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2026.01.05

「妻が怖い」。あんなにかわいかった妻が怖くなる理由と夫がすべきこと【花まる学習会・高濱正伸】

高濱正伸氏いわく、父親向け講演会で多く寄せられるのが「妻が子どもを怒ってばかりで怖い」という声。あんなにかわいかった妻が怖くなってしまった理由、そして、夫がとるべき正しい対策をレクチャーする。 【その他の記事はこちら】

「妻が怖い」が父親の本音NO.1。“今でも手を繋いでいる”はなまる学習会・高濱正伸がアドバイス

妻が怖いのは、孤独だから

薄々感じていると思いますが、子どもにとって一番大きな存在はお母さん。家族の中心は間違いなくお母さんであり、お母さんが笑顔でご機嫌なら家庭は円満ですし、子どもは健全に育ち、学力も伸びます。これは、世界的な大学の研究結果でも明らかになっています。

ところが、父親講演会を開くと、ダントツで多いのが、「妻がいつもイライラしていて怖い」「子どもを怒ってばかりいる」といった声。なぜ、こんなにも妻は苛立ちを抱え、声を荒げるのか。それは、現代のお母さんは孤独の中で子育てをしているから。夫はまず、そのことを理解すべきです。

40年くらい前までは、子育ては地域社会で担ってきました。井戸端で女性たちが集まって、赤ちゃんが泣いたら隣のおばあちゃんがあやしてくれたり、新米お母さんが子どものことで悩んでいたら、先輩お母さんが、「わかるよ、私もそうだったから。大丈夫、あなたはいいお母さんだよ」と声をかけてくれたり。自分を理解し、支えてくれる人がいたから、“夫不在”でも、妻たちは心穏やかにいられたのです。

しかし、今はそんな時代ではありません。核家族が当たり前となり、隣近所との交流は薄れ、子育ては、家庭ごとに行うものになってしまいました。頼れる人が誰もいない状況では、妻がイライラし、不機嫌になるのは当然のこと。それを、「最近イライラしていて怖いな。近寄らないようにしよう」などとスルーしたり、「怒ってばかりいないで、子どもにやさしくした方がいい」など意見したりしては、妻は怒り心頭、家庭崩壊につながりかねません。

だから夫は、妻を孤独にさせてはいけないのです。友達と遊びに行くのでも、習い事に通うのでも、働きに出るのでもいい。子育ての愚痴を聞いてくれたり、励ましたり、共感してくれる仲間をつくる後押しをしてください。

間違っても、「他人任せにせず、自分が妻に共感し、サポートする」などと、意気込んではいけません。それはおおいなる幻想。なぜなら、お母さんが子どもを想う気持ちは、お父さんのそれとはまったく違います。お父さんは、目の前の現実だけを見ていますが、お母さんは、強烈なイマジネーションで子どものことを考え、思いやっているのです。

たとえば、妻から「今日は寒いからセーターを」と言われ、子どもにセーターを着させたとしましょう。それなのに妻が、「なんでそれにしたの⁉ そんなに薄いセーターだと風邪をひくじゃない!」と怒られる…といった具合です。

なぜ、妻は怒るのか。それは、「薄着→風邪どころかインフルエンザにかかるかも→高熱が出て子どもが苦しむ」と、先の先まで想像し、心配してしまうから。そもそも脳の構造が違うのですから、受け入れるしかありません。自分で何とかしようなどと悪あがきせず、妻が孤独を解消できる場に快く送り出すことが、夫ができる最善の策なのです。

何をするとご機嫌になるのか、妻の自由研究を

妻の孤独解消を後押しすると共に、世のお父さんたちに心がけていただきたいのが、妻を笑顔にするための努力。イチオシは「妻の自由研究」。“妻の笑顔”を目標に据え、妻は何をしている時が一番嬉しそうか、何をしてあげると喜んでくれるのかを、つぶさに観察し、記録するのです。その効果は、長年実践し、60代になった今なお、妻と手をつないで出かけられるほど良好な夫婦関係を維持している私が保証します(笑)。

「妻の好きなものは把握している」と、豪語する方がいらっしゃるかもしれませんが、それ、アップデートされていますか? 大恋愛で結ばれたふたりでも、結婚して数年も経てば、恋愛感情が冷めるのは、科学的に証明されています。ましてや子どもが生まれれば、お互いに、好きなものも、考え方も、関心事も変わるのは当然のこと。そんなふたりが一緒に生きていくには、相手を学び直す必要があると思いませんか?

「妻は今、韓流スターにハマっている」「大谷翔平選手が活躍すると嬉しそうだ」「話題のスイーツを買って帰ったら、驚くほど喜んでくれた」。どんなことでも構わないので、妻が笑顔になる瞬間を見逃さず、メモをとる。あなたが、韓流スターや大谷くんに何の興味も持てなくても、「妻は好きなんだな」と受け入れ、「ママが好きな韓国の俳優さん、今度来日するんだってね」などと、話題にしてみる。それだけで、いつも怖い顔をしている妻の顔がほころぶだろうと思います。

ちなみにウチの場合、高価なバッグをプレゼントした時は、妻は「わざとらしい」と言って喜んでくれなかったのですが、彼女の好物のあんみつを、仕事先で通りがかった店で買って帰ったら、目がキラキラと輝いたんですね。その日のノートには、「あんみつをお土産にすると喜ぶ」と書き留めました。

かといって、連日あんみつを買って帰ればいいというものではありません。研究ですから、妻はあんみつが好きだから喜んだのか、別の理由が潜んでいるのか、検証するのが不可欠です。私が導き出した答えは、「私が、仕事中に妻があんみつを好きだと思い出し、買ってきたから喜んだ」、つまり、「常に妻を気にかけている」という気持ちが伝わったのが勝因だということ。

念のため、私が頼りにしているスーパーお母さんに確かめたところ、世の妻の大半は、「いつも自分のことを考えてくれる夫」に悪い気はしないのだとか。妻の好みは千差万別ですが、これだけは共通しているようなので、みなさんもお試しを!

「明日も妻が幸せでいられますように」と祈る

中には、「家族のために一生懸命働いているのに、なぜ妻の機嫌を取らないといけないんだ」と、反論する人もいるでしょう。仕事で勝ち組になっているような、いわゆるエリートはその傾向が強い気がします。けれど、何度でも言いますが、子どもを“メシが食える大人”にするには、家族の中心たる母の笑顔が不可欠。子どものためにも、夫は妻を幸せにすることに尽力した方がいい。

いっそのこと、「家庭は職場、妻を笑顔にすることはミッション」と考えてしまいましょう。妻の自由研究を仕事と捉えれば、抵抗感は薄らぐのではないでしょうか。最初は気が進まなくても、自由研究を重ねるうちに妻を笑顔にするポイントが掴めてくると、けっこう嬉しいもの。

ちなみに私は、毎日お風呂に入りながら、「明日も妻が幸せでありますように」と、念仏のように唱えています。毎日、毎日、自分に言い聞かせていると、本当にそう思えてくるんですよね。いわば、刷り込み。そのうち、妻の顔が少し曇っただけでも気づくようになり、「大丈夫?」「何かあった?」と、声をかけられるようになります。

夫の成績表は、妻が笑顔でいるかどうか。妻を笑顔にするためなら、何でもする。何でもできるという覚悟を持つことが、子どもの明るい未来につながるのです。

【その他の記事はこちら】

高濱 正伸/Masanobu Takahama
1959年熊本県人吉市生まれ。県立熊本高校卒業後、東京大学へ入学。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。1993年「花まる学習会」を設立、会員数は23年目で20,000人を超す。花まる学習会代表、NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長。算数オリンピック作問委員。環太平洋大学(IPU)客員教授。武蔵野美術大学客員教授。日本棋院顧問。ニュース共有サービス「NewsPicks」のプロピッカー。「メシが食える大人」「モテる大人」を教育理念に、子どもの非認知能力育成を実践。近年は家庭教育や父親教育にも注力し、講演は年間300回を超える。著書多数。

TEXT=村上早苗

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