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2024.01.31

“子供が可哀想”は的外れ。河村真木子「シングルマザーだからこそ、信念にそった子育てができる」

外資系金融機関でキャリアを磨き、現在は国内外でメンバー1万人超え、“最先端の情報が集まる”と人気のオンラインサロンを主宰する河村真木子さん。短期連載2回目は、シングルで子供を育てる上での心づもりと、子育てで親が優先すべきことについて語ってもらった。【その他の記事はコチラ】

離婚したことで子育てをめぐるバトルを回避できた

離婚の増加に伴い、ひとり親世帯も増えている。「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」によると、母子世帯は119万5千世帯、父子世帯は14万9千世帯(子供は20歳未満で未婚)。児童のいる世帯は1073 万7千世帯なので、シングルマザーやシングルファーザーが、10世帯に1世帯以上いることになる。

河村さん自身も、娘が3歳になる前に離婚、シングルマザーになった。今から15年近く前、今ほどひとり親世帯が多くなかった頃だ。親族や勤め先、友人・知人など、あらゆる方面から「片親だと子供がかわいそう」「子供には父親が必要」と言われてきたという。

でも河村さん自身は「私は一度もそう思ったことはありません。むしろシングルマザーだったおかげで、自分が信じる子育てを貫けて良かったと思っている」とキッパリ。

「これからの時代、英語力は絶対に必要だと考え、娘を小学校からインターナショナルスクールに入れましたが、娘の父親はインターナショナルスクール懐疑派だったから、あのまま結婚生活を続けていたら、ものすごいバトルが起こっていたでしょうね。たぶん、私が押し切ったでしょうけど(笑)」

夫婦といえども、子育ての方針が一致するとは限らない。むしろ、子供をめぐって、互いの違いに気づくケースの方が多いのではないだろうか。シングルということは、パートナーのために自分の信念を曲げたり、妥協したりすることなく、子育てを実践できるということにもなる。

「そもそも私は、子供を育てるのは親だけでなくてもいいと思っているんです。娘は、私の母や妹、お手伝いさん、家庭教師、そして、その時々の私のパートナーと、いろんな大人たちに見守られ、さまざまな価値観に触れてきたし、体験ができたと思います。『たくさんの人に愛され、いろんなリソースを持っていて、すごく恵まれているな』って、うらやましくなるくらい」

一生懸命働くことで、子供に罪悪感を抱く必要はない

シングルになったことで、河村さんは以前にも増して仕事に邁進。外資系金融機関という、「結果を出さなければ即クビ」という過酷な職場ゆえ、娘と過ごす時間はおのずと限られる。学校の行事に顔を出すのは年1、2回程度、ママ友とのつきあいもほぼできなかった。

娘が小学校の頃、「もっと他のママたちと仲良くしてほしい」と言われたことがあるそうだが、その際の河村さんがとった行動は、「私は忙しくて時間がないからムリ」と、はっきり告げることだった。

「可能性が限りなく低いのだから、『時間ができたら』とか『そうなれるように頑張るね』と、気休めを言っても仕方がないと思ったんです。子供を傷つけないようにと、その場をとりつくろうより、正直に接するのが一番。こうしたことに限らず、嘘はたいていの場合、後でバレますから」

それと同時に、よく娘に言っていたのが、「ママが一生懸命働いているから、この暮らしができる」という言葉だ。

「そんな言葉を子供に言うなんて、冷たいとか不謹慎と思われるかもしれません。でも、子供にたっぷり愛情を注いでいる自信があるのなら、必要以上に罪悪感を抱くこともないと思います。

ちなみに私は、お金を稼ぐことの大切さや投資の話なども、娘が幼い頃からしょっちゅう聞かせていました。日本は、お金の話を子供にするのはタブーという風潮がありますが、海外、とくに富裕層は日常的に家庭でお金や投資の話をします。金融リテラシーは、大人になって急に学ぶものではなく、子供の頃から自然に身につけるものという考えがあるんです」

実際、河村さんは、娘が小学校3年生くらいから、毎月まとまった額のお小遣いを渡し、その中で教科書代に交通費、自分の服まで、すべて賄うようにさせていたそうだ。しかも、足りなくなっても、前借りは絶対にさせずに、だ。

「そうすると、子供なりにいろいろ考え、やりくりするようになるんです。自然と、お金に対する意識や金銭感覚が磨かれたと思います」

”その時期だけ“にしかできないことを全力でする

河村さんのユニークな子育て方針は、お金だけに留まらない。軸にしたのは、「親がやるべきは、幼少期や成長期など、“その時”を逃したら取り返しがつかないことを全力ですること」。具体的には、語学と水泳、食育、身長を伸ばすことなどだ。

「英語耳を育てるのは幼少期がベストと言われていますし、水泳も大人になってからだとマスターしづらいそうです。添加物などはなるべく避け、体に良いものを摂るようにさせてきたのは、体を作る大事な時期というのもありますし、子供の頃の食習慣は大人になっても中々変わらないから。私自身そうした食生活で育ってきていますしね」

一方で、大人になってからでも挽回できる「勉強」や「マナー」、「お片付け」といったことは、「かなり手薄だった」と、明かす。

「あっちもこっちもとなると、親も子供も大変。だから、自分の軸を決め、それ以外はあまり気にせず、おおらかに子育てすればよいのではないでしょうか。もっとも、自分の子育てが正解だったかどうかはわかりません。その判断ができるのは、娘が30歳くらいになってから、いえ、もっと先かもしれませんね」

河村真木子/Makiko Kawamura
1976年奈良県生まれ。父の転勤に伴い、10歳~15歳をシンガポールで過ごし、'92年に帰国。大阪府の公立高校に入学したものの、'94年、単身でアメリカに渡り、ロサンゼルスのLe Lycee Francaise de Los Angels高校に編入。'96年同校卒業後、関西学院大学に入学するも自主退学し、再び渡米。コミュニティカレッジを経てUCバークレーに編入し、2000年に卒業。外資金融機関などでキャリアを積んだ後、2021年、オンライン事業Holland Village Private Communityを設立。著書に『超フレキシブル人生論 ”当たり前“を手放せば人生はもっと豊かになる』。現在は、会員制Holland Village Private Caféの運営も手がける。

TEXT=村上早苗

PHOTOGRAPH=鮫島亜希子

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