
その帰国子女の方は、私が「私もちょっとイギリスいたことあって〜」という短期滞在の思い出を大げさに語った際に、同じく帰国子女だと思ったようで、英語で嗜めたのだということ。「あまりヨイショしすぎないで!」と日本語でいうとその場もしらけるだろうと思い、わかる人にはわかる、わからない人にはわからない英語で言ったのだそうです。
とはいえ、おべっかを使うということは、社会の中ではどうしても必須スキル。もうちょっと自然に人をヨイショできるように、日々研究していかなければなりません。