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2024.05.20

「お酒は楽しむもので仕事の愚痴を言うためのガソリンじゃない」長谷部誠が厳守した飲酒ルールとは

2024年3月、現役引退を決断した長谷部誠。2011年に発刊され、ベストセラーになった自著『心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣』の一部を抜粋・再編集してお届けする。第3回。#1#2#4#5#6 ※順次公開予定

見つめる長谷部誠/長谷部誠『心を整える』/抜き出し③

お酒のチカラを利用しない。

ビジネスマンの方には甘いと言われそうだけれど、お酒の席では仕事のことを完全に忘れたいというのが僕の考え方だ。お酒は楽しむもので仕事の愚痴を言うためのガソリンじゃない。心のスイッチをオフにして、リラックスしたいのだ。

サッカー選手にとってアルコールは体力の回復を遅らせるし、ケガの原因にもなりうるので、飲みに行くのは休み期間のときだけ。今で言えば、シーズンが終わった6月と冬休み期間くらいだ。当然、深酒も厳禁。節度を保たなきゃいけない。

僕はお酒の席では完全なオフモードになるので、基本的にメディアの人とは、お酒を飲まないことにしている。もし一緒に食事に行くことになっても、そのときは絶対にアルコールを口にしない。メディアの方と飲むと、もしかしたら情がわいてしまうかもしれないからだ。選手とメディアは互いにプロフェッショナルな関係でいるべきだと思うので、もし情がわいたら、それはメディアを通してニュースを知るサポーターへの裏切りになってしまう(でも、引退したらメディアの方たちとサッカーの話をしながら浴びるまで酒を飲んでみたいとも思っていて、それはそれで楽しみではある)。

ちなみに岡田武史監督も選手の冠婚葬祭などには出ないという。出席してしまったら、情がわいてきてしまうからだそうだ。

器用な選手なら、メディアの人と飲んでも自分のなかでうまく線引きができるだろう。しかし、僕にはそれができそうにない。それに何らかのトラブルが起きることもある。こちらが「暗黙の了解」で書かないだろうと思っていたことを書かれてしまって、もめるということも少なからずある。だから僕はメディアの方がひとりでもいたら、スイッチをオフにしない。相手を信用する、しないではなく、それが自分に課したルールなのだ。

よくお酒が入ると相手の本音が引き出せるとも言うけれど、そういう考え方も好きじゃない。お酒の力を借りないと本音を言い合えないという関係がそもそも嫌だし、そんな状態で出てきた本音に価値を見出せない。

現役を引退したら、お酒に対する考え方が変わるかもしれないけれど、今はお酒は100%楽しむものとして、仕事とは完全に切り離しておきたい。こういう細かな線引きが心を整えるためにも必要だと思う。

TEXT=ゲーテ編集部

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