HEALTH

2026.01.28

グルテンフリーの食事にメリットなし。ニューヨークの専門医、科学的根拠なき神話に警鐘を鳴らす

インターネットやSNS上に流れてくる健康神話の数々。ニューヨークで活躍する専門医・山田悠史氏が、最新論文を元に、忖度なしでその真相を解き明かす。『最新科学が覆す 体にいいのはどっち?』(サンクチュアリ出版)の一部を抜粋して紹介。【その他の記事はこちら】

Unsplash / Brad ※写真はイメージ

グルテンフリーは健康にいい?

・グルテンフリーは病気の人向けの治療食。
・健康な人がやるメリットはない。
・グルテンフリーでかえって高カロリーや栄養不足になることも。

スーパーやレストランで、「グルテンフリー」という言葉をよく見かけるようになりました。「体によさそう」というイメージがあるかもしれませんが、本当にそうなのでしょうか。

これまでの研究が示すのは、健康な人がグルテンフリーの食事をしてもメリットはないというのが、はっきりとした結論です。グルテンフリー食は、セリアック病や小麦アレルギーなど、ごく一部の、グルテンに病的な反応を示してしまう病気と診断された方のための、専門的な「治療食」なのです。

それどころか、健康な人がグルテンフリーを始めると、健康を損なうリスクさえあります。小麦などの穀物が主要な供給源になっている鉄分、ビタミンB群といった大切な栄養素が不足しがちになります。また、市販のグルテンフリー製品は、味や食感を補うために、かえって脂質や糖分が多く含まれていることも少なくありません。実際、カロリー過多や体重増加につながることも報告されています。食費が高くなり、これも栄養バランスを崩すことに拍車をかけます。このため、グルテンフリー中は専門職によるモニタリングが推奨されます。自分で適当にやるものではありません。

「グルテンフリー」と表示すれば、商品は高値で売れる傾向があります。だからこそ、さまざまな企業が、あの手この手でグルテンフリーを宣伝し、消費を促しています。その結果、科学的な証拠とはかけ離れたところで、イメージだけがひとり歩きしているのが現状です。

山田悠史
マウントサイナイ医科大学(米国・ニューヨーク)老年医学・緩和医療科医師。米国老年医学・内科専門医、医学博士。慶應義塾大学医学部を卒業後、日本全国各地の病院の総合診療科で勤務した後、2015年に渡米。現在は高齢者医療を専門に診療や研究に従事している。国内ではWEBマガジン『ミモレ』、ニュースメディア『NewsPicks』などで医療・健康情報を発信する他、AIと医療をつなぐ合同会社ishifyの共同代表を務める。アメリカでは、NPO法人FLATの代表理事として在米日本人の健康を支援する活動にも力を入れている。著書に、『最高の老後 「死ぬまで元気」を実現する5つのM』など。

TEXT=山田悠史

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