インターネットやSNS上に流れてくる健康神話の数々。ニューヨークで活躍する専門医・山田悠史氏が、最新論文を元に、忖度なしでその真相を解き明かす。『最新科学が覆す 体にいいのはどっち?』(サンクチュアリ出版)の一部を抜粋して紹介。【その他の記事はこちら】

野菜を食べるなら、オーガニック野菜のほうが体にいい?
・汚染や天然毒はどの野菜にもある。
・オーガニック野菜のほうが天然の毒素が多くなる可能性も。
・洗う・調理をすることで、農薬が体に入る量は減らせる。
オーガニック=健康にもよい、は常識だと怒られてしまいそうですが、実際には、そんなに明らかな事実ではありません。よく考えてみれば、野菜の栽培に農薬を使っていなくても、自然の風や水にさらされるため、環境汚染が起こり続けている限り、オーガニック野菜にも汚染が起こります。実際、農法にかかわらず同等に汚染はあると指摘されています。
また、健康への影響を考えるなら、食物自体が生み出す天然の毒素も考慮すべきかもしれません。オーガニック野菜は品種改良が続けられており、むしろオーガニック野菜でこそ虫に食べられず生存競争に勝ち抜くため、天然の毒素の合成量が多くなると示唆する研究もあります。
逆に、健康への悪影響が明らかな農薬の使用は制限されてきており、農薬自体の安全性が高まってきている点も見逃せませんし、食べる前に洗う、皮をむく、調理するなどの過程を経るため、実際に農薬が体の中に摂取される量はかなり少なくなります。
病気との関連という意味では、オーガニック野菜がアトピー性疾患を減らすという噂もありますが、現在のところ、複数の研究がオーガニックフードの摂取とアトピー性疾患発症との間で関連性は認められないと報告しています。さらに、非常に限られたエビデンスから、農薬とがんとの関連も示唆されていますが、それらは、胎児や農家などがさらされるもののみです。こうしたことから、オーガニック野菜の存在意義を否定するものではありませんが、オーガニック野菜「のほうがよい」と言えるだけの根拠はなさそうです。
山田悠史
マウントサイナイ医科大学(米国・ニューヨーク)老年医学・緩和医療科医師。米国老年医学・内科専門医、医学博士。慶應義塾大学医学部を卒業後、日本全国各地の病院の総合診療科で勤務した後、2015年に渡米。現在は高齢者医療を専門に診療や研究に従事している。国内ではWEBマガジン『ミモレ』、ニュースメディア『NewsPicks』などで医療・健康情報を発信する他、AIと医療をつなぐ合同会社ishifyの共同代表を務める。アメリカでは、NPO法人FLATの代表理事として在米日本人の健康を支援する活動にも力を入れている。著書に、『最高の老後 「死ぬまで元気」を実現する5つのM』など。

