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2024.08.08

ポジティブシンキングはマイナス効果しかもたらさない…「自己効力感」との違いとは?

英会話、資格の勉強、ダイエット、禁煙など、始めたいのにできない人には共通の傾向があった……! 行動科学マネジメントの第一人者、石田淳さんが誰がやっても成果を出せる実践的メソッドで「始め方」を指南。『始める力』より、一部を抜粋してお届けします。

余裕たっぷりに筋肉を見せつけるビジネスマンの写真

「自己効力感」で作るプラスのスパイラル

世の中には、妙に余裕を感じさせる人間が存在します。多くの人がビビってしまうような案件でも、「自分ならできる」と言わんばかりの人たちです。

しかし、よく見ていくと、そうした人の中には2つのタイプがあることがわかります。

  • ただ大風呂敷を広げているだけのタイプ。
  • 本当にやり遂げてしまうタイプ

前者はいわゆる「はったり」で、後者は「自己効力感」の高い人。スポーツ選手も2つのタイプがいて、本番で良い成績を残せるのは、自己効力感の高い人です。

自己効力感を持てれば、気分良く始められる。

気分良く始めれば良い結果につながり、さらに自己効力感を高められる。

このプラスのスパイラルをつくり出せたら、もう怖いものなしです。ぐだぐだ悩むことなく、どんどん新しい挑戦をしていけるようになります。

「ポジティブシンキング」は逆効果

ただし、自己効力感について勘違いしないでほしいことがあります。それは、「自己効力感というのは、ポジティブシンキングではない」ということです。

一時期、大いにもてはやされたポジティブシンキングは、もはや古くさい過去のもの。今はむしろ、マイナス効果しかもたらさないと判断されています。

無人島でパソコンを広げながらガッツポーズをするビジネスマンの写真

では、あなたが新しいことを始めようというときに、ポジティブシンキングはどうマイナスになるのでしょうか。

私たち人間は、頭の中に流れているよけいな言葉のために、事実とは違った認知をしています。

たとえば、仕事でミスをしてしまったとき。ミスをしたことは事実だし、そのときは上司に叱られるでしょう。でも、そこで、

「私はミスばっかりでダメな人間だ」

「ほかの人は、私みたいにミスなどしないのに……」

「上司は私を嫌いになったに違いない」

などと思い込んでしまうのは妄想であり、事実ではありません。こうしたゆがんだ認知を、心理学の専門用語で「非適応的認知」と呼びます。

一方、物事を事実に即して判断するのが「適応的認知」です。

「私はミスをすることもあるけれど、上手くできることもある」

「上手くやっているように見えて、ほかの人だってミスはするはずだ」

「このことだけで上司に嫌われるというのは大げさだ」

事実は、このようなことだと思いませんか?

大事なのは、こうした事実に即した対応なのですが、そのためには客観性が求められます。

ところが、ポジティブシンキングは、ひたすら前向きに考える試みであり、そこに客観性はありません。自分のキャパシティを無視して無理な目標設定をしては失敗し、心が折れる結果になります。そして、「私はダメだ」とますます認知をゆがめてしまうのです。

ポジティブシンキングを捨てて、適応的認知ができたら、始めるのは簡単です。

「始めてみて、上手くいくこともいかないこともあるだろう」

「やってみてダメだって、それですべてが決まるわけではない」

「途中でやめても、誰もそのことで自分を悪く評価したりしない」

こうした事実を見つめておけば、心配することなどなにもないのですから。

この記事は幻冬舎plusからの転載です。
連載:始める力
石田淳

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