「メシが食える大人」=自立した人間、「モテる人」=魅力的な人を育てることをミッションに掲げ、「花まる学習会」を設立し、近年は家庭教育にも注力しているカリスマ教育者の高濱正伸氏。子育てに戸惑う父たちに向け、参加者も運営スタッフも全員“男”で開催した特別講義の記事をまとめてお届け! ※2026年1月掲載記事を再編。

1.子育てに戸惑う父親へ。花まる学習会・高濱正伸、我が子が“メシが食える大人”になるためにすべきこと

先日、AIの第一人者が主催した会合に参加したのですが、衝撃的なことがありました。参加者の多くは一流企業の経営陣でしたが、うちひとりが、「AIと対話する1時間は、とても刺激的で、勉強になる。経営に関するアドバイスなど、会社としてもプラスになることが多かったので、コンサルティング会社の契約を打ち切った」と言ったのです。大学生の希望就職先の上位になっている花形職業は、すでにAIにとって代わられつつある。AIの進歩、力は、我々の予想をはるかに超えていると実感しました。
建築家の友人も、同じようなことを言っていました。ChatGPTに指示すれば、リクエストした通りの設計図やデザインが、構造力学まで踏まえて、瞬時に上がってくるのだとか。AIの台頭で、いろいろな職業が消滅すると言われていますが、その未来はすぐそこまで来ているんですね。
そんな時代でも、我が子を“メシが食える大人“にするにはどうしたらいいか。それは、基礎学力の上に自分なりの強みを持っている人間に育てることに尽きます。その強みとは、「思考力」、「べき力」、そして、「ハカセ力」。「思考力」とは、自分の感性や気づきに注目し、考え抜く力ですが、これはAIにはできません。「べき力」とは、やるべきことをやる力。フォロワー的な仕事にはなりますが、決められていることを当たり前にできることは、どんな時代でも必要とされます。
最後の「ハカセ力」は、関心のあること、好きなことにひたすら突き進む、探求する力を指します。専門性やオタク力と、言い換えても良いでしょう。最たるケースが、大谷翔平選手。彼がこれほどの選手になったのは、才能ももちろんあったと思いますが、それ以上に野球が好きでたまらなかったから。どうしたらもっとうまくなれるか、メジャーで活躍できるかを、高校生の頃から生活習慣を含めて考えて、考えて、それを実行してきた結果、今があるのだと思います。何かを突き詰める力を持っている人は、どんな時代でも強いのです。
2.花まる学習会・高濱正伸、父親の「本気の叱り」は効果絶大。厳しく、短く、後を引かず!

講演会で保護者から多く寄せられるのが、「子どもが、まったく言うことを聞きません」「やたらと反発して困っています」といった悩み。ほとんどが、小学5、6年生から高校生くらいまで、いわゆる思春期に突入した子どもたちです。
「またゲームなんかして! 宿題終わったの⁉」「はぁ⁉ うるせぇなぁ」「親に向かってその態度は何⁉ アンタがちゃんとやらないから言っているんでしょ!」。そんなお母さんと子どものやりとり、みなさんも目撃したことがあるのではないでしょうか。
このやりとりで間違っているのは、お母さんの方。「宿題終わったの?」という言葉は、幼児に対して使うもの。自我が芽生えてきた思春期の子どもに、そんなことを言っても聞き入れるわけはありません。幼児期と思春期では、親は子どもに対する接し方を完全に変えなくてはならないのです。
4歳から9歳くらいまでの子どもにとって親は絶対的な存在。とりわけお母さんは世界で一番大事な人であり、外でどんなに嫌なことがあっても、家に帰ってお母さんにくっつけば大丈夫といった状態で生きています。ママがニコニコしていれば自分も嬉しいし、ママが悲しいと自分も悲しい。みなさんも思い当たる節があるのではないでしょうか。
3.反発、親を毛嫌い…思春期の子どもに「父親」が絶対にすべきこと

思春期の子どもとの接し方に悩むお母さん、お父さんは非常に多いですね。この時期は、身体ももちろん変わりますし、好きなものや考え方、周りの環境、つきあう友達も変わります。そうなると、幼児期には絶対的な存在だった親が「たいしたことないな」と思えてくるわけです。それなのに、幼児に対するのと同じような接し方をしていたら、子どもがウザがるのも当然。幼児期が芋虫なら、思春期は蝶となって飛び立つ時期。親は、子どもに「葉っぱを食べなさい!」と指示するのではなく、子どもが独り立ちできるよう、飛び方や敵から身を守る方法を教えなくてはならないのです。
ところが、この切り替えができない親御さんは意外と多い。とくに、お母さんと息子の関係は要注意。お子さんが引きこもっているという相談もよく受けますが、子どもが思春期になっても、お母さんが手取り足取りベッタリで、過保護、過干渉というケースが多く見受けられます。45歳の息子を連れたお母さんが、「この子、私が起こさないとダメなんです」と言っていたりして。それは、息子が中学に入った時点で辞めるべきことなのに。
そこで、お父さんの出番です。子どもに対して、つい口を出したり、手を出したりする妻に対して、「君が主導する時期は終わっている」と、全力で止めてください。妻がすんなり聞いてくれる保証はありませんが、多少夫婦間でバトルがあったとしても、将来悲惨なことになるより、ずっと良いと思います。
4.「妻が怖い」。あんなにかわいかった妻が怖くなる理由と夫がすべきこと

薄々感じていると思いますが、子どもにとって一番大きな存在はお母さん。家族の中心は間違いなくお母さんであり、お母さんが笑顔でご機嫌なら家庭は円満ですし、子どもは健全に育ち、学力も伸びます。これは、世界的な大学の研究結果でも明らかになっています。
ところが、父親講演会を開くと、ダントツで多いのが、「妻がいつもイライラしていて怖い」「子どもを怒ってばかりいる」といった声。なぜ、こんなにも妻は苛立ちを抱え、声を荒げるのか。それは、現代のお母さんは孤独の中で子育てをしているから。夫はまず、そのことを理解すべきです。
40年くらい前までは、子育ては地域社会で担ってきました。井戸端で女性たちが集まって、赤ちゃんが泣いたら隣のおばあちゃんがあやしてくれたり、新米お母さんが子どものことで悩んでいたら、先輩お母さんが、「わかるよ、私もそうだったから。大丈夫、あなたはいいお母さんだよ」と声をかけてくれたり。自分を理解し、支えてくれる人がいたから、“夫不在”でも、妻たちは心穏やかにいられたのです。
しかし、今はそんな時代ではありません。核家族が当たり前となり、隣近所との交流は薄れ、子育ては、家庭ごとに行うものになってしまいました。頼れる人が誰もいない状況では、妻がイライラし、不機嫌になるのは当然のこと。それを、「最近イライラしていて怖いな。近寄らないようにしよう」などとスルーしたり、「怒ってばかりいないで、子どもにやさしくした方がいい」など意見したりしては、妻は怒り心頭、家庭崩壊につながりかねません。
5.「理論的な正しさは封印」「必要なのは可愛げ」何をやっても妻に怒られる…パパの「妻対策」の正解とは

イクメンという言葉が普及して久しいですが、この言葉に苦しめられているお父さんは少なくない気がします。家事や育児への参加を意識するあまり、プレッシャーを感じたり、自責の念に駆られたりといったお父さんは、けっこう見受けられます。
そもそも夫がイクメンを自称していても、妻が満足しているとは限りません。それどころか、「週末になると張り切って料理をするけれど、調味料を戻す位置が間違っている」「掃除のしかたが中途半端」など、愚痴をこぼす妻のなんと多いことか。その上、夫に“やっている感”を出されては、妻がイラつくのも理解できるというもの。夫婦の価値観のズレが、悲劇を招いているのです。
夫にとって妻は宇宙人、まったく違う価値観で生きている存在です。良かれと思ってやったことで妻に怒られたり、意見を求められたから答えたのに、「全然わかっていない!」とキレられたり。いったいどうすればいいのか、私自身、何度となく途方に暮れました。
そこで、師匠と仰ぐ先輩お母さんに教わったのは、「わからないなら聞けばいい」ということ。「調味料はどこに片づければいい?」「掃除はいつもどんな風にやっているか教えて」「子どものことを一緒に考えたいんだけど、どうすればいい?」などと、聞いてしまうのが正解だそうです。

