インターネットやSNS上に流れてくる健康神話の数々。ニューヨークで活躍する専門医・山田悠史氏が、最新論文を元に、忖度なしでその真相を解き明かす。『最新科学が覆す 体にいいのはどっち?』(サンクチュアリ出版)の一部を抜粋して紹介。【その他の記事はこちら】

20分以上運動しないと、脂肪は燃焼しないのは本当?
・運動直後から脂肪も燃えることが分かっている。
・時間とともに脂肪燃焼の比率が増えていく。
・10分×複数でも効果は積み上がる。
ダイエットのために運動するなら、最低でも20分は続けないと意味がない。この「20分ルール」、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか? 実はこれ、必ずしも正しい知見ではありません。
うれしいことに、私たちの体の脂肪は、運動を始めたその瞬間から、すぐにエネルギーとして燃焼し始めてくれているのです。ですから、「20分経たないと脂肪は燃焼しない」というのは、実は誤解です。
では、なぜ「20分」という数字が広まったのでしょうか。それは、おそらく運動で使われるエネルギーの主役が、時間とともに変わっていくからです。運動を始めたばかりのときは、すぐに使える「糖質」がメインで使われます。そして、時間が経つにつれて、蓄えておいた「脂肪」が主役へと徐々に交代していくのです。しかし大切なのは、たとえ最初のうちは糖質がメインでも、脂肪も脇役としてしっかり燃えている、ということです。
さらに、専門機関は、「10分程度の短い運動でも、こまめに積み重ねることで、十分に脂肪燃焼や体質改善につながる」と示しています。忙しい方にとっては、とても励みになる話ですよね。
「20分」という数字に縛られる必要はまったくありません。5分でも10分でも、まずは体を動かすこと。その一歩一歩が、きちんと脂肪燃焼につながります。
山田悠史
マウントサイナイ医科大学(米国・ニューヨーク)老年医学・緩和医療科医師。米国老年医学・内科専門医、医学博士。慶應義塾大学医学部を卒業後、日本全国各地の病院の総合診療科で勤務した後、2015年に渡米。現在は高齢者医療を専門に診療や研究に従事している。国内ではWEBマガジン『ミモレ』、ニュースメディア『NewsPicks』などで医療・健康情報を発信する他、AIと医療をつなぐ合同会社ishifyの共同代表を務める。アメリカでは、NPO法人FLATの代表理事として在米日本人の健康を支援する活動にも力を入れている。著書に、『最高の老後 「死ぬまで元気」を実現する5つのM』など。

