ニューヨークで活躍する専門医・山田悠史氏が、インターネットやSNS上に流れてくる数々の健康神話の真相を解き明かす、『最新科学が覆す 体にいいのはどっち?』(サンクチュアリ出版)の抜粋記事をまとめてお届け! ※2026年1月掲載記事を再編。

1.「野菜はオーガニックがいい」は本当? ウソ?

・汚染や天然毒はどの野菜にもある。
・オーガニック野菜のほうが天然の毒素が多くなる可能性も。
・洗う・調理をすることで、農薬が体に入る量は減らせる。
オーガニック=健康にもよい、は常識だと怒られてしまいそうですが、実際には、そんなに明らかな事実ではありません。よく考えてみれば、野菜の栽培に農薬を使っていなくても、自然の風や水にさらされるため、環境汚染が起こり続けている限り、オーガニック野菜にも汚染が起こります。実際、農法にかかわらず同等に汚染はあると指摘されています。
また、健康への影響を考えるなら、食物自体が生み出す天然の毒素も考慮すべきかもしれません。オーガニック野菜は品種改良が続けられており、むしろオーガニック野菜でこそ虫に食べられず生存競争に勝ち抜くため、天然の毒素の合成量が多くなると示唆する研究もあります。
2.グルテンフリーの食事にメリットなし。ニューヨークの専門医、科学的根拠なき神話に警鐘を鳴らす

・グルテンフリーは病気の人向けの治療食。
・健康な人がやるメリットはない。
・グルテンフリーでかえって高カロリーや栄養不足になることも。
スーパーやレストランで、「グルテンフリー」という言葉をよく見かけるようになりました。「体によさそう」というイメージがあるかもしれませんが、本当にそうなのでしょうか。
これまでの研究が示すのは、健康な人がグルテンフリーの食事をしてもメリットはないというのが、はっきりとした結論です。グルテンフリー食は、セリアック病や小麦アレルギーなど、ごく一部の、グルテンに病的な反応を示してしまう病気と診断された方のための、専門的な「治療食」なのです。
3.GABA、ウコン、プリン体ゼロ。実は“意味ナシ”なのはどれ?

GABA含有商品は睡眠の質を高める?
・口から摂って脳に届くか不明。
・睡眠の質が改善するという信頼できる結果はない。
・ 研究データの多くがGABA含有商品を製造している企業によるもの。
日本に帰国した際に宿泊した、とあるビジネスホテルの冷蔵庫に、GABA(ギャバ)入りのチョコレートが入っていました。そこには「睡眠の質を高める」と謳われており、夜に食べるように書かれていました。これは本当に科学に下支えされた宣伝なのでしょうか。
現在ある証拠に基づけば、「GABA含有食品が、睡眠に対して有効であるという根拠は十分に確立されていない」と言えます。これには、主に3つの理由があります。
ひとつ目は、「そもそも脳に届いているか、はっきりしない」という点です。口から摂取したGABAが、脳で働くために「血液脳関門」というバリアを通過して十分効果を発揮できるかどうかは、専門家の間でも意見が分かれており、まだ証明されていません。
4.「20分以上運動しないと脂肪は燃えない」という健康神話はなぜ広がったのか?

・運動直後から脂肪も燃えることが分かっている。
・時間とともに脂肪燃焼の比率が増えていく。
・10分×複数でも効果は積み上がる。
ダイエットのために運動するなら、最低でも20分は続けないと意味がない。この「20分ルール」、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか? 実はこれ、必ずしも正しい知見ではありません。
うれしいことに、私たちの体の脂肪は、運動を始めたその瞬間から、すぐにエネルギーとして燃焼し始めてくれているのです。ですから、「20分経たないと脂肪は燃焼しない」というのは、実は誤解です。
5.ゴールデンタイムは嘘、靴下履いて寝てもいい? ニューヨークの専門医が教える「睡眠」の最新研究3選

・重要なのは就寝時刻より「最初の数時間の眠りの深さ」。
・体内時計は個人差あり。固定時間は万人向けでない。
・0時以降の睡眠は、心臓病などのリスク増のデータあり。
「夜の10時から2時は睡眠のゴールデンタイム。美容や健康に関心のある方なら、一度はこんな話を聞いたことがあるかもしれません。しかし、現在のところ「夜10時〜2時という特定の時間帯が、特別に重要」という考え方には、十分な科学的証拠はありません。
「成長ホルモンの分泌」がその理由だったようですが、成長ホルモンの分泌にとって本当に大切なのは、「何時に寝るか」ということよりも、「寝入ってから最初の数時間の眠りの深さ」だと考えられています。夜8時に寝ても、10時に寝ても、最初の深い眠りのサイクルで、成長ホルモンは最も多く分泌されるのです。

