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2025.01.15

“なかなか始められない”を改善するコツ10選【まとめ】

行動科学マネジメントの第一人者、石田淳さんが誰がやっても成果を出せる実践的メソッドを指南した『始める力』。その一部を抜粋して紹介した記事をまとめてお届け! ※2024年7月〜8月掲載記事を再編。

『始める力』【まとめ】

1.英会話、資格の勉強、ダイエット、禁煙…始めたいのにできない人には共通の傾向があった

なにかを始めようとするとき、それが仰々しいものである必要はありません。立派な態度で臨む必要もありません。ちょこちょこ始めてすぐに撤退したっていいし、途中で尻尾を巻いて逃げ出したって構いません

「何事も中途半端にやってはいけない」などと、訓辞を垂れる人がときどきいます。極めるまでやる覚悟がないなら、安直に手を出すなと言うのです。

でも、そういう人に限って、実際には自分自身が「始められていない」ことが多いように思うのですが、どうでしょう。自分が「始めていない」言い訳を正当化して、他人に押し付けているようにしか、私には思えません。

「今さら、そんなことしたって無意味だって」

「あと、10年早けりゃね。おまえ、いくつになったんだよ」

あなたの周りに、こんなことを言って足を引っ張る人がいても、あなたにやりたいことがあるなら、そんな言葉は無視して構いません

そもそも、忙しい現代人に「物事を極める」時間などありません。極めなくたって、中途半端にやるだけだって、なにもしない人よりも確実にスキルはアップしていきます。

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2.行動科学の専門家が指摘。人は「続けなきゃ」と思うから「始められない」

なにか始めたいことがあるのに躊躇している人に、勘違いしないでほしいことがあります。「始めたからにはやめられない」ものでもないし、「始めたことをやめてしまうのはマイナス」でもないということです。「始める」とは、それだけで、あなたの人生に確実なプラスをもたらす行動なのです。

なにかを始めたあとには、必ず2つの選択肢が待っています。

  • 1 始めたことを続ける
  • 2 始めたことをやめる

多くの人が、「1」でなければならないと考えてしまいます。しかし、実際には、このどちらであってもいいのです。意外に思われるかもしれませんが、始めたことを、やめてもいいのです。なぜなら「続けなくていい」という答えが出たのですから。

一番まずいのが、「もう続ける必要ないんじゃないか」と思いながらやめないこと。つまり、ずるずると答えを出そうとしないことです。

ところが、仕事でも恋愛でも、そういうケースがかなり見受けられます。

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3.「始められない人」は、“足を引っ張る環境”になっていないか客観的に見定めよ

「ハードルも充分に低くしたし、やる気マンマンなのに上手く始められない」

こんなときは、あなたを取り巻く環境を見直す必要がありそうです。

資格試験に挑戦中の女性を思い出してください。早く起きて勉強しようと思っているのに、ベッドがあるから二度寝をしてしまった彼女。自宅からカフェへと環境を変えただけで勉強習慣を身につけることができました。

環境は、とても重要な要素なのです。

ある30代の主婦は、年々増加していく体重をどうにかしようと考えていました。美容上の理由もあるけれど、なにより健康のために。というのも、市の健康診断ではじめて「血糖値が高め」と指摘されたのです。

まだ、30代。小学校に通う育ち盛りの子どもが3人います。少なくとも、これから20年間は大病知らずで過ごしたいところです。

彼女は、運動か減食か、どちらの手法を選ぶか大いに迷いました。そして、子どもの頃から運動とは無縁だったので、減食のほうが自分には向いていると判断しました。

「減食したほうが食費も減らせるしね」

しかし、減食しやすい環境が整っているかというと、そうではありませんでした。というのも、育ち盛りの三人の子どもたちのために、どうしてもこってりと食べ応えのある食事を用意することになります。しかも大量につくって、子どもたちが残した分は「もったいない」と自分が食べてしまうことが多いのです。

このように、家庭には、それを大事に思うがゆえの「足を引っ張る環境」が存在しがちです。

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4.“なるはや”は最悪! 部下も自分も動きやすくなる「MORSの法則」とは

なにかを始めるということは、「小さな行動」を取ることです。

「とにかくダイエットしなくちゃ」

「仕事の勉強を始めないと……」

こんなふうに考えていてもなにも始まらないのは、それが具体的行動に落とし込めていないからです。

部下指導が上手くいかないときなども、そこに具体的行動が欠如しているケースがほとんどです。

「できるだけ早くやっておいてね」

「限界まで頑張ってみろよ」

こんな指示は、行動科学マネジメントでは「最悪」と判断されます。曖昧もいいところだからです。

「できるだけ」って、どのくらいのことなのか。

「早く」って、いつまでのことなのか。

「限界まで」って、どこまでを言うのか。

「頑張る」って、そもそもなにをどうするのか。

まったくわかりません。こんな曖昧な指示で部下が正しく動けると思うほうがどうかしています

セルフマネジメントも同様です。あなたが、なにかを始めようというときには、自分に具体的行動で指示を出してあげなくてはなりません。

では、「具体的行動」とは、どのように規定していけばいいのでしょうか。

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5.成長を確認するには「累積」グラフが効果的。行動科学マネジメントが教える「始めかた」

曖昧さを徹底的に排除する行動科学マネジメントでは、物事の評価に「数値化」が欠かせません。

当然のことながらグラフも多用します。しかし、いわゆる折れ線グラフではなく、累積グラフを好んで用います。

たとえば、ある営業スタッフの成績が、「先月は7件の契約が取れたけれど、今月は3件だった」としましょう。

そのときに、ただの折れ線グラフなら、「今月は先月よりダメだ」となります

これだけ経済が冷え込んで、右肩上がりの成長など望めないのですから、前の月より成績が振るわないことがあるのは当然です。にもかかわらず、「今月は先月よりダメだ」という思いは、その営業スタッフに重くのしかかります。まるで、自分がどんどん悪い方向へ向かっているように錯覚してしまうのです。

グラフをつくっている上司は、それで部下が発奮してくれると考えるのでしょう。しかし、結果は逆で、部下を潰すことになっていきます。

でも、行動科学マネジメントで用いる累積グラフなら、そうはなりません。

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6.行動科学マネジメントの第一人者が教える、部下が結果を出せない理由

行動科学マネジメントでは、人が良い結果を出せない理由は2つしかないと考えています。

  • 1 やり方がわからない
  • 2 やり方はわかっていても続け方がわからない

どんなことであっても、これら2つの理由さえ払拭(ふっしょく)してあげれば、誰でも良い結果が出せるというのが、行動科学マネジメントの理論です。

仕事で「あいつはダメだ」という評価を下されている人は、本当にダメなのではなく、仕事のやり方がわからないか、やり方はわかっても続けられないかのどちらかです。だから、その方法を教えてあげればいいのです。

「仕事のやり方がわからないなんて、そんな基本的なことを言っている場合なのか?」

「そんな人間を、会社は育てなければならないのか?」

私の指摘に、多くのマネジャーや経営者は嘆息するのですが、取引先での挨拶一つだって、「明確に教えてもらわなければわからない」のです。

あなただって、そうでしょう。今は当たり前にできていることも、どこかで誰かに正しく教えてもらったからできるようになったはずです。

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7.ググった時点で始めている! 行動科学マネジメントの「考える」と「始める」の大きな違い

なにかを始めるとき、いったいどの段階をもって、それを「始めた」と言えるのでしょう。

行動科学マネジメント理論では、いくら頭の中で綿密な計画を立てていても、それが頭の中で行われている限り、始めたことにはなりません。どんな小さなことでもいいから、“行動”を起こしたときに、「始まった」と判断します

たとえば、あなたが「中国語を勉強しよう」と思ったとしましょう。

「どこの教室に通えばいいかな」

「それとも、NHKの講座を聴くのがいいか」

「そもそも、もう中国語は時代遅れだろうか」

などと、頭の中でいくら考えていても、それは始めたことにはなりません。

一方、具体的に情報収集を行ったなら、始めたと言えるでしょう。

たとえば、グーグルの検索ボックスに「中国語」と打ち込んだ瞬間に、あなたは始めています。なにか参考書はないかと、書店に足を運んだ瞬間に、あなたは始めています。

「ダイエットしなくちゃ」とため息ばかりついているうちは「始められないダメな人」でも、体重計を購入するという行動が起こせれば、立派に始めています。

自分では意識もしないような小さなことでも、なにかしら行動したなら始めているのです。

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8.「自己効力感」(“できそうだ”の気持ち)を高める4つの法則とは

ただの平地で走り幅跳びしたら3メートル先まで跳べる人でも、高いビルの屋上から2メートル先のビルの屋上に跳び移ろうとしたら身がすくんで動けなくなります。「落ちるかも」と思うからです。

なにかを始めるときに、「できないかも」と思ってしまうのは非常に損なことです。実際にできるかできないかはやってみなければわかりません。でも、やってみるそのスタートにおいて腰が引けていては、本当ならできることでも失敗してしまうでしょう。

だから、どんなことに対しても「できそうだ」という気持ちで臨むに限ります。

この、「できそうだ」という気持ちのことを、心理学の専門用語で「自己効力感=セルフエフィカシー」といいます。

あなたがなにかを始めるに当たっては、自己効力感をいかに高められるかが大きなポイントになります。

私自身、1か月先の締め切りが「守れそうにない」と感じることもある一方で、3日間で終わらせなければならないハードな仕事でも、根拠はないけれど「できそうだ」と感じることがあります。

そして、「できそうだ」と感じたことは本当にできるため、次の大きな自信を生み出してくれます。

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9.「PST分析」で分かったダイエットが続かない理由。「すぐ」&「確か」な結果に人間は動きがち

あとで得られる結果は、目先の結果に負けてしまう

これも、「始めたことが続かない」大きな理由になります。

今度は、ダイエットに挑戦しては挫折を繰り返す、女性会社員のSさんに登場してもらいましょう。

Sさんは、とにかく甘いもの好き。とくにケーキには目がありません。会社でのストレスフルな時間を過ごしたご褒美に、夕食後にケーキを食べるのが最大の楽しみです。でも、ケーキを食べ過ぎたら太るのはわかっています。

実際にケーキのせいで体重は増え続け、スマートな同僚と同じ制服を着ていると、自分の「ぽっちゃり」がどんどん目立つようになって嫌になります。脚が長くてもともとのスタイルは悪くないSさんですから、やせたらかなりイケルという自覚があります。だから、やせたいのです。ケーキを食べるのをやめたいのです。

このときの、Sさんの先行条件(A=Antecedent)は、「やせたい」「かっこ良く制服を着こなしたい」というものです。

行動(B=Behavior)としては、「ケーキを食べる」ではなくて、「ケーキを食べる代わりにノーカロリーのガムを噛む」などにしたいわけです。

では、それらの行動の結果(C=Consequence)はどうなるでしょうか?

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10.ポジティブシンキングはマイナス効果しかもたらさない…「自己効力感」との違いとは?

世の中には、妙に余裕を感じさせる人間が存在します。多くの人がビビってしまうような案件でも、「自分ならできる」と言わんばかりの人たちです。

しかし、よく見ていくと、そうした人の中には2つのタイプがあることがわかります。

  • ただ大風呂敷を広げているだけのタイプ。
  • 本当にやり遂げてしまうタイプ

前者はいわゆる「はったり」で、後者は「自己効力感」の高い人。スポーツ選手も2つのタイプがいて、本番で良い成績を残せるのは、自己効力感の高い人です。

自己効力感を持てれば、気分良く始められる。

気分良く始めれば良い結果につながり、さらに自己効力感を高められる。

このプラスのスパイラルをつくり出せたら、もう怖いものなしです。ぐだぐだ悩むことなく、どんどん新しい挑戦をしていけるようになります。

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TEXT=ゲーテ編集部

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