PERSON

2026.05.01

88歳・横尾忠則、元気で長生きする秘訣「飽きっぽくて、いい加減」【和田秀樹分析まとめ】

美術と医学、別世界で壁を壊し続ける、横尾忠則氏と和田秀樹氏の対談記事をまとめてお届け! ※2025年6月掲載記事を再編。

和田秀樹×横尾忠則【まとめ】

1.飽きっぽさが長生きの秘訣!? 88歳・横尾忠則の前頭葉を精神科医・和田秀樹が分析①

和田秀樹氏と横尾忠則氏

和田 いやあ、すごいなあ。どの絵も素晴らしいですね。

横尾 グッチ銀座 ギャラリーで個展を開くので今はそれを描いてます。それ以外の絵は、今度、世田谷美術館でやる大きな展覧会のものです。

和田 横尾さんは僕が小さい頃からすごい芸術家でしたからね。サイケというかポップというか原色を使った奇抜なグラフィックの印象が強いんですが、今はこういう画風なんですね。

横尾 小さい頃って和田先生、今、おいくつですか。

和田 64です。中学生ぐらいの時に『平凡パンチ』とかを見て、すごい芸術家だなあと。

横尾 中学からそんな週刊誌。先生はおませだったんですね(笑)。僕の時代は文化らしい文化がほとんどなかったから。

和田 それでもずっと美術の世界を突っ走り、今も生き生きと描き続けてるのだからすごい。

横尾 いやいや、生き生きなんて、全然(笑)。

和田 医者の僕が言うのもなんですが。結局ね、医者の言うとおりにやっても元気に長生きできるわけじゃないんですよ。

横尾 そんなこと言っていいんですか。お医者さんが(笑)。

和田 医者の言うことなんか聞くより、元気で長生きしている本人の話を聞くほうがよっぽどためになる。だから僕はこうして話を聞くんです。

【続きはこちら】

2.「考え過ぎることは創造的にいい影響を与えない。だから、意味性も結果も考えない」88歳・横尾忠則、元気の素を科学的に解明

横尾忠則×和田秀樹、対談

和田 対談1回目で「飽きっぽい」という話をしました。じつは今ある本の解説文を書いているのですが、偶然それが横尾さんの今のお話にも通じていて。

横尾 どんなお話ですか?

和田 スウェーデンの精神科医アンデシュ・ハンセンという人の本なんですけど。彼は自分がADHD(多動症)だと告白していて「多動症の人が世の中を進歩させてきた」みたいなことを言っているんです。

横尾 面白いですね。どうやって進化させたんですか?

和田 横尾さん、聞き上手(笑)。人類の祖先は森からサバンナに降り、そこから世界に広まりました。そのなかには、同じ場所にいるのを好む人と、新しい場所を求めて動く人がいたらしい。で、移動する遺伝子を多く残す人が多動なんだそうです。多動の人は常にドーパミンが足りないので、それを求めて動き続けた。それが天才性にもつながったらしいんですよ。

横尾 なるほどね。僕は天才とは思わないけど、多動なのかなと思います(笑)。

和田 ジャングルでじっとしているやつは置いてきぼりになるし、飯も食えなかった。多動のほうが有利だったんです。ところが2万年ぐらい前に農耕が始まると、同じ場所にいるほうが有利になった。そして200年ぐらい前に学校が始まると、多動な人を邪険に扱うようになった。そんなことが書かれた本です。

横尾 なるほど。だけど僕は、考えを固定化することには恐れを感じますね。常に動いてないと安定しない、落ち着かない。

和田 だから横尾さんはクリエイティブなんですよ。

【続きはこちら】

3.「AIには無邪気さがない。だからダメだな」

和田秀樹×横尾忠則、対談

和田 最近ちょっと思うところがありまして。AIを意識するようになったんですね。

横尾 人工知能。

和田 はい。人工知能はどんどん学習して発展していくから、すでに人間と同じぐらい賢いらしい。だから文章を書かせたりすると、普通に文章を書いている限りにおいては、人工知能のほうが良いものを書いたりする。ところが人工知能が絶対に人間に勝てない部分もある。それは、閃きとか感性とか、頭で考えずにそのまま動くとかです。

横尾 そうでしょうね。

和田 対談の1回目で「コンセプチュアル・アート」の話が出ましたが、頭で考えたものを絵にするんであれば、人工知能が真似できちゃうと思うんです。

横尾 うん。真似できるし、たぶん、人工知能にコンセプチュアル・アートを乗っ取られると思うんですよ。

和田 おっしゃる通りです。

横尾 そうしたときに、今のコンセプチュアル・アーティストはいったいどうするんだって。考え方と概念を詰め込んだ人は、それを外して無知な状態には、簡単に戻れないと思うんです。

和田 医者もね、検査データや画像データを見て、それに対して診断をつけて薬を出すだけなら、人工知能に取って替わられますよ。

横尾 年齢とか職業とか関係なく、同じに診てたらね。

和田 今の医療はそうですからね。血圧の高い人が100人いたら全員に同じ治療をするわけですから。

横尾 だけどそれじゃあね。

和田 はい。僕が医者を長い間やってきてよかったと思うのは、数値や知識じゃ計り知れない仕事だからですよ。僕は精神科医ですが「こんなことを言ってあげたら少し元気になるんじゃないか」とか「楽になるんじゃないか」みたいなことを閃くことがある。そういう長年の経験や勘みたいなもので結構良くなってくださるんですよ。そういうのって、たぶん人工知能にはできない。

【続きはこちら】

4.「僕はすごいちゃらんぽらんで、いい加減」88歳横尾忠則、元気の秘訣

和田秀樹×横尾忠則、対談

和田 何かの記事で横尾さんが「生きることは遊び」とおっしゃっていて、その通りだと思いましてね。

横尾 もうね、僕は性格的にすごいちゃらんぽらんで、いい加減ですよ。ものすごくいい加減な生き方をしていると思います。

和田 いやあ、それがいいんです。だって、くそ真面目な人は鬱にもなりやすいですからね。横尾さん的には仕事も遊びになってる感じですか。それとも、いろいろと楽しめることがある感じですか?

横尾 趣味的なものはないです。例えばゴルフをやるとか、そういう「遊びのための遊び」は、ぜんぜんない。ただ、絵を描いたりね。日常生活の中でいい加減にやってることが、遊びに近いんじゃないかと思いますね。

和田 なるほど。

横尾 みんなね、遊びっていうと、カラオケが遊びだとか、麻雀が遊びとか、ゴルフが遊びというふうな考え方をしてるけれど。僕はそんな「遊びのための遊び」をわざわざしようとは思わない。日常のごく普通のことが遊びになる。歩くだけでも遊ぼうと思えば遊べるわけですよ。そこがね、あんまりみんなわかってないのかな。

和田 「遊びはこういうものだ」と枠にはめようとしますよね。

横尾 遊びっていうのは、それ自体、目的を持ってないでしょ。結果を考えませんよね。損するか得するか、それも考えない。遊びに目的を持っちゃった瞬間から遊びがなくなっちゃうから。

和田 仕事はどういうふうにお考えですか?

横尾 えっ、仕事……(笑)。あのねえ、まず僕は、経済生活の何の役にも立っていませんよね。でもまあ、とにかく絵を描くしかない。描くしかないけれども、その絵を描くことにも、とっくの昔から飽きてるわけですよ。もう10代で飽き20代で飽き、30代でずうっと飽き続けて、まだやっているわけですね。

和田 (笑)。

【続きはこちら】

5.「薬は病気には効果があるけど、健康な部分を不健康にもさせます」

和田秀樹×横尾忠則、対談

和田 僕は医者もある種の「直感」は必要だと思っていて。「生きるパワー」とか「気」みたいなものを実際、僕も感じるんです。だけどほとんどの場合、薬がそれを落としてしまう。

横尾 薬っていうのは、その病気には効果があるけども、そうじゃない健康な部分を不健康にさせますからね。

和田 癌の治療薬などはいい例です。癌細胞だけ殺してくれたらいいんだけど、周りの細胞まで殺してしまう。

横尾 一緒に殺しちゃう。

和田 はい。痛みや熱というのも、体が戦ってくれている証なんです。薬で抑えると、かえって戦う力を奪ってしまう。

横尾 僕、今、首がすごく痛いんですよ。もう1ヵ月以上続いていて。で、夕べ、痛いところを指で押さえてたら、その痛みが逃げるんですよ。他の場所へ逃げて行く。だから追っかけてまた押さえる。そしたらまた逃げる。追って押さえる。ひと晩それをやってたら不眠症になっちゃって。今日は先生と対談しなきゃいけないってのにね(笑)。

これ、僕の中に「痛み」っていう生命体がいるのかなと。

和田 (笑)。

横尾 他の病院にも行ってみたんですよ。そしたら「偽痛風」だと。偽の痛風ね。だから僕、聞いてみたんです。「本物の痛風と偽の痛風は、どう違うんですか」と。そしたら「それは知りません」と(笑)。体の細胞も嘘をつくんですね。

和田 「痛みを感じる」というのは感性なんです。だから、他のことに集中するとパッと消えることもある。消えるわけじゃなく、忘れてしまうんですね。

【続きはこちら】

6.「朝、血糖値が300を超えたときだけ薬を飲む」「気が多く、飽き性で、人任せ」元気に長生きする秘訣

和田秀樹と横尾忠則の対談

和田 やっぱり横尾さんの生き方は、とても素敵です。

横尾 生き方が素敵かどうかはわからない(笑)。とにかく気が多いのと、すぐ飽きちゃうっていう性格。それから人任せが多いですね。

和田 人に任せられるのはいいですね。

横尾 アシスタントとか編集の人に任せちゃうんです。エッセイを書いていても、難しい言葉が浮かばないから「この部分、難しい言葉で入れて」と(笑)。

和田 素晴らしい(笑)。

横尾 そしたら編集者が適当に入れてくれる。それを見て「ちょっと違うんじゃないの」と言って、また他の言葉を考えてもらうんですよ。学校ではそれはいけないと教わった気がするけれども。それでいいんですよ。

和田 そう思います。それと、お話ししていて思いましたが、横尾さんは声もいいですね。

横尾 あ、そうですか。

和田 ええ。声の張りのある人は長生きするんです。声は鍛えているんですか?

横尾 ぜんぜんやってない。不健康なことしかやってません。

和田 勝手な想像ですけど、絵を描いて、脳がしっかりしてるから声も出る。元気で長生きするには、体を鍛えるより頭を鍛えたほうがいい。僕はそう思っています。鍛えると言っても、脳トレのドリルとかではなく、クリエイティブな活動がいいんです。それは対談の2回目で、横尾さんご自身もおっしゃってたことですけど。

【続きはこちら】

TEXT=ゲーテ編集部

PICK UP

STORY 連載

MAGAZINE 最新号

2026年6月号

会員制への誘い

最新号を見る

定期購読はこちら

バックナンバー一覧

MAGAZINE 最新号

2026年6月号

会員制への誘い

仕事に遊びに一切妥協できない男たちが、人生を謳歌するためのライフスタイル誌『ゲーテ6月号』が2026年4月24日に発売となる。総力特集「会員制への誘い」では、最新の会員制クラブをご紹介。ファッション特集「Tied-Up or No-Tie?」では、Vゾーンに着目したお洒落の流儀をお届けする。表紙はKis-My-Ft2・玉森裕太。

最新号を購入する

電子版も発売中!

バックナンバー一覧

GOETHE LOUNGE ゲーテラウンジ

忙しい日々の中で、心を満たす特別な体験を。GOETHE LOUNGEは、上質な時間を求めるあなたのための登録無料の会員制サービス。限定イベント、優待特典、そして選りすぐりの情報を通じて、GOETHEだからこそできる特別なひとときをお届けします。

詳しくみる